気づかぬうちにサビやすいメッキ加工の金属製品。こすり落とせる程度のものならまだいいが、長期間放置されたサビを手作業で落とすのは至難の業だ。そんなときにぴったりだったのが、バイクの燃料タンク用のサビ取り剤。本記事では、バイクメンテナンス系ユーチューバー・DIY道楽テツ氏が、「タンクサビ取りクリーナー」を用いて約60年前のバイクのパーツのサビ落としに挑戦する。
●文/まとめ:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
【YouTubeクリエイター:DIY道楽テツ】バイク雑誌の編集に携わったのち、20年以上の溶接の経験を活かしてDIYに勤しむYouTubeクリエイター。「バイクを元気にしたい!」というコンセプトで定期的に動画を配信している。最近では徒歩旅に目覚めたという。’76年生まれの2児の父。[URL]DIY道楽(メインチャンネル)/ のまてつ父ちゃんの日常(サブチャンネル) |
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メッキ部品は美しいですが…サビてしまうのが玉に瑕
メッキ部品、美しいですよね。特にバイクパーツに用いられると、プラスチック部品ではとうてい及ばない高い気品と重厚感を醸し出してくれます。しかしその一方で、サビやすいのが玉に瑕。気をつけているつもりでも、いつの間にか隅っこのほうや部品の裏側があっという間にサビだらけになってしまうんですよね。
そんなわけで、今回ちょっとした実験をしてみました。フと思いついたのを軽い気持ちで試してみたのですが、予想以上の結果になったのでここで皆様にシェアしたいと思います!
ダメもとで挑みたい。今回サビ落としをしたいメッキ部品はコチラ!
今回サビ落としをしたいメッキ部品はこちらです。登場していただきましょう、せぇの、どん!
どうです、見事なサビっぷりでしょう! それもそのはず、1965年式、実に57年前(!)のヤマハ メイト70の部品で、しかも雨ざらしになっていた車体から取り外したものです。ここまでサビてしまうと、潤滑スプレーを吹き付けてブラシで擦ったところで焼け石に水。一般的なサビ落としのケミカルを使ったところで、時間ばかりかかってしまうでしょう。
そんなわけでダメで元々。今回は、バイクのタンク内部のサビ取りに用いる「タンクサビ取りクリーナー」を使ってみたいと思います。タンクの内部には目を覆いたくなるような重度のサビが発生することもあり、それならこのメッキのサビもひょっとしたら落とせるくらい強力なのでは? と思った次第です。
登場! モノタロウの「タンクサビ取りクリーナー(中性)」です。
作業はいたって簡単! タンクサビ取りクリーナーを希釈して漬けるだけ
それでは、早速作業を始めましょう。…と言っても、部品が入るプラスチックの容器とお湯(60度くらい)を用意しただけ。100円ショップで売っていた小さめのコンテナにメッキ部品を並べて、「タンクサビ取りクリーナー」を注ぎ、60度のお湯で希釈します。10倍や20倍に薄めても効果があるそうなのですが、今回のサビは手強そうなのでかなり濃いめの2倍で試してみました。
そして、あとは待つだけ!! 作業自体は1分で終わっちゃうぐらい。むしろ、お湯を沸かす方が時間かかったぐらいですね(笑)。
コンテナに部品を並べて、60度のお湯で濃いめの2倍希釈。あとは成分が効いてサビが落ちるまでじっと待つだけです。
果たしてサビは落ちるのでしょうか、じっくり観察します
ここから、じっくりと観察してみます。浸け込んでから30分程は、ほとんど変化がありませんでした。「こりゃダメかな?」とも思ったのですが…。反応が始まったのはその後から。サビの鮮やかさが徐々に失われ始め、1時間が経過すると全体的に色が薄くなってきました。4時間も経つと、すっかりモノトーンの世界に…。
最初は目に見えた変化はありませんでしたが、30分を過ぎたあたりからサビの色が変わり始めました。
1時間が経過すると、全体的に錆の色が薄くなりました。肉眼で見た感じではまだ錆が残ってるのですが、浸け込む前の状態と比べると一目瞭然。
4時間経過後には、あんなに茶色かったサビがほとんど灰色に。これ以降は特に状態の変化が見られなくなったので、ここら辺で打ち止めといたしました。
果たして結果は? ビフォーアフターを比べてみたらその違いにびっくり!
箱の中から部品を出してしっかり水洗いし、乾燥させます。写真を見て頂ければ一目瞭然ですが、あんなに真っ茶色だった錆がほとんど壊滅状態です。こんなになってしまいました!!!
茶色いサビがぜんぶ落ちて、メッキが復活。すごいすごい、予想以上の効果でした♪
再掲になりますが、漬け込む前はこんな感じのサビサビ。もう言葉で説明する必要はありませんよね。
残念だった事は…といっても、当たり前と言えば当たり前なのですが、サビが酷くてメッキ層の下にまで入り込み、メッキが剥がれて鉄の地肌むき出しのところは黒っぽく変化しました。ちなみにこれはサビが残っているのではなくて、黒い「防錆膜」に変化しているのだそうです。
メッキを侵食するほど進行してしまった部分は、黒っぽい防錆膜となってさすがに輝きは戻らず…。
逆に、メッキが生きていたエムブレムの表面はサビの膜がほとんどなくなり、輝きが戻りました。これは、今回使ったタンク錆取りクリーナーが中性で塗装面を侵さない成分だったので、メッキそのものには悪影響がなかったからだと思われます。
一面が真っ茶色だったエンブレムは、表面のサビがすっかり落ちてこのとおりピカピカに。
ありがとう、タンク錆取りクリーナー! しかもこれ、繰り返し使えるんですって!?
見事にサビを落としてくれた「タンクサビ取りクリーナー」。最初は透明だった液体はうっすら茶色に汚れてしまいました。さて、これはどう処分するのものか?と思って説明書を読んだら、色は汚れてもサビ落としとしては効果がなくなるまで繰り返し使えるんだそうです!
と、いうことは… 今回使った液体を別容器で保管しておいて、また、錆が出たメッキ部品を見つけたら、浸け込めるってことですかい? なんて素晴らしいコストパフォーマンス♪
実験結果のまとめと感想
いかがでしたでしょうか? 今回、一番感動したのはそのサビ落とし性能でしたが、次に感動したのは「作業の簡単さ」です。箱に部品を入れて、クリーナーを注ぐだけ。それだけでサビ落としができちゃうそのお手軽さ! 擦ったり磨いたりしてサビ落としをすることもできるのですが、広い面積のところは磨くのが大変だし、複雑な形状だったり、奥まった所などは磨きたくても磨けませんものね~。これは本当にありがたい…!!
とはいえ、サビ落とし全般に言えることですが、重度のサビになるとメッキの膜そのものを剥がしてしまうので、そうなってしまったら、もう手遅れ。そうなる前に、表面にうっすらサビが浮いてきた段階で処置をしたいものですね。また、サビ落としをした後はサビが再発しやすいので、防錆スプレーを吹き付けたりメッキ専用のワックスなどで適切な処理をするように心がけましょう。
というわけで…。今回の実験が皆様のお役に立てれば嬉しいです! 私のYouTubeチャンネルの動画では、錆が溶けていく模様をタイムラプスでご覧になることができます。かなり面白い映像となっているので是非ぜひご覧になってみてください~!
動画解説はこちら↓
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