この夏、那須モータースポーツランドで開催された「那須MSLライディングスクール」に参加した。その模様をこれまで2回に渡って紹介してきただが、今回はいよいよ最終回である。

那須MSLライディングスクールにXR BAJAで参加①「ライディングの基礎を改めて学んだぞ!!」編
那須MSLライディングスクールにXR BAJAで参加②「できると思ってたけど意外とできない……」編

というわけで、正午12時から1時間のお昼休憩を挟み、午後の部がスタート!

午後は「ブレーキング」と「緊急回避」から!

ピットロードからデモンストレーションを見学する。まずはブレーキングだ。

指定された速度まで加速し、任意のポイントでブレーキをかけて、目標地点(パイロン)で止まる。

目標地点ピッタリで止まるなんて簡単そうだけど……インストラクターの方でも目標地点をちょっとオーバーすることもあり、意外と難しいことが分かる。

次は緊急回避。指定速度まで加速して、パイロン目掛けて走る。するとギリギリの地点でインストラクターが左右どちらかの旗を上げる。ライダーは旗とは逆方向に進まなければならない。つまり、旗は急に飛び出してきた障害物などを表している。

後でやってみて思ったことは、旗の方に進むのは簡単だけど、「旗と逆に進む」のは一瞬、脳でバイクの動きを整理しなければならないので難しい。

というわけで、やってみる。時速40kmまで加速して、「この辺かな」と思ったところからブレーキ!

ホイールがロックしないように気をつけながらも、しっかりブレーキング。フロントフォークとリアサスペンションが沈み切っているのがよく分かる。

パイロンぴったりで停車! 「クラッチを切るのはもっとギリギリのタイミングで!」というアドバイスをいただきつつ、「前後ブレーキをバランス良く使っていますね」など、だいたいは褒めてもらった(自慢)。

もちろん1回だけではなく、このあと、何度もチャレンジ。普段何気なくかけているブレーキだけど、あらためて前後のバランスやコントロールなどを意識するキッカケになった。

さらに、緊急回避にもチャレンジして、午後の第1カリキュラムは終了。

クリッピングポイントの大切さ

続いて、コース奥の第9コーナーで行われるデモンストレーションを見るために移動する。

第8コーナーから第9コーナーへ進入するZ800(左)とCBR600RR(右)。乗っているのは、ともにインストラクターである。

先行するZ800は第9コーナー入り口に置かれた「2」のパイロンの近くを通る。対してCBR600RRはコース中央寄りのラインを走る。

「2」の奥、第9コーナーの中心付近に「1」のパイロンがある。そこに向かう頃にはZ800は膨らみ始め、コース中央へ……。

CBR600RRは「1」のパイロンへ向かっている。

それまでアウト側を走っていたCBR600RRが、Z800よりも内側のラインに!

Z800は、「1」のパイロンを過ぎた頃にはすっかりアウト側に膨らんでしまった。CBR600RRはパイロンギリギリを走る。

コーナー出口で逆転。CBR600RRがZ800を抜き去ってしまった!

コーナリングの際、イン側に最接近するポイントを「クリッピングポイント」と呼ぶ。コーナーを気持ちよく抜けるには、このクリッピングポイントの見極めが重要である。見極めがしっかりできると、CBR600RRのように華麗にコーナーを走ることができる。できていないとZ800のようにコーナー出口で大きく外側に膨らんでしまうのだ。

そして、コーナリングの際にクリッピングポイントのなるべく近く走ることは……そう、一番はじめに教えてもらった「8の字走行の応用」と言えるものなのだ。

「外側から大きく入って、視点はパイロン(クリッピングポイント)。パイロンを見ながら、なるべく小さく回って、視点を進行方向に移す」

はじめに習ったことがここに来て、また役に立つ!! まさに伏線回収とも言うべきカリキュラムの妙に感動してしまった。

というわけで、第1コーナーで実践。走行グループと見学グループに分かれる。

第1コーナーのクリッピングポイントには目印のパイロンと中井インストラクターが。

第1コーナーを走り抜ける僕! 中井インストラクターのすぐ近くを疾走!!

すぐ近くで見学グループの参加者が中井インストラクターの解説を聞く。そして僕は気持ちよく、コーナーを駆け抜ける(笑)。

これを、グループを交代しながら何周か行う。

那須モータースポーツランドを思いっきり走る!!

第1コーナーの体験コーナリングの次は、本コースを2つに分けて、それぞれクリッピングポイントを意識しながら走行する。ここではインストラクターが先導し、ライン取りのお手本も見せてくれる。

これまでよりグッとペースが上がって、テンションも上がる! と言っても、もちろん無茶は禁物だ。

アクセルを開けるところはしっかり開けつつ、ブレーキングも確実に。コーナーではクリッピングポイントを確認しつつ、効率よく曲がることを意識する。

メディア向け試乗会などで走り慣れたコースだけど、なんだか違った景色に見えるのが不思議である。

そして最後は複数のグループに分かれて、コース全周を走る。これまで以上のハイペースで走れて、まさに1日の集大成と言えるもの。

当然、第9コーナーでは「2」のパイロンはスルーして……

「1」のパイロン近くのラインを走る!! バシッとコーナリングが決まれば、サイコーに気持ち良いのだ。

最後の最後にサーキットを思いっきり走れて、僕だけでなく、みんな本当に楽しそう。

チェッカーフラッグも気分をおおいに盛り上げてくれる演出だ。

こうして全てのカリキュラムが終了して、那須MSLライディングスクールは終了。閉講式で幕を閉じる。

8の字走行から始まり、スラロームやブレーキングを習い、最後はコースを気持ちよく周回する。充実した内容で、しかも全てが繋がっていて、無理なく徐々にレベルアップしていけることに感動。

ビギナーやリターンライダーはもちろん、僕のように日頃のクセを見直したいと考えているベテランライダーにもおすすめだ。次回開催は10月7日(土)・8日(日)だが、すでにキャンセル待ちとのこと。来年度も開催されるはずなので、マメにホームページをチェックしておいてほしい!!

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