かつて外国車は「憧れの存在」だった!

ホンダにヤマハ、スズキ、カワサキと、日本は世界に誇るバイク王国。60年代終わりから数多くの名車を送り出し、今も魅力的なモデルをラインナップしている。

かくいう僕も2台のSR400とXR BAJAのオーナーである。

だけど、そうはいってもやっぱり気になってしまう……そう、外国車の存在が!


僕が10~20代の頃(80年代後半~00年代前半)は、外国車といえばハーレーダビッドソンとドゥカティがあり、MVアグスタやトライアンフが復活して盛り上がってきたという時代。モトグッチやベスパなんかもあったけど、この辺はグッチ好き、ベスパ好きの独自の世界という感じで、一般的なバイク乗りが踏み入れる世界でなかったように思う(注:あくまでも筆者の主観です)。

そして、当時の日本人にとって、これら外国車の特徴のひとつが「大型二輪免許が必要」ということ。


そう、ドゥカティの一部モデルやベスパなどのスクーターを除き、当時海外メーカーのほとんどが600cc以上のモデルしかラインナップがなかったのだ。

そもそも普通二輪免許で乗れるのは400ccまでで、すなわち400cc以下=ミドルクラスというのは日本だけの話。世界的に見ればミドルクラス=600~800ccあたりを指す。

だから海外メーカーが入門用としてミドルクラスを作ったとしても、日本で乗るには大型二輪免許が必要になってしまうのだ。


そんなわけで僕ら世代(40~50代)にとって、外国車は大型二輪免許が必要な特別な存在。

しかも、たとえばハーレーなら空冷Vツイン、ドゥカティはLツイン、BMWはフラットツインと、なんだかこだわりの塊って感じで、敷居の高さも感じた。

車体価格も国産車に比べればググッとお高く、その敷居も若いライダーにとってはめちゃくちゃ高い。

つまり外国車は、ライダーにとって絶対的な『憧れの存在』だったのだ。

 

外国車らしさあふれる個性と、400cc以下の身近を両立


だけど、そんな外国車観も今は昔。

ここ10年ほどで、普通二輪免許で乗れる外国車がグッと増えた。

なかでも新興メーカーの躍進が目覚ましいが、BMWをはじめ、ドゥカティやKTM、アプリリアといった昔からお馴染みの大手~中堅メーカーのラインナップが充実してきたのは嬉しいポイントである。

しかも、それでいて外国車ならではの個性は健在。流麗なデザインやクセのある乗り味を普通二輪免許で味わえるなんて、なんともいい時代ではないか!

そういえば以前、ライターの栗栖国安さんも
「(前略)輸入車は憧れではあったけど、現実的ではなかった。雑誌でも輸入車を扱うことなんてほとんどなかったし。だけど、今は誰でもハーレーやドゥカティ、BMWに乗れるでしょう? トライアンフやKTM、ロイヤルエンフィールドなんかも気軽に買える。ジャンルもいろいろあって多種多様。本当に自分に合うモデルを見つけやすい状況だと僕は思う」
なんて言っていたな。

参照記事>80年代バイクブーム狂想曲【バイクジャーナリスト栗栖国安さんに聞く!! バイク黄金期の思い出】

というわけで、実際にどんな車両が買えるのか? ここでは、僕が独断と偏見で選ぶ10台を紹介していきたい。

 

 

ネイキッド ~独自の機構や排気量を感じさせない俊敏さが魅力~

まずは3台のネイキッドを紹介。

どれもトラディショナルなスタイルではなく、スポーツネイキッドやストリートファイターと呼ばれる現代風のもの。

このクラスのネイキッドは国内メーカーでも人気モデルがたくさんあるが、BMWは後方排気システムを採用した俊敏さ、KTMはレスポンス良すぎなエンジンが好評。

どちらも国産モデルとは一線を画す個性を有している。

BWM Motorrad G 310 R

BWM Motorrad G 310 R


 250cc並のコンパクトな車体に扱いやすい水冷単気筒エンジンを搭載。このエンジンはシリンダーを180°回転させることで、車体の重心を前方に移動することに成功。より俊敏なハンドリングを手に入れている。

S 1000 Rを思わせるマッシブなスタイリングも人気だ。

 

KTM 250 DUKE

KTM 250 DUKE


美しいトレリスフレームと直線基調の外装とのバランスが秀逸。エンジンは水冷単気筒で、レスポンスの良さは秀逸。鋭い加速とハンドリングはワインディングはもちろん、街中だって楽しく走れる。

 

LCDディスプレイのメーターにはRPMアラートを装備。これはアップシフトのタイミングを教えてくれるもので、レースマシンのような走りを楽しむことができる。


スポーツバイクの楽しさは最高速度ではない……そのことをあらためて教えてくれる1台だ。

 

KTM 125 DUKE

KTM 125 DUKE


KTMのネイキッド『DUKE』シリーズの末弟。

125ccながら、装備は上級モデルと引けは取らず、レスポンスの楽しいエンジンと相まって、シーンを選ばず楽しく走れるモデルだ。

原付2種モデルとして、決して安くはないのだが、その価値は十分にあるといえるだろう。

 

ひと目でKTMだとわかる個性的なフロントマスク。

 

アドベンチャーツアラー ~世界的ブームは普通二輪免許をも覆う!~

もともとは『アルプスローダー』と呼ばれ、未舗装路もあるヨーロッパの山々を安全、かつ快適にツーリングを楽しむために発展したのがアドベンチャーツアラー。

BMWとKTMはそんなアドベンチャーツアラーの本場ともいえるヨーロッパのメーカーだから、当然メインは大型車……のはずなのだが、その人気の高さは今や日本をはじめとするアジアをも覆い尽くし、そうするとやっぱり400cc以下の需要もあるようで……なんとアドベンチャーツアラーの二大巨頭がともに400cc以下のモデルをラインナップしているのだ。

BWM Motorrad G 310 GS

BWM Motorrad G 310 GS


基本となる骨格はG 310 R同様ながら、アップライトなライディングポジションや高いフェアリングによって、快適にツーリングを楽しめる。

何よりもアドベンチャーツアラーのトップブランド『GS』が普通二輪免許で乗れるというのは、何よりも嬉しいではないか!

 

KTM 390 Adventure

KTM 390 Adventure


モトクロスやエンデューロなど、数々のオフロードレースで実績を積んできたKTMが送り出すのは、オフロードも本気で走れるアドベンチャーツアラー。

もちろん、390ccだからといってその性能に抜かりはなし!

ただし、本気な分だけシート高なども高いので要注意。

 

KTM 250 Adventure

KTM 250 Adventure


軽量な車体にレスポンスの良い水冷単気筒エンジンを搭載することで、オンロードからオフロードまで気負いなく、それでいてスポーティな走りを倒しむことができる。

一般的なアドベンチャーツアラーとは違い、ヘッドライトユニットが独立したようなデザインも個性的。KTMらしさがあふれたモデルである。

 

スーパースポーツ ~腕次第では上級クラスをカモれるかも!?~

かつて400ccクラスのスーパースポーツ(当時はレーサーレプリカ)といえば4気筒エンジンが主流だったが、今はすっかり2気筒がメイン。それでも技術の進化によって、当時の4気筒を凌ぐモデルも数多い。

2気筒エンジンはトルクフルで扱いやすく、ハンドリング性能も進化している。そのためビギナーには楽しく、ベテランは性能をフルに発揮しやすいと、まさにいいことづくめなのだ。

KTM RC 390

KTM RC 390


先述の通り、400ccクラスのスーパースポーツは並列2気筒が主流。しかし、RC 390は水冷単気筒エンジンを搭載。ライバルとは一線を画している。

だが、一般的な単気筒エンジンのイメージとは違い、RC 390のエンジンは390 DUKEや390 Adventure同様、スムーズでレスポンスに優れたもので、スーパースポーツにはうってつけ。

軽量なフレームとの相性もよく、キビキビと走らせることができるのだ。

 

メーターにはTFTカラーディスプレイを採用。あらゆる情報をひと目で認識することができる。


また、MotoGPマシン・RC16を踏襲したデザインは、オーナーの所有欲を十分に満足させてくれる。

 

ネオクラシック ~元祖ネオクラに400ccモデルがあった!~

Z900RSやXSR900、R nineTなど、いまやアドベンチャーツアラーと双璧をなすほどの世界的人気を獲得しているのがネオクラシック。

クラシカルなスタイリングを現代の解釈でリデザインしたものだが、そのブームの火付け役はBMW Motorrad R nineTとドゥカティ スクランブラーだと言われている。

今ではどちらも大排気量車のみをラインナップしているが、じつはスクランブラーは初期に400ccのバリエーションモデル・SIXTY2を発売していたのだ。

そう、ドゥカティは昔からF3や400SS、モンスター400など、日本市場に優しいメーカー。400SSもモンスター400も上級モデルが発売を継続するなかで消えていった悲運のモデルなのに、なぜかスクランブラーも初期に400ccモデルをリリースしてくれたのである。

現在は残念ながら絶版となってしまったが、まだまだ中古車はあるようだ。気になる人は急ぐのが吉!!

 

DUCATI Scrambler SIXTY2

DUCATI Scrambler SIXTY2


ストリート感を全面に出し、気軽に付き合えるドゥカティとして人気のスクランブラーシリーズ。そのなかでも400ccという排気量によって、最も気軽に付き合えるのがSIXTY2である。

800ccのスクランブラーアイコンとフレームなどを共用しているので、存在感は十分。しかし、シートレールが下がった形状をしているので、大きすぎず、足つきも良好。

 

近年はフラッグシップモデルにV4エンジンを採用することが多いが、『ドゥカティ=Lツイン』という読者は多いはず!


伝統の空冷Lツインエンジンは扱いやすく、スポーティにも対応してくれるし、はじめての愛車としてもおすすめできる。

 

トレール&モタード ~メインバイクとしても満足できる~

最後はトレールとモタードの2つで、紹介するのはどちらもアプリリアの125ccモデル。つまり原付二種なのだが、下の写真を見てもらえばわかるとおり、どちらも装備・性能ともに高品質!

原付二種といえばセカンドバイクとして考える読者も多いだろうが、はっきりいって、これらは高速道路に乗れないだけで、十分にメインバイクとしてオーナーを満足させてくれるだけの資質を持っている。

ちなみに僕もXR BAJAを買う際、RX125は候補の一台として挙がっていたのだ。

aprilia RX125

aprilia RX125


125ccには見えないフルサイズボディにDOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載した本格派のトレールマシン。

6速ミッションや倒立フロントフォーク、前後ウェーブローターのディスクブレーキなど、すべてがオーバークオリティ! 

レーシーな車体デザインにも要注目だ。

 

aprilia SX125

aprilia SX125


RX125をベースに、前後17インチホイールとオンロードタイヤを履いたスーパーモタードマシン。

街中を気持ちよく駆け抜けるのに最適な車格とエンジン、足周りを持っていて、毎日の通勤や通学を楽しく走るのにもってこい。

もちろん余裕のある車格だから長距離も疲れにくく、ツーリングマシンとしても高いポテンシャルを発揮してくれる。

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