1979年頃から沸き起こった一大バイクブーム。ホンダとヤマハによる原付クラスの販売拡大競争によって、330万台もの出荷台数を記録した。1980年代中盤以降にはレーサーレプリカモデルが隆盛を誇ったが、同時に拡大したマーケットに対応すべくさまざまなモデルが投入された。

●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:レッドバロン

現在も機種名として残るレブルやエリミネーターが生まれた時代

スポーツモデルやレーサーレプリカモデルが主流だった250ccクラスに、空冷2気筒エンジンを搭載した異色のアメリカン・ホンダ レブルが登場したのは1985年。“反逆”を意味するレブルという車名もまた、レプリカモデルに傾倒する風潮へのシャレとして効いていた。

そしてその2年後の1987年に登場したのが、ヤマハV-MAXと双璧をなすドラッガーであるカワサキエリミネーター900のスタイルを継承したエリミネーター250だ。“反逆”のレブルと“排除する者”のエリミネーターは、主流派とは一線を画したスタンスで根強い人気があった。時代を経て2020年代に、レブル/エリミネーターの名が生き続けているのも、それぞれのインパクトが強かった証拠である。

1987 ホンダ レブルスペシャル:1980年代バイクブームの最中に誕生、10年以上販売されたロングセラー

専用設計されたセミダブルクレードルフレームに、既存の250Tマスターをベースとしたエンジンを搭載してデビューしたホンダ レブル。同時代にヤマハXS250スペシャル/スズキGSX250L/カワサキZ250LTDがあったが、アメリカンモデルとしての本格的な作り込みが魅力的だった。

ちなみにVツインエンジンを搭載したヤマハXV250ビラーゴのデビューは1988年である。移り変わりの激しい250ccクラスにあって、マイナーチェンジを繰り返しながら1996年モデルまで継続販売されたのも特徴だ。

【1987 HONDA REBEL SPECIAL】

1985年の250ccクラス出荷台数1位は盤石のホンダVT250Fで、2位がヤマハFZ250フェーザー、3位がヤマハRZ250RRで、レブルが4位に食い込んでいた。シンプルなメーターまわり/フロント18&リア15インチタイヤ/660mmのシート高など、こだわりと扱いやすさを両立させていた。レブルスペシャルは、シリンダーヘッドカバーとヘッドライトリムなどをゴールドに、クランクケースカバーやウインカーボディをクロームメッキ仕上げとしたのが標準モデルとの相違点。

1996 カワサキ エリミネーター250SE:250ccクラスを超えたマッチョなスタイルと軽快な走りが魅力のドラッガー

兄貴格の900/750/400と同様に、スポーツモデルのエンジンを転用したドラッガーコンセプトを継承してデビューした、エリミネーター250。ボリューム感のあるスタイルながら車両重量は154kg(初代)と軽量で、最高出力40馬力のDOHCエンジンと相まって想像以上の速さが魅力だった。

初代登場の翌年1988年にはビキニカウルを装着したSE、さらに1989年にはスポークホイールのLXとバリエーションを拡充。ZZR250/エストレヤ/バリオス発売後も、1990年代半ばまで製造された息の長いモデルである。

【1996 KAWASAKI ELIMINATOR 250SE】

実際にはスリムで軽量なのだが、140/90-15サイズのリヤタイヤの視覚的効果かどっしり見えるエリミネーター250。初期モデルはスピードメーターのみだったが、ビキニカウルを持つSEでは1万6000回転のタコメーターが追加された。シリンダーヘッド左側にレイアウトされたエキゾーストパイプから、スラッシュカットされたサイレンサーにつながるマフラーのレイアウトも独特。カモノハシと呼ばれるリアフェンダーまわりの造形もエリミネーターならでは。

1995 ホンダVRX400ロードスター:NV400カスタム由来の52度Vツインを搭載。ゆったりとしたロードスポーツモデル

ホンダ独自の挟み角52度のVツインエンジンを搭載した、オーソドックスなロードスポーツモデル。このエンジンは1983年のNV400カスタムに端を発し、1988年に登場して大ヒットモデルとなったアメリカンモデルのスティードや、マニアックな人気を博したブロスに採用されてきた歴史があった。

それらに対して、前後17インチ/右2本出しマフラー/2本ショックのVRXロードスターは、実用面では不満はないもののインパクトが足らなかったのかもしれない。1995年に登場しながら短命に終わったモデルである。

【1995 HONDA VRX400 ROADSTER】

28.25度と寝かされたキャスター角と1510mmという長めのホイールベースながら、アメリカンとは趣を異にするデザイン。前後のホイールは、17インチアルミリムに48本スポークを組み合わせることで、足まわりの力強さをアピールしている。写真の車両は小径ヘッドライトを装着してウインカーを移設しており、スポーツスター的でもある。周囲はCB400スーパーフォア/XJR400/GSX400インパルス/ZRXといったスポーツネイキッド全盛で、このキャラクターは不利だったかも。

本記事で紹介した車両は、レッドバロンの在庫からセレクトしたもの。レッドバロンの中古車が注目に値するのは、絶版車や中古車で“主役級”とは呼べないモデルも手厚くラインナップしていること。独自にストックしたパーツで中古車の修理に対応する、レッドバロンならではの“パーツ保証”は、メーカー純正部品が販売終了となっていることも多い絶版車に安心して乗り続けられる大きな安心材料となっている。全国305店舗で4万3000台のバイクを在庫しているレッドバロン、他人と違う絶版車選びに役立つことだろう。

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