サーキット走行にはほぼ縁がない筆者が、那須モータースポーツランド(那須MSL)のライセンス講習会に参加。意外にもカンタン&スムーズに、人生初のライセンス取得に成功しました。その一部始終をお届けします。
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50歳、サーキット走行始めました!?
2輪業界のライターでありながら、自らサーキットを走った経験がほとんどない筆者(50歳)。
今まで、一度だけ筑波コース1000でミニバイクの耐久レースをしたり、筑波サーキットとツインリンクもてぎの体験走行はしてきましたが、その程度です。
もちろん「興味がないことはない」のですが、サーキット走行に適した車両や装備が必要で、しかもそれを遠方のサーキットまで持って移動する……と考えると、ハードルが高く感じていました。
そんな筆者に、ForRの中の人(レッドバロンの担当者)から「那須MSLでライセンスを取ってみませんか?」とのお誘いが。
魅力的だったのは、「バイクとレーシングスーツなどの装備はレンタルできますよ!」との一言。ハードルだった部分がいきなり解消されたこともあり、二つ返事でOKしました。
まずライセンスとは何か。今回取得するのは「サーキットライセンス」で、そのサーキットを走るためのパス(許可証)のようなもの。サーキットでスポーツ走行を楽しむ上で必要不可欠なルールや注意事項の講習を受講した人に発行されます。
那須MSLのライセンス講習会に参加するためには、まず近隣のレッドバロン店舗で申し込みが必要です。
那須MSLの営業日は基本的に毎日、講習会を実施中。受講者が1人でも開催してくれます。開始時間は、「9時」「10時」「13時」「14時」の4回から選べます。
受講料はレッドバロン会員が5000円、一般が1万円。さらにライセンス料はレッドバロン会員が無料、一般の方は1万円です。
さらに一般的にライセンスの更新は有料ですが、レッドバロン会員がレッドバロンで購入した車両で走行する場合、有効期間は無期限! 一般の人は1年間有効で1万円で更新できます。
レッドバロン会員はオトクに那須MSLを満喫できるのです。これはレッドバロンでバイクを購入する大きなメリットの一つですね。
レッドバロン会員 | 一般 | |
受講料 | 5,000円 | 10,000円 |
---|---|---|
ライセンス料 | 無料 | 10,000円 |
スポーツ走行 料金 (1クール25分) |
平日:2,000円 土日・祝日:2,500円 |
平日:2,500円 土日・祝日:3,000円 |
計測器 | 500円 | 1,000円 |
ライセンス講習会と同時に、同日の「スポーツ走行」枠も申し込んでおくのがオススメ。せっかくサーキットに足を運ぶのですから、一度に楽しんでしまいましょう。店舗での講習会申し込み時に走行を希望すればOKです。
装備一式がレンタル可能、手ぶらでサーキットを走れます
さて、那須MSLに到着。東北道の浦和ICから高速道路で2時間程度の位置にあります。都心からはかなり近い部類ですね。筆者は今回、バイクがレンタルできるので、マイカーで来ました。
講習会の開始30分前までに受付を済ませる必要があります。
受付を済ませてから、まず用品をレンタルしました。レーシングスーツをはじめ、ヘルメットにグローブと一通りの装具が揃っています! 調べてみたのですが、革ツナギをレンタルできるサーキットはまず見ないです。まさに、手ぶらでライセンスを取れてしまうのです。
レッドバロン会員 | 一般 | |
レーシングスーツ/モタードスーツ | 1,000円 | 1,400円 |
---|---|---|
レーシンググローブ | 300円 | 700円 |
レーシングブーツ | 500円 | 900円 |
上記3点セット(割引料金) | 1,500円 | 2,500円 |
ヘルメット | 500円 | 900円 |
さらに車両もレンタルします。
バイクは2017年式のトライアンフ・ストリートトリプル(675cc3気筒)をチョイス。他にもBMW・R1200R、ヤマハ・MT-09、ホンダ・CBR600RR、カワサキ・Ninja250など様々な車種があります。車種は変更される場合があるので、那須MSLまで確認を。
レッドバロン会員 | 一般 | |
レンタルバイク料金 | 1,000円/クール | 1,500円/クール |
※1クール=25分。スポーツ走行の1クールに合わせた設定。
黄旗、赤旗、黒旗etc…・・・座学で基本ルールを学ぶ
まずは座学の講習会からスタートです。コントロールタワーの2階で、サーキット走行に必要なルールを学びます。
テキストが渡され、1時間ほどの講習となります。
もし転倒したら、なるべく速やかに起き上がり、後続車を確認。マシンを起こしてコース外へ移動させ、できるだけコースから遠ざけます。後続車が来ている場合は合図をして、コースを塞がないことが肝心とのこと。なおコース上での車両点検は厳禁です。
そしてフラッグの意味も重要。下に列挙しておきます。
黄旗
静止=コース外に人がいる。→ライダーは追い越し禁止で前方に注意する。
振動=コース内に人または車両がある。→ライダーは追い越し禁止。急ブレーキせずにペースを落とす。
緑旗
前旗の解除。ライダーは走行を続行する(省略されることも)。
赤旗
振動→ライダーは慎重さと注意を持ってピットに戻る。急ブレーキをせず徐々にスローダウンし、余裕があれば手を挙げる。赤旗を無視して3周以上したらライセンスは取り消しに!
黒旗
走行中、車両の異音やライダーの装備不良が発見された場合。→次の周でピットに入る。
チェッカーフラッグ
走行時間終了→チェッカー後の追い越しは禁止。なおチェッカーを受けた後に突然アクセルをオフにしないこと。これによって追突、接触するケースが多いとのことです。
なお平日などコーナーポスト要員が少ない場合、「回転灯」が使用されます。色は「赤」「黄」のみで、赤旗、黄旗と同じ意味になります。
レーシングスーツがベストだが、セパレートもOK
続いて、サーキット走行に必要な装備を解説しましょう。
身体を保護するためのギアなので、慎重に選ぶ必要があります。
ウエアは革ツナギが基本中の基本。上下一体でプロテクターも備えるため、万一の際の安全性は最も高いです。
しかし、那須MSLでは参加のハードルを下げるため、バイク用の皮革製品でさえあれば、セパレート(上下分割)の革ジャケットと革パンツでも走行OK。革と布などのハイブリッド製品の場合、8割方レザーで覆われている必要があります。
バイクの方は、125cc以下のスクーターやエンデューロタイヤ装着車を除いて、公道走行可能車は基本的に走行OK。NS125/250などの純レーサーは走行NGです。
走る前に、レンズ類(ヘッドライト、前後ウインカー、テールライト、ミラー、リフレクターなど)の保安部品にテーピングを行います。持参のガムテープやビニールテープでペタペタと保護します。これは走行中の転倒で保安部品の破片がコース上に飛散するのを防止するのが目的です。
実技走行でコースイン&ピットインを学ぶ
いよいよ走行開始。ピットロード前方のシグナル横に集合です。講習が終わってから15分後なので、ツナギに慣れていない人は講習会の前に着ておいた方がいいでしょう。
先導する講師の後に従いて、コースを2周走行します。一列走行で追い越しは禁止です。
ピットレーンの制限速度は20km以内。細い通路を進むと、コースインです。コースに入る際は後方確認して、左手を挙げます。
那須MSLでは、コースインした地点がバックストレート。約280mと最も長い直線なので、速度差が大きいです。そのためコースに入ったらすぐアウト側に行かず、次のコーナーまで60km/hほどでイン側を走ります。
事故を防ぐために重要なポイントです。
ポスト位置などコースの下見をしながらゆっくり走ります。
走行中に禁じられているのは、逆走、Uターン、故意のウイリーなど。タイヤを温めるために蛇行運転をしたくなるけど、これも禁止です。
また、速い人が後ろから迫ってきたからといって、「道を譲らなきゃ!」と急に進路変更してはダメ。事故の原因になります。もしマシントラブルが発生したら、左手か右足を出してアピールします。
今度はピットインの手順です。ヘアピン進入前からペースを落として右側(アウト側)を走行。ヘアピンを抜けたら左手を挙げます。その後は手を下ろして進み、ピットレーン手前に来たら後方確認しつつ再度手を挙げます。
さらにもう1周、コースインとピットインの練習をしたら、実技走行は終了です。ここまでの所要時間は、わずか1時間半に過ぎません。
少し待つとライセンスが発行されました! これで那須MSLをスポーツ走行できる許可を得たことになります。 ここまで簡単に、スムーズにライセンスが取得できるとは思いませんでした!
この後、さっそくスポーツ走行に挑戦するのですが、このライセンス取得にはワケがあったのです……。その理由は近日公開の記事で明らかになるので、乞うご期待!
那須モータースポーツランドの詳細はコチラまで。