2023年春に行われた東京・大阪モーターサイクルショーで話題を集めたアライの新型“シールド付きオフロードヘルメット”『ツアークロスV(ツアークロス・ブイ)』を早速インプレッション!
さてこの新型ヘルメットのポイントはなんといっても新開発のシールドシステム・VASの採用で、用途に合わせてスタイルが「アドベンチャースタイル」、「オフロードスタイル」、「オンロードスタイル」と3変化することだろう。まずはこの3つのスタイルの特徴から見ていくとしよう。
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①シールド付きの「アドベンチャースタイル」
『ツアークロスV』を購入して箱から出した状態がこのシールド付きの「アドベンチャースタイル」だ。特徴はやはりオフロードテイストのバイザー付きヘルメットでありながら、シールドを備えていて雨や高速走行時の走行風がしっかりしのげるようになっていること。普段使いはもちろんだけど、高速道路を使って林道ツーリングに行くようなライダーにとって使いやすいようになっている。
オフロードテイストあふれるバイザーは、もともと前走者が巻き上げる土や小石を遮り視界を確保するためなのだが、ツーリングライダーにとっては日除けのヒサシとしての効能の方が大きい。『ツアークロスV』のバイザーは、「Vクロス4」のような本格的なオフロードヘルメットに比べるとちょっと小ぶりで、上部に設けられた大きな隙間のおかげで高速走行時の風のヌケも良さそう。
②ゴーグルを使う「オフロードスタイル」
シールドが簡単に着脱可能でゴーグルが使えるようになっている。というのも運動量の多いオフロード走行ではとにかく息が上がるのでシールドを閉めているととても息苦しい思いをする。また曲面のあるシールドは多かれ少なかれ視界の歪みが気になるもの。より目に近いところで使うゴーグルなら視界の歪みが気にならなくなってとても走りやすいというわけだ。
実際にゴーグルを装着してみるとゴーグル本体はもちろん、バンドのおさまりも非常にいいカンジ! オフロード性能の高さで語るなら、もちろん専用に作られた「Vクロス4」の方が軽く、バイザーが大きかったり、よりチンガードが尖って口とのクリアランスが大きいぶん呼吸もしやすく、モトクロスやエンデューロのような激しいオフロード走行でより使いやすいようになっている。ただツーリングで高速道路もよく走るし、遠くの林道にも行くというような“公道メイン”の使い方なら、この『ツアークロスV』の「オフロードスタイル」の方が間違いなく便利そうだ。
③バイザーを外した「オンロードスタイル」
バイザーを外してモタードライダーやネオクラシックにも似合いそうな「オンロードスタイル」にすることも可能だ。しかも、新開発のシールドシステム・VASの採用で工具やオプションパーツを使わずにこの3つのスタイルを使い分けられる。「オンロードスタイル」にするには、TX-Vホルダー(サイドの黒いパーツ)のネジをコインで外せばヒサシ部分のバイザーが外れる。さらにシールドを外す場合には、TX-Vホルダー下部のボタンを押すと、“パチン”とカバーが外れ、シールドを取り外すことができる。いずれにせよ特別な工具やオプションのパーツを必要としないのがいい。
普段使っている「ツアークロス3」と新型の『ツアークロスV』を比較してみた!
せっかくなので普段使っているツアークロス3と比較してみることにした。まず手に取ってみると『ツアークロスV』の方がなんだか少し軽く感じるのだ。
「おっ? 結構軽くなってる?」 と思って秤に載せてみると、ほんの少しだけ『ツアークロスV』の方が軽いものの、その差も数十グラム程度で「ツアークロス3」とほぼ変わらず。ただ、不思議と持った感じはやはり『ツアークロスV』の方が軽く感じる。
色のせいもあるかもしれないが、なんだか帽体が若干小さい気がするのだ。またチンガード部分の張り出しが少なくなっているので、重さはほぼ同じでも小さくなったことで体感的に大きな軽さを感じるということか。まぁ、バイクのインプレッションでよく見かける“マスの集中”ってやつである。
またシールド前面の曲線が随分とゆるく、平らになっている。「ツアークロス3」の方が局面のアールがキツく、これが視界を歪ませていたことも事実。『ツアークロスV』は曲面が緩くなったことで視界の歪みが少なくクリアになっているのだ。
また、シールドのフルオープンした際の上がり具合も随分と違っている。新型の『ツアークロスV』の方がより高い位置までシールドが上がるようだ。長年ツアークロス3を使っていて、もう少し上がったらなぁ……なんて思っていただけにこれは非常に嬉しい進化だ。
『ツアークロスV』はシールドとゴーグルの併用が可能
しかもである! 戯れにシールドを取り付けた状態で、『ツアークロスV』にゴーグルを装着してみたところ……、なんとぴったりハマるではないかっ! よくよく見ればシールドのヒンジ付近に切り欠きが設けてあり、ゴーグルのバンドをうまく避けられるようになっている!
ええ、従来型のツアークロス3オーナーならお分かりかと思いますが、シールドを装着したままゴーグルを使おうとすると、バンド部分とシールドが干渉してうまくハマらないんですよね〜。ところが新型の『ツアークロスV』なら、シールドを外さずともゴーグルが使えるってワケです!
え? シールドがあるのにゴーグルはいらないよって? そんなローラースケート履いたままスケボーに乗るようなものじゃないかって? いやいや、林道ツーリングライダーはそんなに単純じゃないんです。
高速道路走行や雨天を考えるとシールドが便利……というか必須になるんだけど、シールドを閉めたままちょっと激しめのオフロード走行をしていると、かなり息苦しいし、メガネも曇る。ついシールドを上げたくなるのだが、そうすると目が無防備になるのだ。林道では前走者が跳ね上げる小石や砂ぼこりはもちろん、枝が張り出していたり虫も飛んでくる。なんとか目を守りたいとゴーグルをしたくなるものなのだ。
でも旅先でシールドを外して持ち歩くのってかなり面倒なこと。転倒の危険性もある林道ツーリングではなおさら、傷つきやすく意外とかさばるシールドは持ち運びたくないもの。『ツアークロスV』のようにシールドを上げたままゴーグルできると一番使い勝手がいいのだ。いやぁ、この新作の『ツアークロスV』は、そんなシールドとゴーグルを場面に合わせて使い分けたい林道ツーリングライダーの気持ちを鷲掴みってわけです!
……と、思わず興奮してしまい製品説明だけで随分と長くなってしまいました! なので実走レポートは次回へ持ち越し! ちょうどハスクバーナのノーデン901エクスペディションのメディア向け試乗会があるので、がっつりダートも走った印象などもそこでお届けしたいと思いま〜す!
アライ『ツアークロスV』
価格:単色:6万9,300円 / グラフィック:7万9,200円
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