座席はスケボー!?
こんにちは、青木タカオです。ポルトガルの首都、リスボンにて開かれたインターナショナル・メディアローンチ(国際発表/試乗会)に招かれ、ちょっと変わった新型車に乗りました。BMWの「CE 02」(シーイー・ゼロツー)です。
見た目からして、奇想天外だと思いませんか。真っ直ぐに伸びたメインフレームに、スケートボードのようなシートが載せられ、従来のオートバイならあるはずの燃料タンクの位置には、車体前方へせり上がったシートがあるだけ。空洞になっていて、向こう側が見えています。
いっ、いったい……、どうなっているのでしょうか!?
内燃機エンジンはありません。動力源は電動モーター。まだまだ珍しい、EVバイクのニューモデルなのです!
どうなっているバイクのEV化
カーボンニュートラルを目指し、四輪では着実に進んでいるEV化。バイクはいかがでしょうか!?
もちろん、オートバイだってやっております。ボク(青木タカオ)は2019年の夏、アメリカ・オレゴン州ポートランドにて開かれたメディア向け試乗会で、ハーレーダビッドソンブランドの「LIVEWIRE(ライブワイヤー)」に乗り、いよいよ二輪もEV化が加速すると予感したのですが……。現状、ホビーユース向けスポーツバイクの電動モデルは、まだほとんど製品化されておりません。
バイクの電動モデルは原付2種までの小型車が大半を占めるなか、BMWモトラッドは早くから軽二輪モデルを発売しています。同社の四輪EV「i3」の技術を応用し、2014年にヨーロッパにて「C エボリューション」を先行発売。日本市場にも2017年に導入しています。マキシ(大型)スクーター「C650」系がベースで、日本では軽二輪登録となります。
2022年には「CE 04」(シーイー・ゼロフォー)をリリース。最高出力31kW(42PS)を発揮する電気モーターと60.6Ah(8.9kWh)の容量を持つリチウムイオンバッテリーを採用し、フル充電で130kmの走行ができます。
「C エボリューション」から「CE 04」へ、EVバイク黎明期から着々と電動モデルを製品化してきたBMW。「CE 02」は同社のEVシリーズ第3弾となります。
ストリートに馴染むBMXスタイル
これまでのマキシスクーターではなく、「CE 02」はまたがって乗るスポーツバイク仕様。BMXをそのまま大きくしたかのような軽快なスタイルです。
BMWは公式ホームページにて、新ジャンル「Eパルクーラー」であると謳っています。いったいなんでしょうか!? 渡航前にボクはまず語源となっている「パルクール」について調べておきました。
特別な器具を一切使わず、走る、跳ぶ、登る、ぶら下がる、乗る、転がる、回る、バランスを取るなど、フランス軍のトレーニングを起源とし、その歴史は第1次世界大戦までさかのぼるそうです。そしていま、ストリートやパークで若者のアーバンスポーツとして脚光を浴び、アクロバティックなエクストリーム系スポーツとしてオリンピック競技の候補にも挙がっているのでした。
そんなXスポーツからヒントを得た移動手段が「Eパルクーラー」なのです。電動への抵抗感が少ない若者向けのアーバンモビリティで、ストリートカルチャーに馴染むフォルム。実車を見ると、なんとなく合点がいくのです。
既存のバイクとは異なるコンセプトで開発された電動二輪車。都市に住む若者をターゲットにしています。
既存ユーザーではない若者へ
とにもかくにも、実車にまたがってみましょう。大きさは小型コミューターとフルサイズ車の中間的な印象。前後14インチの足まわりで、車体は小さすぎないし、大きすぎることもありません。
大型スクーター「C650」系をベースに開発された「C エボリューション」、その後継となる「CE 04」は、車体が大きかったのですが、「CE 02」はコンパクトで軽快感があります。気軽に乗れるフレンドリーな雰囲気があり、これまでバイクに乗った経験がなくとも、操れそうなムードを漂わせています。
シート高は750mmととても低く、ジャーナリスト向けの試乗車には今回、オプション設定となるコンフォートシートが取り付けられていました。これはクッション厚が10mmプラスされ、乗り心地を向上しますが、写真の通り足つき性もバツグンに良い。
身長175cm/体重66kgの筆者(青木タカオ)だと、地面におろした両足の靴底はカカトまでベッタリつきます。ボクは小学生の頃、背の高さはクラスで平均的なのに、正座すると誰よりもアタマの位置が高かったことから「座高イチ」と異名を持っていたほど足が短い。もっと小柄な人でも、足つき性に不安を感じることはないでしょう。
車体重量は132kgしかなく、押し引きもとても軽い。取り回しがしやすく、車高も低い。とびきりイージーな感覚で、つきあえるのです。
充実の足まわり
では、走りはどうなのでしょうか。もしやオモチャ感覚……!? それでは期待外れ、BMWの名が廃るでしょう。気になるのは、まず足まわりです。
テレスコピック式のフロントフォークはインナーチューブ径37mmの倒立タイプ。アウターチューブがゴールド仕上げで、見るからに立派です。129mmのスプリングトラベル量を確保します。
フロントブレーキは片押し2ピストンキャリパーに、239mmフローティングディスクローターの組み合わせ。
リヤサスペンションは車体左側にオフセットマウントされたモノショック式。スプリング長102mmで、プリロードアジャスター付き。片持ち式のスイングアームにリンクレスで装着されています。
タフなベルトにて後輪を駆動。電動モーターは最高出力11kw(15PS)/5000rpm、最大トルク55Nm(5.6kg-m)/0-1000rpmを発揮します。
さぁ、その走りはいかがでしょう! ここまででもう長くなってしまったので、気になる航続距離を含めて、次回またここでレポートいたします。
今回もまた最後まで読んでいただき、ありがとうございました。