ワイヤーは潤滑油不足で動きが悪化&摩耗する!

オートバイのクラッチやスロットル、ドラムブレーキなどは、ワイヤーを介して操作する構造が主流です。ワイヤーはアウターとインナーとに分かれており、筒状のアウターの中を細い針金を紡いだインナーワイヤーが通り、中を滑るように動きます。

特にワイヤーのカーブの部分では両者が擦れ合いますし、インナーもアウターも共にスチール製(一部にはステンレスもあり)で腐食が発生するので、潤滑油は必要不可欠。

潤滑が不十分だとインナーワイヤーが摩耗する原因となり、破断に至ることもあります。

常に良好な動きを保ち、急なワイヤーの破断を防ぐためにも、定期的なグリスアップが欠かせません。

ワイヤーをグリスアップするには専用のオイルが必要です。ワイヤーの内部に行き渡るように液状で、かつ長期に渡る潤滑性の継続が求められるので、固形グリスやスプレー式の浸透潤滑剤は適しません。

今回は、ヤマルーブの「ワイヤーグリース」を使用してスーパーカブのブレーキワイヤーをグリスアップしました。

ワイヤーの注油をスムーズにする専用工具

ワイヤーは長く、アウターとインナーの隙間はわずかなので、そのままワイヤーグリースをスプレーしても内部には十分に行き渡りません。そこで専用工具であるワイヤーインジェクターを使用します。

ワイヤーにセットした状態で固定ボルトを締め込みます。

注油口にスプレーノズルを挿し込んでワイヤー内部にグリスを行き渡らせます。

ワイヤーインジェクターは、バイク用品店や工具専門店などで手に入れることができます。

スーパーカブのフロントブレーキワイヤーグリスアップ手順

ブレーキの遊びを調整するアジャストナットを緩めてブレーキドラムのカムからワイヤーを外しておきます。

ゴミや雨水の侵入を防ぐゴムカバー外すと、インナーワイヤーはカサカサ状態で油分はありませんでした。

次にブレーキレバーを外します。ピボットボルトをプラスドライバーと10mmのメガネレンチで外しました。

ワイヤーをレバーホルダーから外します。写真のゴムカバーをずらしておきます。

レバー側のワイヤーは古いグリスで汚れていたのでパーツクリーナーで清掃します。

レバー側のワイヤー端部にワイヤーインジェクターをセットし、スプレーノズルを挿し込んでグリスを注入します。

ワイヤーインジェクターのセットが適切でないと、隙間からグリスが漏れ出てしまいます。その際は改めてセットし直す必要があります。

ワイヤーの反対側(ブレーキ側)からグリスが出てきたら、内部に行き渡った証拠です。

外したついでにレバーもグリスアップ!

レバーの根本のピボット部分が古いグリスで汚れていたので、パーツクリーナーで洗い流しておきます。

同様に車体側のレバーホルダーも清掃します。

レバーピボットの部分にグリスを塗布します。ここにはマルチパーパスタイプのリチウム系のグリスが適しています。

適材適所グリスの選び方の記事はこちら

レバーのピボットボルトにもしっかりとグリスを塗布します。

最後にブレーキワイヤーとレバーを組付け、遊びを調整して作業は完了。ブレーキランプが点灯するかどうかも確認しておきます。

その他のワイヤー類も定期グリスアップを行いたい!

今回はブレーキワイヤーの注油手順をご紹介しましたが、スロットルワイヤーやクラッチワイヤーへの注油も同様の手順で行うことができます。

メーターケーブルはインナーとアウターを分解することができるので、より簡単な手順でグリスアップを行うことができます。

操作感に異常があるなら早めの点検整備を!

ワイヤーの動きが悪いと操作感は悪化し、ワイヤー破断を招きます。定期的な注油を行い、スムーズで快適な走りを楽しみたいものです。

ただ、作業に自信が無ければプロに依頼するのが間違いありません。

また、ワイヤーは長期間の使用で伸びてしまうこともあります。その場合、新品に交換することでシャキッとした操作感が蘇ります。ある程度、年数が経っていたり、走行距離を重ねたバイクはワイヤーの交換を視野に入れましょう。

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