皆さんは、自分のバイクの「型式」をご存じだろうか? どのバイクにも(クルマにも)先頭に3つのアルファベットか数字が並んでいる。実はこの文字、車両のある性能を表しているのだ。知っておくと得する豆知識を解説しよう! 

8BL? 2BL? アナタの愛車はどれ?

車検証などに記載されている「型式」とは何か? 日本国内で一般販売されているバイクやクルマは、国土交通省の「型式認証試験」を受けて合格する必要がある。こうして各モデルが取得した識別コードのような文字&数字の連なりが型式だ。
2021年9月現在、ホンダの代表的な車種の型式を例に取ってみよう。

CBR1000RR-R 2BL-SC82
レブル1100 8BL-SC83
X-ADV 8BL-RH10
CB400SF/SB 2BL-NC42
GB350/S 2BL-NC59
レブル250 2BK-MC49
CT125 2BJ-JA55

「2BL」や「8BL」などが共通で、ハイフン以降はバラバラになっていることをお気づきだろうか? 最初の3文字は「いつの規制をクリアしたか」「車種・排気量」などを示している。
詳細は下記の表を見て欲しいが、「2BL」「2BK」「2BJ」は平成28年排ガス規制、「8BL」は最新の平成32年排ガス規制をクリアした車両を意味する。

つまり型式における最初の文字は、車両の「環境性能」を示す。ここを見れば、自分のバイクがどの排ガス規制をクリアしているのか一目瞭然。マフラーなどを交換する際、愛車の規制に適合しない製品を装着してしまい、知らず知らず違法になっていたり、車検をパスできない……なんて事態を防止できるのだ。

規制/排気量 ~50cc
(原付1種)
51~125cc
(原付2種)
126~250cc
(軽2輪)
251cc~
(小型2輪)
平成10年(1998年) BA(4スト)
BB(2スト)
――

BA(4スト)
BB(2スト)

――
平成11年(1999年) ―― BC(4スト)
BD(2スト)
―― BC(4スト)
BD(2スト)
平成18年(2006年) JBH ―― JBK ――
平成19年(2007年) ―― EBJ ―― EBL
平成24年(2012年) JBH EBJ JBK EBL
平成28年(2016年) 2BH 2BJ 2BK 2BL
平成32年(2020年) 8BH 8BJ 8BK 8BL

↑最初の3桁の意味はコチラから判別できる。なお、'05年以前は2桁、'92年以前は1桁のみとなる。

どの文字にもきちんと意味がある

もう少し詳しく説明すると、型式の左から1桁目の文字の意味は、どの年の規制かを示し、2桁目は「燃料の種別」と「ハイブリッドの有無」を表す。燃料の種別には、ガソリン・LPG、軽油、メタノールなどがあるが、燃料ごとにハイブリッドシステムを採用しているか判別できるようになっている。
「ガソリン・LPG」車では、
A=ハイブリッドあり
B=なし
を意味しており、バイクの場合、ハイブリッドはほぼないため、多くはBだ。

3桁目は乗用車、貨物・乗合、2輪車、特殊自動車などの用途と、それぞれの排気量や重量といった条件を示す(H=原付1種、J=原付2種、K=軽2輪、L=小型2輪)。
そしてハイフン以降は個別の数字となり、フレームに刻印されるのもハイフン以降の型式だ。

型式詳細

↑4輪を含めた型式の詳細。国土交通省の資料より。https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk10_000001.html

 

PCXエレクトリック

↑現行唯一のハイブリッドバイクが、ホンダのPCX e:HEV。型式は「2AJ-JK06」で、2桁目がハイブリッドありを意味する「A」だ。これはレア! ちなみに完全電動バイクのPCXエレクトリックやE-ビーノは「ZAD」で始まり、排ガス規制を受けない電動の原付1種を意味する。

型式を見れば生産終了するかわかる?

さらに型式を見ると、今後のラインナップがある程度予測できる。
冒頭のホンダの型式に戻ってみると、'21年発売の新型であるレブル1100は「8B」ながら、同じくニューモデルのGB350は「2B」だ。これはなぜかというと、レブル1100は欧州でも販売されており、既に平成32年規制と同内容の欧州排ガス規制=ユーロ5が適用されている。そのため、先取りして平成32年規制に対応しているため、「8B」なのだ。
一方のGB350は元々アジア向け。多くのアジア諸国は、欧州と排ガス規制が異なり、規制が若干緩め。それを日本仕様にモディファイし、現在の平成28年規制で型式を取得しているのだ。

平成32年(令和2年)排ガス規制の適用時期

対象車両 適用開始時期
新型車(全排気量) '20年12月
継続生産車(51cc以上) '22年11月
原付1種(~50cc)の
継続生産車
'25年11月

上記の表のとおり、現在発売されている2B=平成28年規制対応の車両は、'22年10月末日まで販売可能だが、同11月1日以降は販売できない。
現行の2Bは、新規制の適用時期まで販売できるが、以降はモデルチェンジで新規制に対応しないと生産終了せざるを得ない。したがって現在、2Bのバイクは'22年10月末までに絶版、もしくはモデルチェンジが迫っていることを意味するのだ。
一方の8B=平成32年規制対応車は、もちろん'22年11月以降も販売可能。メーカー側の諸事情で生産終了はありえるものの、法規上は「当面安泰」を意味する。

――ただし、「8B」相当の環境性能を持ちながら、「2B」の場合もあるので注意。つまり、欧州でユーロ5をクリアしていながら、国内では平成28年規制の型式を取得した場合などに該当する。

最新規制に対応したモデルは意外と少ない!


国内4メーカーで、どの程度のバイクが8B=平成32年規制対応なのか。実は現状ではまだまだ少なく、ほとんどが2Bの平成28年規制。8Bの型式を取得した主要モデルは以下のとおりだ(筆者調べ)。

[ホンダ]
Rebel 1100 8BL-SC83
X-ADV 8BL-RH10
CB125R 8BJ-JC91

 CBR1000RR-R

↑意外と8Bが少ないホンダ。ただし'20年デビューのCBR1000RR-Rは、国内の型式が「2BL」ながら、欧州では既にユーロ5に対応済みだ。'21モデルとして復活したCBR600RRも「2BL」。しかし欧州で販売されておらず、現行型のままでは生産終了が危ぶまれる。


[ヤマハ]
YZF-R1M 8BL-RN65J
MT-09 8BL-RN69J
MT-07 8BL-RM33J
TRACER9 GT 8BL-RN70J
XMAX 8BK-SG70J
NMAX 8BJ-SEG6J
TMAX560 8BL-SJ19J

MT-09

↑ヤマハは、'21年にフルモデルチェンジしたMT-09をはじめ、旗艦のYZF-R1、人気スクーターのMAXシリーズなどがいち早く8Bに対応。4メーカーで最多だ。YZF-R25らは2Bのままとなっている。

 

[スズキ]
HAYABUSA 8BL-EJ11A
GSX-S1000 8BL-EK1AA
Vストローム1050/XT 8BL-EF11M
バーグマン400ABS 8BL-DU11N

ハヤブサ

↑3代目ハヤブサを筆頭に'21ニューモデルらが8Bを取得している。GSX-R1000RやV-ストローム250などは2Bで、動向が気になるところ。

[カワサキ]
Ninja ZX-10R/RR 8BL-ZXT02L
Z900 8BL-ZR900B
ヴェルシス1000SE 8BL-LZT00D

ZX-10R

↑カワサキは'21でフルモデルチェンジしたZX-10Rシリーズほか、3車種が8B。人気のZ900RSや、Z H2、Ninja1000SXなどは2Bのままだが、欧州ではユーロ5に対応しており「隠れ8B」と思われる。

<まとめ>バイクの選びの参考にも!

どんな規制に適合しているのか、愛車の型式を知っておくのは大事。また、今後の動向を予想しながらメーカーのHPやカタログで型式を眺めると、バイク選びの目安になるかもしれない。ぜひ御参考まで!

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