東北エリアとの境界に位置し、北関東の一大ツーリングエリアである那須高原(栃木県)。牧場やロードサイドショップが点在するファミリー向けエリアといったイメージがあるが、バイクで行ってもとても走りやすく、北海道にも似た景色を楽しめる爽快な場所だ。

エリア全体を簡単に説明すると、東北道も縦断しているなだらかなエリアが那須高原。とても広大だが、その高原を県道17号線等でゆるやかに上っていくと、やがて山岳ワインディングとなり、那須岳に向かう。

この勾配がきつくなったあたりの県道17号線が、かつて「ボルケーノハイウエイ」という有料道路だった区間で、現在は県道17号那須高原線という名前になっている。

なので、那須高原の楽しみ方は主に2つ。1つ目は、高原エリアを流しつつ牧場などのレジャー施設を巡りながら美味しい食事も頂く。もう1つは、那須岳へと上っていき、ワインディングで走りを楽しんだり、点在する絶景を楽しむというもの。この2つを組み合わせれば、ツーリングとしては大満足のはずだ。

徐々に標高を上げていく那須高原線。まずは足湯から?

那須高原を県道17号線で上っていく。少し勾配がきつくなってくると、道路の左右に那須温泉の旅館や民宿が現れるようになる。舗装がアスファルトからコンクリートになり、左手に那須町観光協会(上写真・右の建物)が見えたら、ここからいよいよ山岳ワインディングが始まることになる。

少し身構えようとする、まさにその瞬間、観光協会の建物と道をはさんだ先に現れるのが、オススメの足湯「こんばいろの湯」だ。
ここは立派な湯小屋の中にあって、湯船も2つあり、対になるように配置されている。しかも無料! せっかく那須に来たのに温泉に入れそうにない… なんて人は、さっと立ち寄って足の裏から源泉を堪能してほしい。

なんと、あの殺生石が割れた!! 玉藻前は逃走中!?

さて、那須高原で今年話題になったニュースと言えば、観光名所「殺生石(せっしょうせき)」が割れた! というものだろう。平安時代に鳥羽上皇の寵姫となったが、やがて追われる身となった玉藻前(たまものまえ)が九尾の狐の姿でここまで逃げてきて、この地で討たれて巨石に封印されたという伝説の… まさに、その巨石が殺生石だったのだが…。
パッカーン> 見事に割れてた! (゜-゜) ホンマカイナ

近年、ゲームやアニメでキャラクター化されていた玉藻前だけど、この石の割れ方を見た多くの人は「あ、逃げたな…」と思うことだろう。ちなみに、すぐ近くの那須温泉神社には、玉藻前(九尾の狐)を祀った「九尾稲荷神社」もある。小さな神社だが、朱色の鳥居が並んで建つ様は独特の雰囲気があるので、ぜひ訪れてみてほしい。

那須高原線の山岳ワインディング区間へ

殺生石を後にし、那須岳に向かってひたすら上っていく。勾配はあるが、道幅も広く、対向車への不安もない。ほどなく現れる分岐を左に行くと現れるのが、絶景スポットの「那須高原展望台」だ。夜景もキレイということで恋人の聖地にもなっている。
ソロツーで来ちゃったおっさん(ワイも)は微妙な空気の中で休憩してほしい(笑)。向かいにはキレイなトイレもあるぞ。
なお、晴れていれば、頭上にはこのような景色が広がっている。那須連山の主峰、茶臼岳も望めるとのこと。
周囲が白樺の森となり、少し開けてきたなと思った頃、大丸園地に到着する。ここには大きな駐車場とトイレ、軽食などが頂けるお店が軒を連ねている。
どのお店もけっこう年季が入っている。閉業している店もあった。
ここの駐車場は微妙に傾斜しているので、バイクを停める向きには注意しよう。県道17号線はここで折り返して下っていくこともできるが、さらに上って終点を目指す。

大丸園地の先は、だんだん勾配がキツくなってくる。那須ロープウェイ山麓駅の前後は、ヘアピンがつづら折れのように続くなかで観光客の歩行者が出てくるという要注意区間。マジで危ないというかビクッとしちゃうからやめて…。
道幅が狭くなってきたが、そこからさらに1kmほどうねうねとした道を上っていくと「峠の茶屋駐車場」に到着する。あいにくの天気で視界が悪くてゴメンナサイ…。
ここは那須岳の登山口になっていて、その名の通り「峠の茶屋」が置かれている。が、残念ながら当日は閉まっていた。牛乳が名物らしい。
茶屋の前には飲料の自動販売機があり、登山客向けのトイレには広めの休憩スペースもある。さすがに登山口だ。ここの標高は1,465mで、県道17号線はここが折り返し地点となる。

今度は来た道を戻るように県道17号線を下っていく。大丸園地の分岐点では、反対側のルートを選び、ツツジの名所でもある八幡崎へ向かう。こちらのルートは勾配が少なくて走りやすいぞ。
八幡崎では県道17号線と県道290号線が交わっている。県道290号線もかつては那須甲子有料道路という名前だったが十年以上も前に無料開放されている。

八幡崎の辺りからは、白河方面の町並みが遠くに見渡せる。県道290号線を北に向かって走っていくと、ところどころ景色のよい区間もあるが、基本的には森の中を走っていく感じだ(下写真)。
県道17号線の紹介はこんなところ。天気が悪く、抜けがなかったのが残念だが、緑の美しさは堪能できた。

高原エリアでのオススメ その1「那須連山牛乳ソフト」

さて、山を下って高原エリアへと移動する。那須高原を代表する景色と言えば、緑の牧草地に牛や馬がのんびり過ごしている、まさしく牧歌的なもの。バイクで走りながら外から見ているだけでも心地よい雰囲気を楽しめるだろう。そこで、牧場つながりで外せないものと言えばソフトクリームだ。
道中のいろいろな所で頂くことができるが、気軽に立ち寄れてウマくて安い! ということでオススメしたいのが「道の駅 那須高原友愛の森」の中にある「ふれあいの郷直売所」だ。ここの「那須連山牛乳ソフトクリーム」がマジでオススメ! トロリと濃厚でいて後味はサッパリ! しかも、これで驚きの350円! 観光地価格じゃないのかよ!? と思わずツッコミたくなる逸品なのだ。

高原エリアでのオススメ その2「那須ラーメン」

さて、那須高原の麺といったら、何十年も前から蕎麦って相場が決まっている(ダジャレに気づいて)。私もツーリング雑誌を編集していた頃は、何度も蕎麦店巡りをしたものだ。

そんな絶品蕎麦店が軒を連ねるエリアで、近年じわじわ来ているというのが、今回紹介する「那須ラーメン」。そのお店の名は「やま吉 那須本店」さん。あれ? お店の外観がラーメン店のそれじゃない…。どっちかって言うと、那須高原にたくさんあるお肉系のお店に見えてるんだけど…(那須牛もウマいぞ!)。

洋風な店内に入り、少し違和感を覚えつつも、目的の「那須ラーメン(1,110円)」を注文。そして、ほどなく出てきたのがコチラ。
ドーン!!! おおう!(・。・)
器からしてこだわりを感じる見た目の良さ。ちなみに、今回は塩味で注文した。少し濁ったスープには背油が浮き、麺は中太のちぢれ麺だ。ややコシが強い麺と出汁の香りが漂うスープの相性が抜群! 疲れた体に染みわたるわぁ~。
で、那須ラーメンの那須とは?について。なるほど、味つけ玉子に那須御養卵、チャーシューに那須野ポーク、野菜類には地の物を使い、那須の食材にこだわっているのだ。食材はとても新鮮で、ギトギトした感じもなくあっさりと頂けた。美味なり!

ざっとではあるが、那須高原の走り処と立ち寄り処、グルメなどを紹介した。なお、まだまだ走り足りないという人には「那須モータースポーツランド」もオススメ! レッドバロンが運営するサーキットで、様々なイベントやライディングスクールも行なわれている。ツーリングのお供にサーキット走行もイイぞ!

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