ツーリングに行くなら、○△岬、△□埼など、はじっこまで行ってみるのが大好きというライダーはいっぱいいます。筆者もそのひとり。地の果て、道の尽きる場所。そこから先にはもう、海と空しかない。いいですよね。宗谷岬も、竜飛岬も、犬吠埼も潮岬も素晴らしいですが、今回は先月から続く、四国の最西端「佐田岬(さだみさき)」のお話。

まずは前回までのおさらい、下灘駅

 

下灘駅  

 まずは、ちょっと前回までのおさらいをしましょう。
 佐田岬を目指す際に立ち寄りたいツーリングスポット第1弾として、先月、愛媛県伊予市の「日本一海に近い駅」下灘(しもなだ)駅をご紹介しましたが、覚えてますか? 佐田岬までは約80kmの位置にあります。

 JR予讃線の無人駅、下灘駅。場所は、伊予灘に沿ってシーサイド・クルージングが楽しめる国道378号線のすぐそば。ホームには、伊予灘を背景に古びた上屋と青いベンチがあるだけ。
 あまりのノスタルジックさに、下灘駅は多くの映画・ドラマのロケ地に使われたんですよね。

下灘駅のあとは長浜大橋へ

長浜大橋

 そして立ち寄りたいツーリングスポット第2弾として、日本最古の道路可動橋「長浜大橋」についてもお伝えしました。こちらは佐田岬までは約67kmの位置にあります。
 愛媛県最大の一級河川・肱川(ひじかわ)の河口に架かる、長浜大橋。1935年に完成した、跳ね上げ式の鉄鋼開閉橋です。我が国の近代化産業遺産であり、重要文化財でもあります。
 国の重要文化財の上を愛車で走れるなんて、そんな機会はめったにありません。ここもぜひ寄り道していってほしいところ。

いよいよ佐田岬半島、メロディーラインを越えて

 長浜大橋を超えたら、夕焼けこやけラインと呼ばれる国道378号線で、伊予灘沿いに西へ。
 八幡浜(やわたはま)の市街地で国道197号線にスイッチすれば、そこから先が、日本一細長いと称される佐田岬半島であります。
 現在は半島の尾根沿いにほぼ直線を描くように延びている国道197号線ですが、筆者が初めて訪ねた1980年代は、通るルートは半島の尾根沿いじゃなくて南側の海沿いの崖っぷち、見通しは悪く、あまりの狭路、あまりの険しさで、クルマとすれ違うのが怖いぐらい。仲間内では語呂合わせで「イクナ酷道」なんて呼んでいました。
 現在の国道197号線は、見晴らしもよく走りやすく、佐田岬メロディーラインなんていう愛称までついていて、イクナどころかイケイケの、人気のツーリングコースになっています。

  国道197号線・佐田岬メロディーラインは、34㎞ほど走ったところで海に出ます。そこは三崎港。フェリー乗り場のある港で、九州と四国の最短航路を結んでいる「国道九四フェリー」の発着所です。

国道九四フェリー
 この三崎港から四国最西端の佐田岬までは、今度は県道256号線で向かいます。
 最初は海沿いの広い2車線ですが、ちょっと走ると再び林の中。1.5車線の狭路をひたすら西へ。

佐田岬

 まあしかし、佐田岬半島では巨大な風車をよく見かけること。
 ここ、伊方(いかた)町は風力発電事業が盛んで、瀬戸ウインドヒル発電所、伊方町風力発電所、佐田岬風力発電所、三崎ウインドパーク発電所、瀬戸風力発電所、伊方ウィンドファーム発電所と、風車群があちこちにあるのです。

佐田岬
 巨大な風車群は景観を悪くする、と嫌う方もいるようですが、風力発電は二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーですから、むしろいい眺めに感じる、という方もいます。

佐田岬灯台まで、徒歩20分の道のりも楽しい

 三崎港から、県道256号線で約15㎞。ついに道の果てまでやってきました。広い駐車場に愛車を駐め、そこから佐田岬灯台まで遊歩道を歩いていきます。
 ただただ木々のトンネルをくぐり抜けていくかと思うと、途中、海辺に降りて砂浜を歩いたり。なかなか楽しい徒歩20分の道のりです。

佐田岬

 佐田岬って、1945年に終戦を迎えるまでは旧日本陸軍の砲撃基地だったそうです。四国の佐田岬と、九州の大分県佐賀関半島のあいだ、つまり豊予(ほうよ)海峡は、わずか13.5kmの海峡。ここを敵の艦船に突破されると、瀬戸内海に入られてしまう。水路が狭くなっている豊予海峡は、敵の通過を妨害しやすい軍事上の要。いまも遊歩道を歩いていると、戦争遺跡をあちこちに見ることができます。

佐田岬

四国最西端、佐田岬の先っちょ

佐田岬

 ようやく先端へ。椿山(つばきやま)展望台にやってきました。晴れていれば豊予海峡を隔てて九州の大分市や別府市、臼杵市方面を遠望できるそうです。
 展望台からは、間近に佐田岬灯台が。

佐田岬

 海風を全身に浴びながら、灯台と海を眺めていると、いろいろと胸に去来するものが、あったりなかったり。
 そして気が済んだら、来た道を戻りましょう。それだけのことなんだけど、旅の足跡は確実に脳裏に刻まれる。人生は一度きり。はじっこツーリングは楽しいのです。

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