ライダー憧れの真っ直ぐに続く道
こんにちは、青木タカオです。広大な大地に、果たしなく真っ直ぐに続く道。ライダーにとっては、この上なく感動するシチュエーションではないでしょうか。
アメリカは格別です。圧倒的な広さと直線の長さはケタ違いで、どこまで走ろうとも、ちっとも景色の変わらない途方もなく広大なデザートの中を真っ直ぐに突き抜けるフリーウェイ(インターステートハイウェイ/州間高速道路)は、アメリカ大陸を走っていると実感がわいてきます。
ツーリングであったり、ジャーナリスト向けの試乗会であったり、これまで何度かそんな至福のひとときを味わってきましたが、長い時間をかけて走るとなると、また話しは少し違ってきます。
言葉にならないほどに感激し、この上なく開放的な気分となるのには間違いありませんが、見渡すかぎり交差点もなければ、カーブすらありません。
「なにかあるぞ!」と、はるか遠くに異物を発見すると、徐々に黒いものであることがわかります。それは大抵、フリーウェイでうんざりするほど見かける、バーストしたタイヤの破片です。砂が浮いたというか、深く積もった路肩に無造作に転がるタイヤの破片を見つけてはやり過ごします。
感動体験もやがて退屈に!?
ステアリングを切ることは許されず、ただただ車体が真っ直ぐに進むよう操作はきわめて簡単、というかシフトチェンジも必要ないので、バイクの上では一切何もすることがありません。
ひたすらハンドルを握って、アクセルを開け続ける。足を伸ばしたり曲げたり、走行風に負けじとフットボードやペグの上に立ってみたり、タンデムステップに足を載せたり、意味もなく伏せて前傾姿勢になったり、バイクの上でライダーができることは、せいぜいそのくらいしかありません。
あまりにも単調すぎるから、クルーズコントロールが付いているバイクなら、いっそうのこと走行中にハンバーガーでも食べてみようかという気にすらなります。
ライダーとすれ違えば手を振ったり、追い越すクルマにカワイイ女の子は乗っていないか覗き込んだり、馬鹿でかいトレーラーにタイヤがいくつ付いているか眺めたり、運転手にサムズアップしたり、ともにその環境を共有している周囲のドライバーとも不思議な連帯感が生まれます。あくまでも勝手ながら一方的ですが。
フリーウェイでのお楽しみポイント
そんな単調すぎるクルージングの中で、30分か1時間に1回程度のお楽しみが待っています。フリーウェイが交差するインターチェンジです。
クロスポイントにはほとんどの場合、ファストフード店(ドライブイン)とガスステーションがあり、休憩や給油するのなら唯一の選択となります。
「次でいいや」なんて思って通りすぎると、次の交差点までかなりの距離があり、ガス欠に怯えなければならなくなりますので、燃料タンクの少ないバイクの場合、立ち寄るのが賢明です。
定期的な休憩や水分補給は欠かせませんが、それでもインターチェンジを降りずにスルーすることももちろん珍しくありません。「燃料充分」「お腹は満たされている」「休憩はしなくても問題なし」となれば、通り過ぎることになります。
しかし先述した通り、ずっと変わらない景色の中で、30分以上経たなければ、また出くわすことのない唯一の変化が、このインターチェンジなのです。
通過する際は、どうなっているのか目を凝らします。なんせ、唯一の楽しみなのですから。単調な道に飽きた脳を刺激するものは何かないか?
「ドライブインにはどんなファーストフード店が入っているのか」「ガスステーションのブランドはなにか?」「バイクは停まっていないか」「ライダーとお喋りできたかもしれない」
とてつもなく規模の大きな交差点を通り過ぎる際には目一杯あたりを見回し、退屈を少しでも紛らわそうとするのです。
それでも見えるものはおおかた決まっていて、やはり馬鹿でかいガスステーションとファストフード店が隣接してあるだけだったりします。
アメリカンドリームの象徴
その一方、「ルート66」を巡るツーリングは変化に富んだもので、とても人気があります。2005年に国指定の景観街道「National Scenic Byway(ナショナル・シーニック・バイウェイ)」として「ヒストリックルート66」(一部972km)として一部が復活。日本からも多くのライダーが目指しています。
古くから「Missou Osage Indian Trail(オセージ・インディアン・トレール)」と呼ばれ、ネイティブ・アメリカンが使い、1930年代には新天地・西部への夢を見る開拓者たちが駆け抜けました。
モータリゼーションが到来する時期に整備が進んだシカゴイリノイ州〜サンタモニカ(カリフォルニア州)を結ぶ全長3755kmの東西大陸横断道路は、ジョン・フォード監督によって映画化されたジョン・スタインベックの「怒りの葡萄」で舞台となり、作品のなかで呼んだ「マザールート」の名は、多くの米国民の心に刻まれています。
往年の雰囲気を感じさせるモーテルやレストラン、カフェが点在するヒストリックルート66。古き良きロードサイドのムードは、2006年に公開されたディズニー映画『カーズ』でも描かれています。
バイク女子が一念発起の大冒険!
アメリカの広大な道、ルート66をはじめモニュメントバレー(アリゾナ)などを走り、USツーリングをたっぷりと堪能してきたバイク女子がいます。70歳からライダーデビューしたアクティブなお祖父さまにスポーツスター1200(XL1200T)を譲り受け、日本全国を駆け回る秋田ライダーえむちゃんです。
「バイク歴はまだ少ないビギナーです。ソロキャンを満喫しています」と、最初に取材したのは、まだわずか1年ほど前のこと。ココでも記事が配信されていますが、その公開日は2023年11月でまだ1年も経っていません。
※まだ読んでいない人はコチラ→「北海道もアメリカも!どこへでもハーレーで行ってみたい!〈ハーレーダビッドソンのある暮らし〉」をどうぞ。
インスタグラマーとしてもご自身のバイクライフを発信中で、ボクが編集長として携わるハーレー専門メディア『WITH HARLEY(ウィズハーレー)』(内外出版社)でも取材して以来、誌面やYouTube、SNSにも積極的にご出演していただき、ますます人気インフルエンサーへとなって注目を集めています。
昨年夏には「会社をやめて、アメリカを走りたい」と大胆すぎる決意をし、ハーレーダビッドソンを現地でレンタルし、ルート66を走るなどしてきました。
仕事柄、ボクはいろいろなメディアでモデルさんやインフルエンサー、バイク女子たちとお仕事をご一緒させて頂く機会がこれまでもあります。みなさん各方面でご活躍中ですが、秋田ライダーえむちゃんもまた、あらゆるメディアやイベントにお声がかかり、さらに飛躍していくのではないかと、我々ウィズハーレーのスタッフは見込んでいます。
前向きにいろいろなことへ挑戦し続ける姿勢は、見ていて元気がもらえます。これを読んでいるみなさんも、もしよろしければぜひ応援してください。
秋田ライダーえむちゃんのYouTubeチャンネル「バイク乗りえむちゃんねる」が、新たに開設されました。灼熱のアリゾナ・ルート66を巡るリアルなツーリングの模様を見ることができます!! 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。