ツーリングライダーは、はじっこが大好き。長距離ツーリングとなると、とりあえず突端まで行こう、そんな気分になるもの。伊豆半島なら最南端の石廊崎(いろうざき)、紀伊半島なら本州最南端の地でもある潮岬(しおのみさき)、北海道なら日本最北端の宗谷岬までやっぱり行ってみたくなる。今回は九州最東端、鶴御崎(つるみざき)のお話です。ここも他所に劣らぬ絶景スポットで、さいはて感もたっぷり! はじっこツーリングは、島国ニッポンならではのお楽しみのひとつと言えそうです。

半島の海沿いから尾根を越えてゆく

 鶴御崎

 鶴御崎は大分県南部、佐伯市から東に突き出している鶴見半島の突端。鶴御崎へバイクで向かうには、鶴見半島のメインルートである県道604号線を使います。道は1.5車線と細いものの、リアス式の半島の海沿いをたどるように走るためコーナーが連続し、走りがいのある道。岸辺にバイクを停めて、景色を眺めるのにも向きます。

 小さな港をつなぎながら海沿いをたどっていく県道604号線ですが、最東端の鶴御崎まで残り4キロとなると、今度はぐいぐいと勾配を上げ、半島の尾根を越えていく山岳ワインディングロードのような状態に。ライダーにとってはスペシャルステージでしょう!

鶴御崎

 左手に見えるのは佐伯湾、行く手に広がるのは豊後水道。その向こうは四国です。ついに九州最東端まで来たか! 気分は大いに盛り上がります。

展望ブリッジからの眺めが圧巻!

 鶴御崎まで残り1キロとなったあたりで、突如、大きな広場が。鳥羽一郎さんの「男の港」の歌碑が建てられています。鶴御崎を舞台にした演歌なのでしょうか。道を挟んだ反対側の駐車場には、「360度の大パノラマ 展望ブリッジ」と書かれた看板もあります。ここはせっかくですから、展望ブリッジに立ち寄ってみましょう。

鶴御崎自然公園 展望ブリッジ

 山肌に刻まれた登山道みたいな道をてくてく上っていくと、途中、太平洋戦争中に使われていた防空壕があります。付近一帯は当時の砲台や防空壕の跡地なんだとか。
 で、ぜいぜいと歩くこと数分。目の前に現れたのは……。

鶴御崎自然公園 展望ブリッジ

 これが鶴御崎自然公園の、展望ブリッジ。平成3年、標高279mの山頂に作られた、高さ5.4m、長さ54mの巨大なビュースポット。
 ここからの眺めが圧巻。

鶴御崎自然公園 展望ブリッジ

 「思わず息を呑む」だとか、「言葉を失う」という表現がまさにぴったり。最北端、最南端、最西端、最東端、はじっこは全国各地にありますけれども、この九州最東端もすごい。
 眼下にたたずんでいるのは鶴御埼灯台。しばし絶景を楽しんだら、足を運びましょう。

九州最東端に建つ鶴御埼灯台

鶴御埼灯台

 九州最東端、海抜200mの絶壁に建つ、鶴御埼灯台。青空の下、青い海を見渡す白亜の灯台です。地名は鶴御「崎」でも、灯台の名前は鶴御「埼」なんですね。観光看板には「日豊海岸国定公園 九州最東端・豊後鶴御崎 男の港 発祥の地」とありました。鳥羽一郎さんの歌、地元ではかなり愛されていることがうかがえます。

食事は大分のご当地グルメ「とり天」を

 旅に出たら、その土地の郷土料理を可能な限りいただく。これぞ「旅めし」。今回は、とり天。
 大分県民は鶏肉をたくさん食べるそうで、総務省が2019年、都道府県庁所在地と政令指定都市を対象に、一世帯あたりの鶏肉年間消費量を調査したところ、大分市が全国1位。
 近年にわかにブームとなっている鶏の唐揚げだって、その聖地は大分県の中津市だそうですし、唐揚げ専門店の発祥の地は大分県宇佐市とされています。

とり天

 とり天は、そんな大分だからこそ誕生したメニュー。昭和初期、大分県別府市内にある県内初のレストラン「東洋軒」が発祥とされ、以来、県内の多くの飲食店で提供されるようになったほか、ご家庭でも料理されるように。
 醤油やニンニクで下味をつけ、てんぷら粉でカラリと揚げられているので噛むと衣がサクサク、鶏肉からは旨味たっぷりの肉汁がジュワリ。
 練りからしを薬味に酢醤油でいただいたり、大分名産のかぼすを絞って味わったり、いずれにしてもさっぱりと食べられるから、何個でもいけちゃいそう。
 爽快ロードを走って絶景を堪能し、そして旅めしに舌鼓。みなさんもぜひ、大分ツーリングを楽しんでください!

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