新型コロナの影響で発生している”新車のタマ不足”について現状を把握するべく大調査。結論を述べればメーカーは改善に向けて努力しており、解消はそう遠くなさそう。となれば今はあわてず騒がず、次期愛車候補をじっくり検討するのが吉と思われます!

●まとめ:ヤングマシン編集部

品薄の大きな理由=バイクが売れているから

ご存知の向きも多いと思うが、新型コロナ禍の影響を受けて、新車が品薄という状況が発生している。それも人気のニューモデルだけではない。メーカーやディーラーで多少の差はあるものの、基本的には原付からリッターバイクまで、国内で販売されるほぼすべての2輪車が品薄となっているのだ。

その最大の理由として、”新型コロナ禍で2輪車の需要が増えている”ことが挙げられる。密を避けられる交通手段やレジャーとして改めて注目されているのに加え、’20年以降話題のニューモデルが続々登場しているのはご存知のとおり。すでに受注台数が年間の販売計画台数を上回った超人気機種では、”いま注文しても納車は’22年の春以降”という事態すら発生しているという。

こうした車両については当然ながらメーカーが増産体制を敷くわけだが、その際に他機種の生産台数を削って対応する場合もあり、これが人気機種以外の生産計画を狂わせて納期を遅らせる原因になっている。ここに部品や材料不足/海上コンテナ不足といった新型コロナ禍に伴う諸問題が絡み合うことで、より事態が複雑化している…というのが”新車品薄問題”の現状と言っていい。’20年の秋に発表されながらなかなか国内発売されないニューモデルも多かったが、こうした事情にから”生産計画が立たない”という理由も裏側にはあったと聞く。

もちろんメーカーもこの事態を重く見ていて、正常化に向けて努力しているのだが、「状況は本当に毎日のように変わり、車種や生産国でも事情が異なる。それらすべてが関連するため、本当に何とも言えない(メーカー関係者)」。我々は「いつ納車できるのよ!?」と具体的なことを知りたいわけだが、なにぶん人類が初めて経験するこの事態、正確な答えは誰にも分からないのだ。

この新車品薄問題は、中古車相場の高騰という現象も同時に引き起こしてている。なんと最近は”新車より高い中古車”が存在するのだ。しかし某人気機種では「転倒車なのに業者オークションの落札価格が新車価格を超えた!」という事態も起きているそうで、それを仕入れて売る側にだって言い分はあるだろう。需要と供給のバランス上、仕方のない問題であり、誰も責められない状況はここでも起きているのだ。

品薄のワケその1:予測を上回る受注

’20~21年はニューモデルの当たり年。たとえば’20年に1万3000台以上*を売り、250ccクラスの最多販売車となったレブル250の年間販売計画は9000台だし、’20年6月に発売されたCT125ハンターカブは販売計画8000台が発売前に埋まり、同年9月に発売されたニンジャZX-25R(販売計画5000台)とともに常に品薄状態が続いている。生産終了を発表したSR400のファイナルエディションは限定1000台のリミテッドと併せて約6000台の販売計画だったが、これも即完売したと聞く。ヒット車の多くに年間計画以上の受注が入り、1000台以上のバックオーダーを抱える機種もあるという。コロナ云々の前に、”売れ過ぎている”現状があると言える。(*二輪車新聞調べ)

現在の”売れすぎ”筆頭はこの2台。ともに発売して間もないが、すでに年間計画を上回っているという。[上] GB350:販売計画台数4500台/年 [下] レブル1100:販売計画台数3000台/年

品薄のワケその2:材料/パーツが揃わない

世界的な半導体不足や、そこに追い打ちをかける半導体工場の火災事故などは報道で知られるところ。近年のバイクは電子制御化が進み、構成部品として半導体を使うECUや電子部品が数多く含まれるため、この供給不足は生産計画の狂いに直結する。現に電子制御を多用するハイテク系機種ほど供給が難しく、入荷台数がかなり絞られるものも出るという。さらにはプラスチックの原材料も不足が伝えられるなど、次に何が不足するのかまったく読めない状況だ。

品薄のワケ3:運べない/作れない

新型コロナ禍では世界中で経済活動が停滞し、しかも船舶が各国の港に入港できない…という事態も発生して、物流が混乱。巣ごもり需要の増加に伴う物流増などで、コンテナ船の枠を奪い合う事態も起きているとのこと。近年のバイクは、国内生産車であっても部品は海外製という例も多いため、パーツが入ってこないという状況は生産計画を直撃する。さらに、緊急事態宣言やロックダウンで市民活動が制限されれば、工場の稼働率も低下する。あちらもこちらも立たない状況だ。

※写真はイメージ

中古相場がエラいことに!?

本文でも触れたとおり、人気車種では新車と中古車で価格の逆転現象が起きている。下の2車はその例だが、他にも同じような状況の機種は存在する。しかしながら、これは需給のバランスによって業者オークションの落札価格が高騰していることも一因だから、一概に中古車ショップを責めるわけにもいかない。悩ましいところだ…。

新車/中古車の価格逆転現象|レブル250[例] ‘21 ホンダ レブル250Sエディション(50km走行車) ●中古車参考価格:88万円(新車価格:63万8000円) 
新車/中古車の価格逆転現象|Z900RS[例] ‘20 カワサキZ900RS(1200km走行車) ●中古車参考価格:160万円(新車価格:135万3000円)

販売の現場はどう感じているのか?

新車が品薄というこの状況について販売店に直撃インタビュー。4つのショップが現状を語ってくれた。

〈A店〉1店ごとの台数が決められ、自由に発注できない

「原付から大型まで、すべての機種で納期が不安定です。メーカーは「この機種はいつ生産」と教えてはくれますが、それも現状では9月以降。今は3ヶ月から半年ぐらい前に発注した車両がやっと入荷するような状況です。人気機種となると希望台数は発注できず、メーカー側が店の規模に応じて “1店あたり何台”と振り分けます。ただ、この場合は入荷台数が読めるので納期もアナウンスできます。お客様も状況はご存じなので、とくに混乱は起きていません」

〈B店〉ショップの規模や力によっても差がある

「確かに車両は余るほどには入ってきませんから、やはり新型コロナ禍の影響はあります。とはいえ納期が見えないというほどではありません。そのあたりは店のランクというか、販売規模や優先順位も関係するのでしょう。原材料や半導体が不足し、船も遅れて工場も人手不足という状況はもちろん好ましいものではありませんが、品薄なら安売り競争も起きにくいですから、バイク販売ビジネスが正常化されるといった側面もあるのではないでしょうか」

〈C店〉注文枠が一瞬で埋まり、メーカーに在庫がない

「他社ほどではないにせよ、やはり納期遅れはあります。国内生産車のほうが不安定ですね。海外で作られている車両には通常どおりの機種もありますから…。とはいえ異常な状況ではあります。我々にはメーカーから「◯月◯日から発注可能です」という案内が来て、そこで注文可能な車種や台数が分かるのですが、その枠が一瞬で埋まり、メーカー在庫がない状況が続いています…。店頭在庫を持てない店にはとても厳しい状況だと思います」

〈D店〉半導体を多く使うハイテク機種が厳しい

「ABS用の半導体不足が深刻で、夏から年末にかけてのモデルは減産になったり、生産計画が立っていないと聞いています。我々が申請した台数より2割も少なくなるとか…。オーセンティックな機種より、やはり半導体に絡んで電子制御満載のハイテク機種の品薄が顕在化しそうです。新車よりも高い中古車といった問題も出てきているので、メーカー側ももっと具体的な、お客様が納得してくださるような説明をしてほしいと感じます」

事態は改善方向にある。静かに待つべし!

とはいえ、一時は受注停止となっていた機種が台数を絞りつつ生産を再開させているという話も出てきたり、その供給も偏りが出ないよう、ディーラーに収める台数をメーカー側が調整しているという話も聞く。また非公式ながら「秋〜冬頃に納車遅延は解消予定」とアナウンスしているメーカーも出ていたり、大手輸入車ブランドに関しては「’20年とは異なり、’21年は大きな混乱は起きていない」という回答も多かった。新型コロナ禍に伴うこの異常事態は、確実に改善に向かっていると言っていい。

ここで改めて言いたいのは、この状況は”誰も得をしない”ということ。注文したバイクがいつ入荷するか分からない状況は確かに悲しいが、お客さんがいるのに販売できないディーラーも辛いし、生産計画を何度も修正しているメーカーだってハード。仕入れ額が上昇し続ける現状は中古車ショップだって望まない。

であれば我々ユーザーが取るべき行動は、”静かに待つ”ことだろう。騒ぎ立てたり誰かを責めるのは愚の骨頂。メーカーは収拾に向けて鋭意努力しているし、新車が正常に供給されるようになれば中古車相場も間違いなく落ち着く。ここは腰を落ち着けて、ヤングマシンを参考に(笑)じっくりと次期愛車を検討し、事態が落ち着くのを待って販売店へ足を運ぶのが”吉”かと。みんなでそうすることにしましょう!

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