なんと! 世の中、バイクブームの真っただ中だという。
とは言え、新車販売台数320万台の頃(1982年)と比べても意味はない。少子高齢化の中で右肩下がりとなっていた新車販売台数が上向いたこと、そして「量より質のバイクブーム」が到来したことにこそ意味があるのだ。
自工会二輪車委員会は、現在のバイクブームを「第12世代バイクブーム」と名付け、「第3回 自工会二輪車委員会メディアミーティング」でメディア向けに説明した。
その際に、バイクブームの変遷も振り返ったので、ブームの歴史も合わせて紹介しよう。
Contents
バイクブームは1970年後半から始まった!
第1世代バイクブーム('70~’80年代)
最初のバイクブーム(第1世代)は、1970年代後半からのミニバイクブームだった。50ccスクーターが日進月歩し、次から次に新たなモデルが発売され、バイクが生活の足として女性にまで普及し始めたのだ。
また、1980年代前半からは、趣味商材としての中間排気量バイクに加えて、750ccクラスが国内モデルとして登場したことによりナナハンブーム(ナナハン世代)を巻き起こした。
日本のメーカーによる大型バイクは1970年代から海外市場で人気だったが、いよいよ国内市場でも大型バイクが身近な憧れとなっていた。
バイクブームと言えばココ、1980年代!
第2・第3・第4世代バイクブーム(’80年代)
1980年代には様々なカテゴリーのバイクが登場し、国内市場で最もバイクが売れた時代を迎える。世代で言うと、第2・第3・第4世代が該当し、一般的にバイクブームと言えば、この年代を指す。
まぁ、すごかった。1980年代前半(第2世代)には250ccバイクが高性能化を極めていき、大型バイクも逆輸入車も含めて人気となった。
なお、大型バイクに乗るためには合格率2~3%と言われた一発試験に合格して限定解除をする必要があり、ハードルはかなり高かったが、ユーザーのモチベーションも負けていなかった。
テレビをつければバイクのレースが見られた
1980年代後半(第3世代)には、本来は生活の足であった50ccスクーターによるレースも盛んとなり、サーキット走行も身近になった。
WGP(ロードレース世界選手権=MotoGPの前身)や鈴鹿8耐、パリ・ダカールラリーなどバイクレースも大人気となり地上波テレビで放送されていた時代だ。
レプリカブームでバイクも高性能化
そうしたレース人気を背景にしたブームが1980年代の中ごろから加熱したレーサーレプリカブーム。WGPや全日本ロードレース選手権などで活躍していたレーサーマシンのカラーリングを施したフルカウルスポーツバイクが多数登場したのだ。
特に、今はほぼ絶滅してしまった2ストロークエンジンを搭載した250ccレプリカバイクは250ccバイクの性能を限界まで高め、排気量の割に高価ながら飛ぶように売れた。
ミニバイクやオフロードカテゴリーも人気に
また、レプリカブームをもっと身近にということで、50ccレプリカや2ストスクーターなどによるミニバイクレースも人気となった。各地に点在するミニサーキットやカートコースなどでは毎週末、盛んにレース(サンデーレース、草レース)が行われた。
さらに、この時代はオフロードバイク(デュアルパーパスモデル)が進化を遂げた時代でもあり、ラリー、エンデューロ、モトクロス、トライアルと様々な競技を楽しむ層がいて、学生らによるキャンパスオフロードミーティング(通称キャンオフ)なども盛り上がっていた。
なお、この頃は北海道ツーリングが盛り上がりを見せていた頃でもあり、ダートや林道を走れるオフロードバイクはツーリングバイクとしても人気だった。
過去最大のバイクブームだった1980年代までを紹介した。なお、1980年代についてはForRメンバーによる特集記事「80年代バイクブーム狂想曲」もオススメしたい。知識と理解に加えて、オジサンにはたまらない甘酸っぱい記憶が甦ること間違いなしだ(笑)
モノの全盛期! バイクありきのブームだった
後編では、90年代からの第5世代以降のバイクブームについても紹介するが、1980年代を含め、バイクブームの歴史はモノありきだった。
いま振り返ると、どれもが名車と呼ばれるにふさわしい性能とデザインを与えられていた。自工会はこうした時代を「バイクが主役」のバイクブームだったと分析した。
「カッコいい!」「レーサーっぽい!」などモノとしての憧れからバイクを買い、何をするかはその後だったのだ。免許を持っている、バイクを持っている、バイクに乗っていることがカッコいい。そんなユーザーが市場を支えていた。
国内だけでも数百万台も売れていたから、量と質が同時に高められていた。
ただし、振り返ってみると若さゆえの過ちも多く、ローリング族や暴走族の増加、それによる交通事故や違反の急増、教育現場での三ない運動の広がりなど、バイクに負のイメージが背負わされてしまった時代でもあった。
やはり魅力だけでは語れない、甘くもあり酸っぱくもある時代だった。
(後編はコチラ)