デジタル技術を使い、現実世界に仮想世界を重ね合わせるAR(Augmented Reality、拡張現実)。そんな先端技術によって、1590年に廃城となった「戦国の名城・滝山城」が蘇る!? 気になったので、滝山城跡が広がる東京都八王子市の都立滝山公園へプチ・ツーリング。これが冬にぴったりのなかなか素晴らしい日帰りツーになったのです。
滝山城とは
滝山城は、文化庁によると「戦国時代に関東を治めた北条氏の名将・北条氏照が武田信玄や豊臣秀吉らの進軍に備えて八王子城を築くまで、居城としていた城」。
多摩川と秋川の合流点の南側に広がる加住丘陵に築城され、当時としては関東随一の規模だったとか。
1590年に、小田原の役に敗れた北条氏が滅亡し、廃城となります。
現在はその城跡が、都立滝山公園として活用されていまして、筆者もたまに出かけています。ここが憩いの場やハイキングコースとしていい感じなのです。
しかも駐車場が無料。
中央道・八王子ICから国道16号を北に500mほど進んだところにある左入町交差点を左折し、その国道411号(滝山街道)を2.4㎞ほど西へ進めば、右手に見えてきます。
滝山観光駐車場。駐車台数は普通車換算で29台。利用時間は8時~18時(冬期は16時まで)。都内なのに駐車場無料だなんて、八王子サイコー!
滝山観光駐車場の目の前にはファミマがありますので、お茶やサンドイッチを買い込んで滝山城跡へとハイキング開始。
滝山城跡を歩く
今回は「三の丸址」から「千畳敷址」、「二の丸址」「中の丸址」へと歩き、「本丸址」をゴールとして引き返します。
住宅地を抜けると、急に細い山道。最初のうちはけっこうな登り坂。でもまあすぐに坂はゆるくなります。
戦国時代の城へと通じる道ですから、いろんな仕掛けも用意されていまして、これが興味深い。
まずは、コの字型土橋。細い道が急に4回も曲げられています。これは敵方が一気に駆け上がれないようにしているんですね。
土橋というのは、堀を作る際、一部を土のまま掘り残して通路として使うことだそうで、当時はもっと狭く、敵方の侵攻を側面から攻撃できるよう工夫されているとのこと。
こうした珍しい城郭の遺構に関しては、公園内の要所15ヵ所に説明板が用意されています。滝山城が、複雑な地形を巧みに利用した天然の要塞であることが学べ、興味深いです。さらにおもしろいのは……。
ARアプリで想像が膨らむ!
スマホに無料の八王子市公式アプリ「AR滝山城跡」を入れると、要所要所でAR(拡張現実)を利用したシーンが再現できるのです。
アプリのインストールは出かける前に自宅で行なってもいいし、現地に行けばQRコードも提示されています。
アプリを起動し、道の途中にある遺構説明板のマーカーを読み取ると、AR開始!
そのままスマホを周囲のいろんなところに向けてください。すると……。
ただの土の道だった「コの字型土橋」の上に、CGによって当時の状況が浮かび上がりました。
なるほど、こういう構造、こういう仕掛けだったのかっ!
しかも音声ガイドによる説明文の読み上げも同時に行なわれるので、分かりやすいし、おもしろい。
駐車場がタダで、滝山公園への入園料も無料。さらにARアプリなんてユニークなものを作成してくれて、それで歴史の勉強ができて、山道を歩くから健康にもいい。なので繰り返します。八王子サイコー!
ハイキング気分で楽しむ
いろんなポイントでARアプリを起動させつつ、ハイキング気分で城跡をたどります。
こちらは千畳敷。滝山城跡の中でもっとも広い平場で、一辺が約60mの正方形。
城下の民が年貢を納めたり、陳情に来たりする役場のような施設があったと考えられているそうです。
こちらは最重要の政庁施設があったとされる、中の丸。ここも広い。土塁の残り方から考えて、防御のための櫓門があったのではないかと推定されているそうです。
中の丸から、城の最終的な砦となる「本丸」へは、木製の橋が架けられていました。中の丸に多勢の敵が押し寄せたとしても、橋を渡らなければ本丸までは来られないのですから、橋の上で敵の勢いを削いでいく、ということなのでしょうか。
いろんな城郭遺構を見てまわることができて楽しく、時間が経つのも忘れてしまうほど。
中の丸で昼メシ
中の丸に戻り、昼メシを食べることに。歩き始める前にファミマで購入した、おにぎりやサンドイッチです。
中の丸の北側には、多摩川を見下ろせるベンチやテーブルがいくつか用意されているのです。公園なので火気厳禁、アウトドア用ストーブは使用禁止です。
これがベンチからの眺め。
広々した多摩川の河川敷に、滝ガ原運動場が見えます。
駐車場に戻ったら、今度はあの滝ガ原運動場の直線路を走ろうかな。狭路だけど、いいストレートがあるのです。
河川敷に敷かれた、視界の開けた直線路。冬の澄み切った青空もいい感じです。多摩地域は案外、プチ・ツーリングが楽しめるのです。
ではまた!