中の人からお題が発令!?

 こんにちは。またこうしてボクの記事を読んで(読もうとして)くださいまして、ありがとうございます。バイク専門誌やWEBメディアをはじめ、一般大衆誌あるいは飛行機の機内誌など幅広いところでバイクに関する記事を書かせていただいておりますが、今夏の「バイクの日」(8月19日)にスタートした「ForR」への寄稿も少しずつ慣れてきたところでございます。

   好き放題に書いていいのかと、ときには80〜90年代に走っていたバイクを載せて走る夜行列車「モトトレイン」のことでしたり、片岡義男さんのオートバイ小説を熱く語ったりし、勝手気ままに筆を走らせている、いやキーボードを叩いてるボクですが、「ForR」の中の人(ご担当者)から1ヶ月に1回程度、執筆する内容についての『お題』が出てくることが最近わかってきました。

 これは放っておくと、青木タカオはつまらないことばかりを書くから手綱をしめろという、ボクだけに課せられたものかと斜に構えましたが、それは疑心暗鬼に過ぎなくどうやら筆者陣のみなさんへ向けて発動され、共通テーマで全体で盛り上がろうという狙いのようです。

89年に免許取得のボクが80年代を語る資格があるのか!?

 で、今回のお題が「80年代バイクブームについて」。バイクブームは、ご承知のとおり背景にバブル景気がありまして、オートバイの新車がバンバン売れました。そんなバブル世代に「昔はよかった」みたいな話をされましても、氷河期世代といわれる団塊ジュニアなボクたちは困ってしまうのです。

 えっ、誰もそんな話していない? 失礼いたしました。では本題に入りましょう。ズバリいますと、16歳になって400ccの免許をとったのが1989年のボクですから、80年代のバイクブームのことを語る資格はあまりありません。

   
 ただ、7つ上と4つ上にバイク好きな兄がいまして(レーサーとして有名な“青木三兄弟”ではございませんので、どうぞお間違いなく)、バイクブーム時代の熱さというのは兄たちを通じて温度が伝わっております。

 毎日のようにふたりはバイクで出かけていましたし、家にはオートバイ雑誌があるのが当たり前。バイクが登場する映画やテレビは、レースを含めひと通り見ることに。工業高校に通う次男に、4サイクルと2サイクルの違いを教わったり。いま思えば洗脳、よく言うと英才教育でした。

16歳で免許取得、それが当たり前!?

 そんなふうにバイクが身近な存在にあったボクですから、16歳になったらすぐに中型二輪免許をとります。5月生まれなので、高校に入学してまもなく。たしか学校で最速だったかと思います。

 いま思えば、これがもうバイクブームの頃って感じなんでしょうね。教習所でも16歳の誕生日に入学を申し込みをしに来る子は珍しくなく、同じような高校生が一緒に教習を受けていました。

 当時、三ない運動がありましたが、都立高校の場合は免許取得OK。通学は禁止でした。バイクに乗るのは、我が家では既定路線でしたから都立高校へ進学することは中学生のうちに決定事項。親の反対もありません。

▲ヤマハRZ50(1981年)。我が家に最初にやってきたバイク。

 7年前、長男がRZ50を買ってきたときは「暴走族になりやがったな」と、父親にぶん殴られましたが、3人目のボクにはもうお構いなしで、むしろ応援してくれていたかもしれません。

70万円超えの新車を買う同級生

 すぐに中古車市場の最下層にあるカワサキGPZ250ベルトドライブ(何度もココで書いていますが、13万5000円でした)を購入し、同級生らから「すごい!」なんて言われて鼻高々なボク。「夏は北海道へ」なんてイキがるのでしたが、夏休みが明けると友人らも免許を取っていて、最新のレーサーレプリカを購入しちゃう猛者もチラホラ。

 いま思えば、やはり景気が良かったのでしょうね。70万円超えの新車を買ってきた友人はバイク好きの間ではスター扱い。ボクは宗谷岬の想い出を語る奇特なバイクマニアへと格下げとなっていくのでした。

 ちょうどこの頃から「250なのに!?」とか、「最近のバイクは高くなった」なんて声が聞こえだしたのではないでしょうか。友人が購入したレーサーレプリカの一線級モデルは、従来では考えられない価格設定となっていました。

■1989年当時の新車価格ランキング(国産400以下、60万円以上)
カワサキZXR400R:77万9000円
ホンダVFR400R:74万9000円
ヤマハFZR400RR:73万9000円
スズキGSX-R400:72万9000円
ホンダNSR250R SP:68万9000円
スズキRGV250ガンマ スポーツプロダクション:63万9000円
ヤマハTZR250:61万9000円
※競技仕様除く

▲ホンダNSR250R SP(1989年)。前・後輪に軽量のマグネシウム製ホイールを採用したSP仕様。ロードレース世界GP250ccクラスに参戦している「アジノモト・ホンダ・レーシングチーム」のカラーリング・デザインをイメージしたロスホワイト/テラシルバーのツートンカラーを採用している。

手軽にスタートできる環境こそ重要

 ふと思うのが、ボクのようにとりあえず安い中古車でバイクライフをスタートさせられる良い時代でもあったなということです。ボクが買ったGPZ250ベルトドライブは新車価格が33万8000円。13万5000円で買ったのは85年式で、わずか3〜4年しか経っていない言わば高年式車で、走行距離も5000km以下とピカピカの状態でした。

 超不人気車であったことも価格低下の要因ですが、探せば10万円以下でも「とりあえず乗れる中古車」がたくさん存在しました。

▲50ccバイクからスタートする友人も多かったです。スズキRG50ガンマも人気がありました。

 いま、バイク業界は「若年層にのってもらいたい」とか「Z世代へ」などといろいろと頑張っておりますが、手軽にスタートできるってことは重要だと思います。

 難しい課題がたくさんあるので、思いつきだけで中途半端な事は言えませんが、ひとつ言えることはボクのようにバイクが身近にある環境こそが、ライダーの人口を増やす大きな決め手になることではないでしょうか。

▲カワサキGPZ250ベルトドライブ 新車価格33万8000円、初期型は83年に出ました。

 そういった意味では、高価で手が届かないニューモデルのキャンペーン活動より、バイクに乗ったことのない人にまずバイクに触れてもらう。極端な話、安全に走れるのなら、そのバイクは何でもいいのです。風を切って走る体験を、若者たちに知ってもらいたいなぁ。

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