●文:ヤングマシン編集部

これまではガソリン車の原付スクーターで協業

本田技研工業とヤマハ発動機は、ホンダが持つ原付一種の電動バイク「EM1 e:(イーエムワン イー)」、「BENLY e: Ⅰ(ベンリィ イー ワン)」をベースとした日本市場向けモデルをヤマハへOEM供給することに合意したと発表した。今後、両社間で契約締結に向けた検討を進めるとしている。

これまでも、ホンダとヤマハは原付一種市場において協業を行っており、2018年3月以降に発売されたヤマハ「ジョグ」「ビーノ」は機関部分がホンダ製、デザインはヤマハ製だ。

2016年10月より協業における業務提携の検討を開始し、主に「50cc原付スクーターのOEM供給」「次期50cc原付ビジネススクーターの共同開発・OEM供給」「原付一種クラスの電動二輪車普及に向けた協業」について検討。2018年3月よりホンダが50ccガソリン車の原付スクーターをヤマハにOEM供給してきている。ヤマハの「ジョグ」(上写真)はホンダ「タクト」、同じくヤマハ「ビーノ」(下写真)はホンダ「ジョルノ」がベースだ。

交換式バッテリー「ホンダモバイルパワーパックe:」を使用

Honda Mobile Power Pack e:

また、ホンダ、ヤマハに川崎重工およびスズキを加えた4社は、2019年4月に2019年4月に日本国内における電動二輪車の普及を目的とした「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」を創設。電動二輪車普及の課題である、航続距離や充電時間への解決手法の一つとして、共通利用を目的とした交換式バッテリーとバッテリー交換システムの標準化検討を進め、2021年3月に標準化(共通仕様)に合意した。

こうした取り組みに続き、ホンダとヤマハは、日本で個人の移動とビジネスに活用されている原付一種において、引き続き多くのお客様のニーズに答える電動二輪車を提供していくために、共通仕様に適合した交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を動力用電源とするEM1 e:、BENLY e:Ⅰをベースとした車両のOEM供給に合意した。

【Honda EM1 e:】2024年6月時点で国内1400台、グローバルで2600台を販売。

【Honda BENLY e:Ⅰ】国内の郵便用途などを含め、2024年6月時点で1万台以上が稼働しているという。

ヤマハブランドで販売されるものについて、EM1 e:ベースのものはデザインが少し変わるといい、交換式バッテリーのシェアリングサービスであるガチャコ(Gachaco)も使用できるとのこと。街中でバッテリー交換できる充電スタンドの普及にも弾みがつきそうだ。

ヤマハ製の原付一種EVがなくなるわけではない

発表後の質疑応答では、ホンダ製のヤマハEVの発売は2025年春と判明。また、ヤマハは独自の原付一種EVの開発をやめるわけではないとし、今後も独自モデルが登場する可能性について示唆した。

このほかヤマハにはガソリン車のビジネス向けスクーター「ギア」もあるが、こちらはベンリィe:IベースのEVに置き換わっていくはずだ。デザインについて変更があるかは明言されていない。

今後、スズキやカワサキの動向も気になるところだが、NHKの報道でホンダとともにガソリン車50ccの販売を終了するとされたスズキについては、今回のコラボレーションに続く可能性が高いと思われる。

2015年に発売されたヤマハの独自モデル「E-Vino(イービーノ)」は、充電旅をテーマにした人気TV番組でも使用されている。これの存続については発表会の質疑応答で「今のところ未定」とされた。

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