北海道の道路建造物について説明しようと思う。
主要な道路脇で見られる、等間隔で設置されたデカい矢印の標識。果たしてこれは何のためにあるのだろう?
正式名称は固定式視線誘導柱。通称は矢羽根(やばね)と言う。さて、この矢羽根の役割についてお伝えしよう。
よく見ると道路(車道)の端っこを指しています。つまり、「ここまでが道路だよ」と示しているのです。
【冬に効果を発揮する矢羽根】
道東、弟子屈町の真冬の道路の様子。真冬には北海道全域で道路はこうなる。
センターラインも歩道の境目も分からなくなる。
そもそも矢羽根は冬季の除雪車のために造られたもので、除雪業者はこの矢羽根を見て除雪作業を行う。目印が無いと側溝に落ちたり、歩道を壊してしまう恐れがあるからだ。
除雪作業は昼夜を問わず、ホワイトアウトになるような猛吹雪の時にも行なう。著しく視界が悪くても作業をしなければいけないのだ。
【夏でも効果を発揮する矢羽根】
夏でも冬でも夜間走行時のヘッドライトで反射し、LEDで自ら発光するタイプの矢羽根がある。実はこれが夏でも大いに役立つ。
北海道の郊外は小さな街から街の間が10キロ以上離れていることもよくある。その間、真っ暗でヘッドライトのみが頼りになる。その中でこの矢羽根が設置してあると、道路の予測が容易となり、安全に走行できるのだ。
【視界を遮る建造物には理由があった】
もう一つ北海道特有の道路の建造物をご紹介したい。防雪棚(ぼうせつだな)という物。
何故か気持ちのいい景色が広がる場所の道路脇にそびえ立っている。
これは冬に役に立つ防雪柵と呼ばれるもの。夏にはこうして少しでも景色が見られるように解放されているのでありがたい。
ではこの防雪棚はどのように作用するのか解説しよう。冬には強い風は吹き、吹雪になる事も多い北海道。冬の風は北側から吹きつけて来るのだ(画像の防雪棚が設置されている畑側が北向き)。
冬にはこの羽根の部分を斜め下方向に閉じて「上側から風を集め、一気に下側に吹き付けて雪を吹き飛ばす!」という構造になっているのだ。(ただし風が無い日に雪が降ると、防雪棚の効果は得られず、普通に道路に積もる)
北海道の道路に設置している建造物、矢羽根も防雪棚も冬のためにある。北海道の謎の建造物は長い冬を生活する道民にとって無くてはならないもの。
多くのライダーは「夏の北海道」を目がけてやって来ますが、今回紹介した建造物は冬のためのものなので、その使用方法をご紹介しました。
バイクに乗るのは少し難しいけど、冬は冬で楽しいよ!