豪華ゲスト迎えたブルスカ


 今年で22回目となるハーレーの祭典『BLUESKYHEAVEN2023』(ブルースカイヘブン2023)が8月26日(土)から27日(日)までの2日間、富士スピードウェイにて開催され、9,500人を動員。


 サーキットで開かれた試乗会には、タレントでバイク女子として幅広く活躍する平嶋夏海さんや夜道雪さんが参加したりですとか、ハーレー乗りだけでなく幅広い層に来場を呼びかける意図を感じました。


 LIVEステージには、藤巻亮太、MONKEY MAJIK(モンキーマジック)、FIVE NEW OLD、Omoinotake(オモイノタケ)、☆Taku Takahashi (m-flo, http://block.fm)、YonYon(よんよん)らが登場。ミュージックフェスとしても豪華ラインナップを誇っていたことを、前回までココでお伝えしてまいりました。

 今回は展示内容についても触れたいと思います。なんたって内容盛りだくさんで、ほとんどまだ何も紹介できていませんからね。

歴史と伝統を感じるタイムトンネル

Model 9E/1913年

▲Model 9E/1913年

創業120周年の節目にあたる2023年。

▲創業120周年の節目にあたる2023年。

 ハーレーダビッドソンは1903年、アメリカウィスコンシン州ミルウォーキーにて創業。今年はちょうど120周年にあたる節目の年でした。というわけで、パドック側とグランドスタンド側、分かれる2つの会場をつなぐメインルートとなるトンネルを「120th TIME TUNNEL」とし、ハーレーダビッドソンの歴史を貴重な車輌たちと振り返る展示がされていました。


日本上陸最初のハーレー

 まずは「Model 9E」(1913年)。オホッツバルブ式FヘッドVツイン1000ccエンジンを搭載したモデルで、ハーレーダビッドソンが車両を販売開始した1905年の「Model 1」から数えて9期目となるため“Model 9”と呼ばれます。

Model 9E/1913年

▲Model 9E/1913年

 単気筒エンジンの「9-A」「9-B」と、V型2気筒エンジンで初めてクラッチを搭載した「9-E」、さらにフロント2輪のデリバリー用バンの「9-G」が設定され、今年に完成した6階建ての新社屋工場で生産された「9-E」の生産台数は6732台を誇りました。

Fヘッドとも呼ばれるオホッツバルブは、吸気側をプッシュロッドをむき出しにしたOHVにし、排気側はサイドバルブとしたもの。

▲Fヘッドとも呼ばれるオホッツバルブは、吸気側をプッシュロッドをむき出しにしたOHVにし、排気側はサイドバルブとしたもの。

「Model 9E」は1913年、大正2年に当時世界に先駆けて日本へ輸入されたハーレーダビッドソンでもあります。

陸王のベースにもなった

 1930年、静粛性とメンテナンス性に優れた新開発フラットヘッド・サイドバルブ式のVツイン1200ccエンジンを新設計のフレームに搭載した“VL”モデルが発売されます。

VLD/1934年

▲VLD/1934年

 その後、世界大恐慌の影響で1/5にまで落ち込んだ販売台数を盛り返すべく、1934モデルでは当時最盛期を迎えたアールデコ調のデザインを取り入れるとともに、美しく塗り分けられたツートーンのペイントを全面に押し出しました。

 タンクにあしらわれた通称“フライング・ダイアモンド”のロゴは、現在発売中の120周年アニバーサリーモデルのタンクエンブレムのモチーフにもなっています。

 また、生産の効率化と販路の拡大を目指したハーレーダビッドソンは、他国に輸出しないことを条件に、世界で唯一日本に車両のライセンス生産の権利を販売。本社から図面や生産機械とともに熟練のスタッフが日本に送られ、そのアドバイスのもとこのVLDをベースとして品川の工場でハーレーの車両生産が開始されました。

 翌年、国策の影響もあり、完全国産化されることになったこのモデルは、「陸王」として1959年まで独自の発展を遂げます。

70年代のキングオブハイウェイ

 続いては「FLH エレクトラグライド」(1972年)です。FLモデルは1941年発売の初代モデルから現在にまで続く、ハーレーダビッドソンの中でも最も長い歴史を持つツーリングモデルのラインナップ。多様化する顧客のニーズに応えるため、新型エンジンや油圧式サスペンションやブレーキの開発、そしてリヤサスペンションの採用など、さらなるパワーと快適性の向上を追求して絶えず進化を遂げる中、1965年にはハーレーダビッドソン初の電気式スターター(12Vセルモーター)を搭載した「FLH エレクトラグライド」(エンジンはパンヘッド最終)が登場。

FLH エレクトラグライド/1972年

▲FLH エレクトラグライド/1972年

 翌1966年からはさらなる耐久性と高出力を与えられた新開発1200ccショベルヘッドエンジンへと進化。1969年にはツアラーの代名詞とも言えるバットウイングフェアリングがオプションとして初登場すると、1972年にはフロントに油圧式ディスクブレーキが与えられます。

エレクトラグライド ハイウェイキング/2023年

▲アイコンコレクション エレクトラグライド ハイウェイキング/2023年

 なお、このモデルへのオマージュとして、現代の最新モデルをベースに当時を彷彿とさせるスタイリングとカラーで日本限定288台「エレクトラグライド ハイウェイキング」がよみがえりました。

フラットトラックを席巻したXR750

 2020年に生誕50周年を迎えた「XR750(1972年)」です。週末のレース結果が、翌週の販売台数に直結するほど各メーカーがしのぎを削って競っていた当時のレースシーンにおいて、高出力のOHVエンジンモデルで台頭してきた英国車に、旧来のサイドバルブエンジンでは太刀打ちできなくなっていたハーレーダビッドソンは、1970年にスポーツスター用に開発したOHVエンジンをベースに、750ccにモディファイしたフラットトラッカー「XR750」とロードレーサーの「XR750TT」を開発。

XR750/1972年

▲XR750/1972年

 2年後にアルミヘッドの高出力エンジンに改良されると、1972年のAMA全米フラットトラック選手権での初優勝を皮切りに、その後2020年までに同選手権を37回制覇、プレミアクラスレースでの優勝502回という快挙を成し遂げています。

ロードレース用にモディファイされたXR750。

▲ロードレース用にモディファイされたXR750。

 展示車両は日本でレースに参戦するために輸入され、ロードレーサーとして筑波サーキットや富士スピードウェイで戦うためにセットアップされた現役のレーサーです。

創業100周年を記念した次世代ハーレー

 ラスボスは「VRSCA V-Rod 100th Anniversary(2003年)」。2002年、ハーレーダビッドソンにとって歴史的な第一歩となる初の水冷エンジンを搭載した「V-Rod」が登場。レース参戦や長年の研究開発を経てポルシェ社と共同開発されたDOHC4バルブ60度Vツイン『Revolution(レボリューション)』エンジンは、100PSを超えるパワーに最大トルクを6600rpmで発生する高いエンジン性能の獲得と年々厳しくなる排気ガスの規制への対応を高次元で両立させました。

VRSCA V-Rod 100th Anniversary/2003年

▲VRSCA V-Rod 100th Anniversary/2003年

 翌2003年には、ハーレーダビッドソン創業100周年を記念した100thアニバーサリーペイントに専用のエンブレムが奢られたこのモデルが発売されます。

VRSCA V-Rod 100th Anniversary/2003年

▲DOHC4バルブ60度Vツイン「レボリューション」エンジンを搭載するVロッド。

 レボリューションエンジンはVロッドファミリーとともに2017年まで発展を続けた後、ハーレーの最先端ハイパフォーマンスエンジンとしての役割を2021年発表の新世代水冷Vツインエンジン『Revolution Max(レボリューションマックス)』”に引き継ぎました。

最後は動画でレポート


 いかがでしたでしょうか。長い歴史をタイムスリップする地下通路、“ハーレーファン”であると同時に“バイクオタク”であり、“歴史マニア”であるボクにはなかなか面白かったです。


「XL1200X フォーティーエイトファイナルエディション(2022年)」に乗るハーレー女子であり、ブルスカのLIVEステージにも『CVO BAND』のメインヴォーカリストとして立つプロの歌手、mnka(まなか)さんにも動画レポートしていただきました。


 たいへん貴重なヒストリックハーレーやレーサー、アニバーサリーモデルたちですが、カメラがクローズアップしたのはキュートでセクシーな彼女ばかりでした。

 9月13日発売の『WITH HARLEY(ウィズハーレー)Vol.17』の誌面にも大きく登場しますので、気になる人はぜひご覧ください。今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事