地球の裏側へ
こんにちは青木タカオです。今回もまた前回に続いて、南アフリカ共和国でバイクに乗った話をいたしましょう。
それまで、アメリカやヨーロッパ、東南アジアなどをツーリングした経験はありましたが、地球の裏側アフリカでバイクに乗るのは初めての体験でした。10年以上前、2014年だったと記憶しています。
現地の人たちはどこへ行ってもフレンドリーで、ハーレーダビッドソンに乗って突如現れたボクたちを笑顔で歓迎してくれました。
2014年式のツーリングファミリーは「PROJECT RUSH MORE」とネーミングされた大掛かりなバージョンアップが図られ、この頃からハーレーは一気に先進性を高めています。2013年の夏、アメリカ・コロラド州デンバーで発表会があり、そこで新型に乗りました。その話もまた今度したいと思います。
見てすぐわかるのは、フェアリングの内側にビルトインされたインフォテインメントシステムのディスプレイです。スマートフォンとUSB接続できるようになりました。
また、空冷Vツインエンジンも、ウルトラモデルには排気バルブまわりのみにウォーターラインを通すツインクールド式を採用するなど、進化は目覚ましいものでした。
野生動物たちを直近で見れた!
南アフリカで最大規模の一大動物自然公園、クルーガー国立公園内にあるサファリロッジに泊まった夜は、野生動物を観察するナイトドライブツアーに出かけました。
4WDのジープに乗って、夜のジャングルに入っていくのですが、昼は陽気でも夜はしっかり気温が下がるのが大自然。寒くて毛布にくるまりながら、目を凝らすのでした。
ガイドさんがヒョウやゾウを見つけてライトで照らしてくれるなど、まるでサファリパークみたい。しかし、すべて野生動物ですからスゴイ。
翌朝、早くに出発すると、ロードキングに乗りながらキリンが見れたり、現実離れした光景が見れたのでした。
旧スワジランド王国へ
隣接するスワジランド王国にも入ったのも貴重な体験でした。四国よりやや小さい国土面積で、2018年にエスワティニ王国に名を変えています。
イミグレーションで手続きをして、陸路で国境を越えるのはワクワクします。学生時代にバックパッカーで東南アジアを旅した時が最初でした。子どもの頃から地図帳や地球儀をずっと眺めていたボク。アニメ「ルパン三世Ⅱ」をテレビで観て、ルパンと次元たちが国境を越えていくシーンは、なぜだかワクワクしました。
日本は海に囲まれているので、陸路での国境越えにロマンを感じるのかもしれません。
スワジランド王国に入国すると、さらにノンビリとしていて「思えば遠くに来たもんだ〜」と、海援隊時代の武田鉄矢を真似して歌わずにはいられないのでした。
道は狭く、穴ボコだらけだが、そこに住む人々は活き活きとしています。バイクを停めると、大勢が近づいてきて、言葉は通じませんが笑顔を交わしてくれます。
南アフリカもそうでしたが、幹線道路ではヒッチハイクする人たちがたくさんいて、トラックやバンが通るたびに「乗せてくれ」と手を挙げてアピールしていました。
澄みきった青い空と、彼らの微笑みを見る限りでは、暮らしはじつに幸せそうで、ゆったりとした時間がそこには流れています。
しかし現実的には、南部アフリカの小さな国は都市部と農村部の格差が大きく、深刻な貧困問題を抱えています。スワジランド王国(現・エスワティニ王国)は、HIV/エイズの感染率が世界で最も高く、成人のおよそ1/3がHIV陽性であるという衝撃的事実も明かされています。
こうしてハーレーでツーリングしていると、いかに自分が恵まれているのか、考えさせられます。たまたま恵まれた国に生まれ、こうして運よく遠く海外へ行くことができて、バイクに乗って走っている。
こうしている間にも、安全な水を飲むことができない人、食べる物がない人、命を守れる場所がない人がこの地球上にはたくさんいることを考えると、自分にはいったい何ができるのかと、複雑な想いにかられます。
南アフリカにもあったバイクイベント!
ヨハネスブルグからおよそ1500km。3日だったか4日間だったか、詳しくはもう思い出せませんが、最後に辿り着いたのはインド洋に面したリゾート地マルギットでした。
そこは「アフリカバイクウィーク」のピークを迎えようとしていました。メインストリートにはビッグバイクがズラリと並び、ムードはフロリダのデイトナバイクウィークの縮小版のよう。
ハーレーダビッドソンのフラッグが街中に所狭しと立てられていますが、メーカーの垣根なくバイカーたちが集まっています。
会場は熱気ムンムン、白人も黒人も入り混ざっていますが、東洋人は見当たりません。
最終日にはパレードランがおこなれ、ボクもハーレーに乗って参加しました。沿道を埋め尽くす人たちが、みんな手を振ってくれるから、こちらも夢中になって手を振り返します。
バイクに、ハーレーに乗っているだけで、こんなにも歓迎されるなんて、嬉しくて仕方がありません。
ハーレーダビッドソンのニューモデルが展示されているブースは大人気で、裸足の子どもたちがシートに腰掛けて喜んでいました。
アフリカバイクウィークが初めて開催されたのは2009年のことで、主催はハーレーダビッドソンの現地法人によるもの。入場無料であることなどから来場者は正確に把握しきれていませんが、予約で埋まった宿泊施設のベッド数だけでも2万をゆうに超え、これに日帰り客や現地に住む人を加えれば、数倍以上の人が会場に足を運んでいることになります。
「アフリカバイクウィーク」の熱狂。またいつか味わってみたいなと、今回これを書きながら改めて思いました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。