バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの? そのメリットは!?」なんて今更聞けないし…。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回は車体のブレーキ用語の 『ラジアルマウントキャリパー』だ。
そもそも『ラジアルマウントキャリパー』とは?
バイクに“ラジアル”という言葉が使われるパーツはけっこうある。以前紹介したラジアルタイヤのときにも説明したけど、ラジアルとは英語のradialで意味は“放射状”。ラジアルの付くバイク用語を聞いたら、“何かが放射状、もしくは放射方向に取り付けられている”と思えばまず間違いない。
では、ラジアルマウントキャリパーの意味である“ラジアル”に“マウント”された“キャリパー”とはどんな状態だろうか? キャリパーとはディスク状のブレーキローターを掴んで速度を落とすパーツで、これがラジアル方向に取り付けられているというワケである。
言葉で説明するより下の写真を見てもらった方が手っ取り早いだろう。注目して欲しいのはキャリパーを固定(マウント)するためのボルトの差し込み方向である。写真で指し示しているのがボルトの頭あたりで、ボルトが車輪の回転軸に対して“ラジアル”に差し込まれているのがわかるだろう。
ラジアルマウントキャリパーはなにがスゴイの?
『レーシングスペックの証だから』
制動時、バイクのブレーキシステムには強烈な負担がかかる。一般道で60km/hで走っていたとしても、200kgは当たり前、車種によっては300kgを超えるような車体を一時停止や赤信号の都度、安定して確実に減速させなくてはならない。これがレースになれば300km/hからの急制動だって当たり前、ものすごい荷重がブレーキシステムへとのしかかるわけだ。このためブレーキキャリパーやブレーキローターは頑丈な金属で作られるのだが、バイクの最高速度が飛躍的に高まり、倒立フォークが登場するなど、レースの世界では従来のキャリパーマウント方法ではブレーキパーツの強度が足らなくなってきた。
一般的なキャリパーの取り付け方法では、上の写真のように車輪の回転軸と同じ方向にボルトを刺してキャリパーを固定している。造作的には簡単でコストもかからない方法なのだが、ものすごい力がかかった場合にはキャリパーの取り付け部分に構造的な弱さが出る。回転方向に対して同方向のボルトで固定しているため、力がボルト部分に集中。結果としてたわみやガタが生まれやすいという弱点になる。専門的な言葉で“剛性不足”なんて言うけど、レースのような激しい走りをするような場合にはブレーキシステムが心許なく感じて“思い切りブレーキをかけられない”、“ブレーキの微妙なコントロールが難しい”などの弊害が生まれてしまう。
ここでもう一度ラジアルマウントキャリパーを見てみよう。キャリパーを固定するボルトが回転軸に対して“ラジアル”に取り付けられているのがわかるだろう。タイヤの回転方向に対して直交する形でボルトが刺さっているため、一般的なマウント方法に対してタイヤの回転方向への剛性が飛躍的に向上。よりハイスピードレンジからのブレーキングや、重たいバイクのブレーキングにもしっかりとキャリパーが耐えられるようになった。
『ラジアルマウントキャリパー』はなぜ小排気量車に少ないの?
そんなに素晴らしいシステムならば全てのバイクでこのラジアルマウントキャリパーを使えばいいじゃないか? と思うかもしれないがなかなかそうはいかない。と言うのも、車体が軽い中・小排気量に使われるピンスライド式の片押し式キャリパーにこのラジアルマウントキャリパーを採用しても、ピンスライドする以上、剛性的にはあまり意味がなく、単に大きく重たいだけになってしまう。まぁ、ぶっちゃけ一般的なブレーキキャリパーの取り付け構造でも、街乗りやツーリングなど公道レンジでの走りなら十分すぎるくらいの性能を持っており、実際大排気量モデルでも一般的なマウント方式を採用するバイクはたくさんある。…ただね、レースで使われるのと同じ高性能なブレーキシステムが自分のバイクに付いていたら、やっぱり“すげー!”“かっこいい!”となるじゃない!? だからラジアルマウントキャリパーはすごいのだ。
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エンジン系:水冷、DOHC、ハイオク、4バルブ、可変バルブ、ダウンドラフト吸気、ユニカム、デスモドロミック、過給システム、ラムエア、ターボ、スーパーチャージャー、アシストスリッパークラッチ、油冷エンジン、
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