11月14日(日)、静岡県長泉町にある私立知徳高等学校で「高校生バイクデザインコンテスト」の最優秀賞受賞者である林茉那(はやし まな)さんらによるホンダ「グロム」への塗装作業が行われた。林さんは知徳高校創造デザイン科・美術工芸部の3年生で、卒業後は美術系の学校に進学する予定だそうだ。
地域の高校生が自ら企画したコンテスト
さて、このコンテストは、地域の高校生らが参加するクラブ「原動機研究部(以降、原研)」がバイクやクルマのデザイン・整備・レース活動などをするにあたり「せっかくだから、いろんな学校の人と一緒に、バイクのデザインや整備をしたい(西形さん)」「高校生にもバイクやクルマ、乗り物の良さや楽しさを伝えたい(田中さん)」という想いから企画したもので、地域の8つの高校の美術部生徒ら約50人が参加し、50点ほどの作品が集まったものだ。
原研は、今年の4月にグロムのデザイン用データを参加各校に配布。その過程では、グロムの実車を各校に順次展示して、生徒らが実際に車体に触れたり、細部の造りやデザインを確認できるようにしていた。
10月上旬には原研メンバーおよび支援者らによって選考が行われ、大賞が決定。メンバーに選考理由を聞いてみると「3つの色が使われていてカッコかわいいデザイン!(西形さん)」「かっこいいし万人受けする(渡辺さん)」といった意見が出て、多くの支持を集めたそうだ。
学校の美術室で「グロム」に色を塗ろう!
塗装の作業は知徳高校の美術室で行なわれた。知徳高校からは受賞者の林さんに加えて、一緒にコンテストに参加していた同じ美術工芸部の稗田真優さん(ひえだ まゆ/3年生)、内海妃南さん(うちみ ひいな/2年生)も参加。創造デザイン科の教師で部の顧問でもある柴田寛志先生はアドバイザーとして生徒らの作業を見守った。
コンテスト企画者である原研からは、渡辺悠徹さん(わたなべ はると/県立沼津工業高校1年生)、田中海豊さん(たなか かいと/私立飛龍高校3年生)、西形知夏さん(にしがた ちなつ/県立沼津工業高校3年生)、そして支援者の一人でタレントの大槻ひびきさんが参加して総勢8名での塗装作業となった。
さて、工程は、原研メンバーが白色のラッピングを施した塗装面などにアクリル水性塗料で直接塗っていくという段取りだ。色の調合は林さんら美術工芸部が行い、車体をスタンドで立てたりタイヤやカウルを外したりといった作業は原研メンバーらが行った。
「もっと白を足したほうがよくない?」「アクリルは乾燥したら少し濃く見えるよ」など美術工芸部ならではの会話が飛び交いながら色を混ぜていく林さんら美術工芸部。普段は平面デザインがほとんどで立体物への塗装は初めてということで、柴田先生もアドバイスや手伝いに忙しそうだ。
タイヤを外してホイールに直接塗料を塗る原研メンバーと大槻さん。ホイールはラッピングされていなかったため、元の黒色塗装の上にピンク色を3回くらい塗り重ねていく。
楽しい昼食の後は、塗装の仕上げへ
昼食休憩では、みんなで仲良く机を囲んだ。突発的に自己紹介が行われたり、バイクのことや免許のこと、お互いの高校の話で盛り上がっていた。ここまでの作業は意外と早いペースで進んでいるようだ。
昼食の間に塗料も乾いていたが、林さんのデザインでは、サイドカウル(シュラウド部)からシートにかけて曲線や直線がまたがっている。ここはマスキングテープではみ出さないように塗り分けないといけない。特に、シートの素材はマスキングテープが接着しづらく苦労したところだ。
マスキングのちょっとしたはみ出しや最終的なラインのズレは、林さんら美術工芸部の腕の良さでカバー! 自身のデザイン画を基にフリーハンドで塗り分けのラインを正確に決めていくところはさすがのひと言。
各パーツの合わせ目など、各部の塗り分けやラインも整えて完成! ホイールやサイドカバーなどラッピングがなかった部分も重ね塗りでキレイに塗れた。少し時間を置いて、塗料が乾いたところで完成の記念写真! みんな笑顔だ。
今後はレースや展示も! 継続的な取り組みに
塗装が施されたグロムは、原研の生徒らによるレース活動、さらには、地域の自治体と協働してのお祭り(産業まつり等)や道の駅、伊豆市役所等での展示が予定されている。バイクデザインコンテストは今後も継続的な取り組みとなる予定で、来年もまた開催し、地域の高校生がバイクに触れられる場づくり、バイクに親しみをもってもらえるような取り組みにしていきたいということだった。高校生による高校生のための取り組みに今後も期待したい。