速さではなくマシンの燃費性能を競う大会


 こんにちは青木タカオです。唐突ですが、みなさんが乗るバイクの燃費ってどのくらいですか? ボクが乗るホンダ『CRF250L』の場合、カタログ値(国土交通省届出値・定地燃費値)で47.5km/L、WMTCモード値では33.7km/Lとなっており、実際は30〜40km/L程度でしょうか。高速道路を一定速度で淡々と走れば良くなりますし、市街地でストップ&ゴーを繰り返せば、悪くなります。

本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会。

▲本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会。ホンダモーターサイクルジャパン提供

 燃費に優れるバイクの代表格と言えば、『スーパーカブ50』のホンダ4ストロークSOHC単気筒エンジンでしょう。しかし、耳を疑う記録が飛び出すから驚きます。なんとリッターあたり2451.870km!

 1リットルのガソリンで何キロメートルを走ることができるか、燃費の限界にチャレンジする競技会『本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会』(2023年9月10日決勝、モビリティリゾートもてぎ)にて目の当たりにしました。

オイル交換後のCRFで行った!

ボク(青木タカオ)の愛車、ホンダCRF250L。レッドバロン葛飾にて購入し、いろいろな場所へ出かけてバイクライフを満喫しています。

▲ボク(青木タカオ)の愛車、ホンダCRF250L。レッドバロン葛飾にて購入し、いろいろな場所へ出かけてバイクライフを満喫しています。今回はモビリティリゾートもてぎへ。

 レッドバロン独自の「オイルリザーブシステム」を利用し、お得にスピーディにオイル交換を済ませたボクの『CRF250L』。レポートをまだ読んでいない人はこちらです。

オイルリザーブシステムを利用しにレッドバロン葛飾へ! バイク女子の納車にも立ち会えた!!【ホンダCRF250L<S>購入レポ11】

 オイル交換をした翌日には、モビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡)へ行きました。常磐道を快調に走り、都内の自宅からおよそ2時間で南ゲートに到着しました。

過去にはリッター3644kmの記録も出た

 大会記録は2011年の3644.869kmで、モビリティリゾートもてぎからベトナム・ハロンまでの距離に相当するというから驚愕としか言いようがありません。

燃費の限界にチャレンジする競技会『本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会』(2023年9月10日決勝、モビリティリゾートもてぎ) 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲燃費の限界にチャレンジする競技会『本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会』(2023年9月10日決勝、モビリティリゾートもてぎ) 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 創造力を駆使し、速さではなくマシンの燃費性能を競う。これからの時代に求められる環境への取り組みを形にした新しいモータースポーツと言えます。

 1981年に鈴鹿サーキットで始まり、伝統と歴史のある大会です。わずか一滴のガソリンも無駄にしない体験を通じ、限りある資源の大切さを体感し、またさまざまな問題や課題を創意工夫とチャレンジ精神、チームワークで克服していく貴重な研さんの機会として広く社会に認知されています。

217チームがエントリーした『本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会』(9月9-10日) 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲217チームがエントリーした『本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2023 第42回 全国大会』(9月9-10日)。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 全国大会の舞台は、1997年からモビリティリゾートもてぎのオーバルコースへと移りましたが、もてぎ、鈴鹿以外にも各地域でも大会がおこなわれ、今年は6月3日もてぎ大会(モビリティリゾートもてぎ)、6月10日鈴鹿大会(鈴鹿サーキット)、8月5-6日九州大会(HSR九州)と続き、9月9-10日にこの全国大会(モビリティリゾートもてぎ)となりました。

創意工夫したマシンで戦う究極の頭脳戦

ホンダ『スーパーカブ』の4ストローク50ccエンジンを搭載。各チームが設計・製作した抵抗の少ない車体に積まれます。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲ホンダ『スーパーカブ』の4ストローク50ccエンジンを搭載。各チームが設計・製作した抵抗の少ない車体に積まれます。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 エンジンは先述した通り、ホンダ『スーパーカブ』の4ストローク50ccエンジンを使用し、車体は各チームがオリジナルで設計し製作します。中学生、高校生、大学・短大・高専・専門学校生、そして一般クラスで競われ、2人乗りクラスやホンダ4ストローク150ccエンジンを使用したニューチャレンジクラス、市販車ベースの二輪車クラスもあります。

大会運営が用意したガソリン燃料と容器。規定走行周を終え、残量を計測し、燃費が算出される。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲大会運営が用意したガソリン燃料と容器。規定走行周を終え、残量を重量計測し、燃費が算出されます。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 今年の全国大会は、217チームがエントリー。規定時間内にオーバルコースを平均速度25km/h以上で7周(約1万6389メートル)走行し、ガソリンの消費量を計測。燃費を算出します。2人乗りクラスと二輪車クラスは3周(およそ6856メートル)を走ります。

カーボンニュートラル燃料を用いたエキシビション走行

『Honda エコ マイレッジ チャレンジ』では史上初の「カーボンニュートラル燃料」を使ったエキシビション走行は興味深いものです。これまでのガソリンに替わって、バイオマスを原料としたカーボンニュートラル燃料を使用しました。

写真右がカーボンニュートラル燃料。バイオマスを原料とし、化石由来の原料を一切使用していない。左は従来のガソリンです。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲写真右がカーボンニュートラル燃料。バイオマスを原料とし、化石由来の原料を一切使用していない。左は従来のガソリンです。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 CO2排出量の削減効果があると考えられていて、モータースポーツ界では急ピッチで導入が進んでいるのです。全日本ロードレース選手権最高峰クラスである「JSB1000」では、世界の二輪レースに先駆け、化石由来の原料を一切使用していないカーボンニュートラル燃料の使用が始まりましたし、四輪でも「スーパーGT」や「スーパーフォーミュラ」、量産車ベースの「スーパー耐久シリーズ」にて、カーボンニュートラル燃料の導入がすでにおこなわれ、モータースポーツの世界最高峰カテゴリーである「F1」も2026年以降、e-fuel(イーフューエル)への切り替えが決まっています。

 ホンダもF1再参戦を決め、この分野への意気込みが強いことが『Honda エコ マイレッジ チャレンジ』でのエキシビション走行であったり、来年度からのクラス導入などからも伝わってきます。

ホンダ学園関東校「H-TEC CN-プロジェクト」。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲ホンダ学園関東校「H-TEC CN-プロジェクト」。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 ホンダ学園関東校による「H-TEC CN-プロジェクト」と、本田技術研究所の「Team-Truth」の2チームがエキシビション走行し、2台とも完走を果たしました。結果は下記の通りです。

CN01「H-TEC CN –プロジェクト」:709.018 km/L
CN02「Team-Truth」:1206.419km/L

本田技術研究所「Team-Truth」 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲本田技術研究所「Team-Truth」。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

将来有望な学生たちが好記録を続出

中学生クラスを制した東京都の「あきる野市立東中学校Team-A」チーム。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲中学生クラスを制した東京都の「あきる野市立東中学校Team-A」チーム。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 合計16チームがエントリーした「中学生クラス」は、東京都の「あきる野市立東中学校Team-A」が、808.630km/Lの好記録で優勝。2位にも「あきる野市立東中学校Team-B」が545.347 km/Lで続き、さらに3位まで「あきる野市立東中学校」が独占する強さを見せました。末恐ろしい天才中学生たちです。

参加最多、激戦の高校生クラスは「千葉県立下総高等学校自動車部B」が見事に優勝しました。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲参加最多、激戦の高校生クラスは「千葉県立下総高等学校自動車部B」が見事に優勝しました。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 最も参加の多い「高校生クラス」は、83台の頂点に「千葉県立下総高等学校自動車部B」が、2105.226 km/Lの記録で立ちました。「千葉県立下総高等学校自動車部A」が2位で、記録は1,744.330km/L。1-2位フィニッシュの同校は大会7連覇を達成するエコチャレ伝統校です!

大学、短大、高専、専門学校生クラスは「八戸高専自動車工学部NP号Ⅳ」が優勝。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲大学、短大、高専、専門学校生クラスは「八戸高専自動車工学部NP号Ⅳ」が優勝。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 大学・短大・高専・専門学校生によるクラスは43チームのエントリーがあり、1585.755km/Lを記録した「八戸高専自動車工学部NP号Ⅳ」が優勝し、大会2連覇を成し遂げました。「KIT夢考房Welt」による記録1443.299km/Lが、2位でした。

たった1リットルのガソリンで2450km以上を走る計算

一般クラスで1位、総合優勝となった「水曜クラブ」。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲一般クラスで1位、総合優勝となった「水曜クラブ」。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 一般クラスで優勝した「水曜クラブ」は大会総合優勝=本田宗一郎杯となる2451.870km/Lの記録を叩き出し、大会2連覇を達成。2位は「富士エコラン・チーム白糸」で、記録は2384.826km/Lでした。

ホンダ4ストローク150ccエンジンを使用するニューチャレンジクラスは「栃木県立矢板高等学校 OB」が優勝。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲ホンダ4ストローク150ccエンジンを使用するニューチャレンジクラスは「栃木県立矢板高等学校 OB」が優勝。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 ニューチャレンジクラスは「栃木県立矢板高等学校OB」が、1535.888km/Lの記録で優勝。エントリー4台の接戦を制しました。

タンデム走行する2人乗りクラスは「栃木県立矢板高等学校 C」がウイナー。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲タンデム走行する2人乗りクラスは「栃木県立矢板高等学校 C」がウイナー。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 2人乗りクラスは、「栃木県立矢板高等学校C」が、607.403km/Lの記録で優勝です。

「Little Cubs」が強さを見せた二輪車クラス。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲「Little Cubs」が強さを見せた二輪車クラス。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

 34台が出走した「二輪車クラス」は「Little Cubs」が、294.424km/Lの記録で見事優勝しています。

▲空気抵抗を減らすための走行姿勢。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

▲空気抵抗を減らすための走行姿勢。 画像:ホンダモーターサイクルジャパン提供

笠間栗ペーストを贅沢に使用


 静かで熱いレースを観戦した後は、常磐道・友部サービスエリアで休憩。『笠間栗ソフトクリーム』(テーブル利用時610円)をいただきました。

 実際のレースの模様や参加者たちの声は動画でレポートいたしましょう。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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