「鬼に金棒、CBにHYPER VTEC」……。1999年の全面刷新以降もスーパーフォアの快進撃は止まりません。装備を充実したりカラーオーダープランを開始。ハイパーVTECも2002年に“SPEC Ⅱ”、翌2003年には“SPEC Ⅲ”へと矢継ぎ早に改良が重ねられ、完成度は高まるばかり。そして2005年、今も絶大な人気を誇る「アイツ」が登場いたします!
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ネイキッドモデルにカウリングが付いたら……!?
“ホリエモン”こと堀江貴文社長率いるライブドアの「ニッポン放送株式大量取得」がホットな話題となっていた2005年の春、バイク業界にも激震が走ります。
ネイキッド界の絶対的王者として君臨してきた1300そして400のCB-スーパーフォアシリーズに、相次いでハーフカウルを装着した「スーパーボルドール」がタイプ追加されたのです(2005年2月に1300、400は3月に登場)。
「ん? もうこれ、ネイキッドではないよな……。裸じゃなくなったハーフカウル付きの車両は“タンキニモデル”とでも言えばいいのかなぁ~っ? ワハハハ」と筆者がモーターサイクリスト編集部内で大声を出しても周囲にいたスタッフやアルバイトくんからは何ひとつ反応はなし。
1992年、CB400SFのデビュー当時は水もしたたる20代前半、血気盛んなアルバイトだった不肖オガワも37歳になっており、受けないオヤジギャグばかり飛ばしている自称中堅メタボ中年に対する冷ややかさは絶対零度に近づく勢いだったのです(涙)。
高速でのバイクタンデムは40年間できなかった!
そんなヨタ話はともかくスーパーボルドール登場の背景には、2005年4月1日から実施された「高速道路の二人乗り解禁」がありました。
青春を謳歌しているナウでヤングなライダーの皆さ~ん!
信じられないかもしれませんが、バイクがハイウェイをタンデムランできない時代が厳然としてあったのです、しかも結構長く。
アナタ方のお父さん……いやお爺さん世代の一部が“カミナリ族”として青春爆走の限りを尽くした影響などにより、1965年から高速道路における二人乗りが禁止されていたのですよ。
それが外(がい)とか圧(あつ)とかいろいろあって40年ぶりに解禁されることとなり、バイク雑誌業界も色めき立ちましたね〜。
私自身もMC誌上で“HOW TO 高速タンデムラン”みたいな記事を複数回デッチ上げたものでした。
「ボルドール」の意味をアナタは知っていますか?
「SUPER BOL D'OR」
スーパーボルドール……何と言っても響きがいい。
CB400SBのボルドールとは、伝統と格式を誇るフランスの耐久レース、「ボルドール24時間耐久レース」からとったもの(フランス語の意味は「金杯」[bol=ボウル/d'or=ゴールデン])。
ホンダは1976年からRCBでこちらに参戦し、3年連続優勝という輝かしい戦績を残したのですね。
もちろんその他の耐久レースでも圧倒的な勝率を誇り、当時のRCBは、まさに“無敵艦隊”と称されるに値する大活躍!
そこから得られた知見をフィードバックして1978年に市販化された「CB900F」は、欧州そして北米を中心に圧倒的な支持を受け、大型のハーフカウルに足部分の風よけも設定された“CB900F ボルドール”も新たなファン層を掘り起こしていったのです。
「スーパーインテグラ」となる世界線も……あったのか!?
ただ……前回、CB400SFに“VTEC”の名称が使われたことへイチャモンをつける筆者のようなひねくれ者は、雑誌広告やカタログ、ポスターなどへデカデカと躍る「BOL D'OR」という文字列に、ちょいと抵抗感を感じたものでした。
「ボルドールボルドールって五月蠅いなぁ。CBにハーフカウルが付いたのなら、本来はインテグラと名乗るべきではないのか!?」と。
そうなのです。1982年、それまでの日本では御法度だったフェアリング(風防)の標準装備が解禁となり、CBX400FとCB750Fに相次いで追加されるや、当時の青少年へ強烈なインパクトを与えたモデルの名称が「INTEGRA」でした。
というわけで世が世なら「CB400SI(SUPER INTEGRA)」になっていたのかもしれない……のですけれど、2005年当時はまだクルマの世界にインテグラが存在しており、商標の関係もあって採用はNG。
ただ、少し冷静になってみると「スーパーインテグラ」より「スーパーボルドール」のほうが言いやすいし語感もいいし、アルファベットやその頭文字で表記したときのカッコよさも段違いなので、まぁ、これで良かったのかなぁ、と(笑)。
長い年月が磨き上げた400㏄直4マシンの理想型
そしてカッコいいといえば、ハーフカウルそのものの形状も非常にスタイリッシュで文句のつけようなし!
ちょうど1年3ヵ月前の2003年12月に、ハイパーVTECが“SPECⅢ”へ進化したのと同時に、とてもシャープになったテールカウルまわりともジャストフィットしており、取って付けた感がほぼゼロというもの凄さ。
あれよあれよという間にその魅力は広く認知され、オリジナル(ネイキッド)であるCB400スーパーフォアを販売数で次第に圧倒。
その販売比率はピーク時にSFが2でSBは8、というところまでいったとMC編集部員時代に聞いた覚えがございます。
鬼に金棒、CBにSBとSFの選択肢とHYPER VTECと攻めたカラーリングとアップデートされ続けるスタイリングと環境諸規制対策と安全性向上アイテム……(長い)。
そんな魅力だらけのモデルがファンの熱い支持を得ないわけがございません。
251~400㏄クラスにおけるセールス記録では2002年から2017年まで破竹の16連覇を記録(二輪車新聞調べ)! 霊長類最強の女性、吉田沙保里選手の女子レスリング世界大会16連覇と並ぶ偉業です!?
もちろんその前後、現在に至るまで4位以下に落ちたことがないという圧倒的な強者ぶり。
まさしくバイク界の“英雄”と言って過言ではない奇跡的なバイクでしょう。
♪サ・ヨ・ナ・ラは別れのぉ、言葉じゃなくてぇ〜っ
……とはいえ、直近数年間の販売台数は2000台前後/1年で推移、年間2万台レベルで売れていた1990年代中盤とは文字通りケタが違います。
大量生産でコストの分散が可能な世界戦略車という背景を持たない、ほぼほぼ国内専用車両であるCB400SF/SBにとって、FI化、ABS標準装備化、ETC車載器導入ほかの改良&改善は販売価格の上昇に直結するもの。
消費税率のアップも重なり、気が付けば新車のメーカー希望小売価格はスーパーボルドールで100万円台に突入……。
高校生が夏休みに必死こいてアルバイトをすればどうこうなるという金額ではなくなりました。
それでも!内容を考えると超絶ハイパー大バーゲンセール価格である、ということはひと言申し添えておきます。
かくいうCB400SF/SBは今年の10月分を持って生産を終了することが、すでに確定。残念ながら復活の可能性は宝くじで2等を当てるより低いでしょう。
現在、オーナーであらせられる方は、ぜひ大切にかつガンガン使いまくり、将来の“走る文化遺産”を後世に残していってくださいね~。
あ、というわけでCB400スーパーフォア/スーパーボルドールは驚くほど多彩な仕様が中古車市場に出回っております。全国300店舗超の直営ネットワークで圧倒的な在庫量を持つレッドバロンなら良質な中古車が選び放題。ぜひお近くの店舗へ足を運んでスタッフに相談してみましょう!