前編に続いて、11月2日に行われた二輪業界から公明党オートバイ議員懇話会への要望について。後編ではAJから提出された要望のうち5・6について説明する。
【自工会とAJからの共通要望】
1. 二輪車高速道路料金の見直し
  ※最終目標は軽自動車と同じ車両区分を分離すること
2. 2024年度の二輪車定率割引とツーリングプランの実施

【AJからの要望】
3. 2024年度のETC車載器購入に対する助成金の支給
4. 二輪車駐車場の確保と現実的な駐車違反取締りの実施
5. 商品中古車の軽自動車税の免税、軽自動車と二輪車の価格・
  用途の違いに配慮した二輪車への適切な課税
6. 沖縄県における二輪車の第一通行帯走行規制の撤廃

5. 販売店にのしかかる商品車への課税免除など要望

▲全国オートバイ協同組合連合会の大村直幸会長


ここは販売店の集まりのAJならではの要望で、お店に置いてある商品車両(中古車)への軽自動車税の課税をやめてほしいというもの。総務省から全国の自治体に要望を続けていて、さいたま市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、岡山市、広島市、福岡市、北九州市など政令指定都市でも商品軽自動車税が免除となっている。

バイク販売店の経営にとっては大きな問題なので、全国の自治体で実施してほしいものだ。なお、2023年10月時点で、22都道府県116市町が実施している(AJ調査判明分)。

▲バイク販売・買取店の相棒と言えばトラック。街中でもよく見るお馴染みの光景


また、軽自動車と二輪車の価格・用途の違いに配慮した二輪車への課税についても要望している。一部の二輪車(小型二輪 ※250cc超の車検のあるバイク)と軽自動車(660cc 貨物用)では二輪車のほうが税金が高くなることもあるという逆転現象について訴えるものだ。

●250cc超の小型二輪の年額/6,000円
●貨物用軽自動車(660cc)の年額/自家用登録4,000~6,000円、貨物用登録3,000円~4,500円 

軽トラックにバイクを積んで走るスタイルは販売店では見慣れたものだが、トラックよりも荷台に積んでいるバイクのほうが軽自動車税が高いというのは何ともはやだ。

●回答(要旨)
軽自動車税は地方税で市区町村の判断ということで出席者からの明確な返答はなかったが、公明党の税制調査会長である西田実仁氏が閉会の挨拶のなかで「税制の部分のご要望も頂きましたのでしっかり検討していきたい」と回答した。

▲公明党オートバイ議員懇話会の副会長を務める西田実仁税調会長

6. 理不尽! 沖縄の第一通行帯問題についても要望

▲国道58号の旭橋駅付近。緑色に塗られた第一通行帯に「二輪」と標示され、第二・第三通行帯には「二輪を除く」と標示されている。※写真提供:ばんない堂(098free.com)


これは、沖縄県のいくつかの市街地幹線国道(58号、330号、507号、329号)の一部区間において、排気量に関係なく二輪車は第一通行帯(第一車線)を走らなければならないという規制について撤廃を求めているものだ。

原付一種は道路交通法でそのように定められているからわかるが、該当区間では大型バイクでも第一通行帯を走らなければならない。交差点で右折する際にはかなり手前から車線変更を始める必要があり、混雑や渋滞でもしていようものなら危険極まりない。

また、規制の開始・終了の際に必要となる車線変更が事故を誘発しかねないし、レンタルバイクで沖縄を初めて走る観光客にとっては疑問と不安を通り越して恐怖でしかないだろう。

全国でも沖縄県のみのこの特殊な規制について、AJほか二輪業界団体は数年前から規制の撤廃を要望し、現地での視察や話し合いなども重ねてきており、2021年3月には東恩納(南)交差点から比尾根交差点までの国道329号の約11kmの規制を解除できた。

翌年の2022年3月には比尾根交差点から兼城交差点まで国道329号でさらに20kmほど規制解除したほか、国道58号の勢理客北交差点から城間交差点の8車線区間においても約2.8kmの規制解除を実施した。

さらに、2023年3月にはコザ交差点から普天間交差点の国道330号で約7.5km、兼城交差点から旭橋交差点の国道329・507・330号の約6kmが解除となった(沖縄県警作成による上図参照)。

●警察庁の回答(要旨)
警察庁交通局の岩瀬交通規制課長:規制中と解除後で事故は増えていません。沖縄県警の判断ですが「来年も引き続き規制を解除し、将来的には全廃を目指してやっていきたい」と聞いています。

車線変更やすり抜けによるバイク事故が多かったことから50年前くらいに始まったというこの規制、二輪業界から国会議員や沖縄県警といった関係各所への要望が実り、毎年の解除が続いてはいる。

しかし、まだまだ規制区間は残っており、国道58号では一部の解除区間により虫食い状態となっていてかえって危険だ。すみやかに全廃されることを望みたい。

▲沖縄県の国道58号・泊交差点付近もまだ規制解除されていない


二輪業界から公明党への二輪車利用環境改善に関する要望について2回にわたって紹介した。こうした地道な要望活動がライダーやバイク利用者の環境改善につながっていることを知ってほしいし、読者の皆さんにもぜひ応援してほしい。

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