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前回までのハナシ
こんにちは、“いいところ”でもったいぶらせて終わる、連続テレビドラマみたいな手法を取り入れがちな青木タカオです。
前回はポルトガル・リスボンにて開かれたBMWモトラッド「CE 02」のメディア向け発表・試乗会に参加したハナシをしつつ、肝心の乗った感想に触れる前に「To be continued」「後編へつづく」と終わらせてしまいました。
いつも“いいところ”で終わるのは、テレビドラマだけでなく、漫画なんかもそうでして、格闘モノやスポーツ系などは「この先どうなるんだろう」なんてワクワクしたものです。
週刊少年ジャンプを愛読していた頃は「ドラゴンボール」であったり「キャプテン翼」だったり、1週間経つのが待ちきれないほど楽しみでした。
ボクもココ「ForR」に“週イチ”で公開させていただいておりますが、そんなふうに待っていてくれる読者が一人でもいたら嬉しい限りで、励みにもなります。
違和感なくハンドル周りにスマホが収まる
さて、BMWの新型モデル「CE 02」のハナシに戻りましょう。こうした海外でのジャーナリスト向け試乗会は、グループに分かれておこなわれ、先導役のライダーが道案内してくれるので迷子になることはありません。
今回はいつも以上に安心感がありました。ハンドル周りにスマートフォンをセットできるよう予めステーが備わり、充電もできるようUSB Cポートがあるのです。
「CE 02」はスマホを取り付けるのを前提に開発していて、小型メーターの下に違和感なく収まります。写真をご覧ください、後付け感がありません。
スマートフォンは車体メーターとBluetooth接続ができ、専用アプリ「BMW Motorrad Connected」にてナビゲーションやバッテリー残量、予想航続可能距離など、様々な情報を表示させることができます。
秀逸なのは、グローブをはめた手でも操作ができるよう、ハンドルスイッチでもアプリを動かすことを可能としていることです。スマホ画面を操作したい時、いちいちグルーブを外す必要がありません。
石畳のガタガタ道もなんのその!
走り出すと、すぐに石畳の道に入ります。ヨーロッパの旧市街では珍しくありません。凹凸によってガタガタと衝撃を受け、これがなかなか厄介。小径タイヤならハンドルをとられてしまうでしょう。
「CE 02」は前後14インチのホイールにフロント120mm、リヤ150mmの太いタイヤを履き、前後サスペンションもよく動いて走破力が、見た目からは想像できないほどに高い。
フロントフォークはインナーチューブ径37mmの倒立式で、129mmのスプリング長を持ちますし、モノショック式のリヤサスも102mmのトラベル量があります。
石畳に路面電車の線路が敷かれていると、なおさら滑りやすく手強いのですが、よく動いて踏ん張りも効く足まわりのおかげで、難しい道路環境でも「CE 02」は、頼もしく駆け抜けることができるのでした。
ダッシュ力があり、すばしっこい
最大トルクを発進時に発揮する電動モビリティの特性上、停止時からのスタートダッシュはスロットルワークに気をつけなければなりません。
しかし、ナーバスにならずに済むのは、最適な駆動力を路面に伝えるよう巧く調教されたトラクションコントロールのおかげです。空転を検知すれば瞬時に介入し、ライダーは不安なくアクセルをワイドオープンできるのでした。
最大トルク55Nm(5.6kg-m)を1000rpmまでに発揮し、鋭い加速力を持ちます。0→50km/hに達するのにわずか3秒で、ストップ&ゴーを繰り返す都会の走行が得意であることがすぐにわかります。
路地が狭く、交通量も多いリスボン。BMWモトラッドの開発陣やマーケティングチームが、ジャーナリストをこの地に招いたのも合点がいきます。身のこなしが軽い「CE 02」は、混雑する市街地でこそ持ち味を存分に発揮してみせるのでした。
購買層はEVでは長距離を走らない
気になるのは、どのくらいの距離を走れるかってことでしょう。カタログ値では95km(WMTCモード)と、ガソリンエンジン車と比較すれば物足りません。
しかし、一緒に走った開発責任者のアンドレアス・ウィンマーさんは「既存のEVユーザーへのリサーチで、充分であることがわかっている」と胸を張ります。
BMWモトラッドは二輪EVの黎明期である2014年から、同社の大型スクーターC650系をベースに電動化した「Cエボリューション」を欧州で発売し、日本市場でも2017年にリリース。2022年にはその後継機種となる「CE 04」を発売してきました。
早くから電動バイクを製品化してきた実績があり、培われたノウハウもすでに多く持ちます。そして「CE 04」までのオーナーが、長い距離を走らないことを調査し、知っているのです。
ターゲットは都市に住む若者
都市での移動用にと「CE 02」は開発され、アーバンライフをおくる若者向けにデザインもエクストリームスポーツからインスパイアを受けています。
アップライトなポジションで、シート高が低く気軽に乗れる。車体重量は132kgしかなく、オートバイにこれまで乗っていなかったビギナー層に新しい乗り物として提案していくのです。
最高出力11kW(約15PS)/5000rpm、定格出力6.5kW(約8.8PS)であることから日本では軽二輪扱いとなります。つまり普通二輪免許で運転ができ、高速道路も走行可能。
最高速は95km/hなので、都市高速のような比較的流れの緩やかな自動車専用道路の利用が現実的かもしれません。動力性能的には150ccクラスのような感覚でしょうか。
■日本における電動バイクの区分(定格出力)
0.6kW以下:原付1種
0.6kW超1.0kW以下:原付2種
1.0kW超20kW以下:軽二輪
20kW超:大型二輪
充電は家庭用コンセプトで
バッテリーは取り外し式ではなく、車体に積んだまま。専用の充電器によって、140分で80%、210分で100%、家庭用電源にて充電ができます。
モーター音だけで、静かにスマートに都会を駆け抜けることができ、歩いている人からの視線を感じると、ちょっぴり自慢げな気分だったりもしました。
これをまた日本の道でも、早く体感してみたいと思います。価格や発売時期は未定ですが、楽しみでしかありません。
文章ではお伝えできない走行音は、動画に録りましたので、ぜひ聴いてください。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。