実はここ数年、手と指に関節炎の持病を抱えてしまい、ツーリング中の握力低下やツーリング後の痛みに悩んでいます。DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)とかビッグスクーターへの乗り替えも検討していましたが…。
ところがどっこい、嬉しいことに、発進・停止時以外はクラッチレバーを握らなくてもいいという機構「クイックシフター」が目覚ましい進化を遂げてくれまして、ちょっと安堵しているところです。

以前は大型バイクのみに装備またはオプション設定されていましたが、カワサキ「ZX-25R SE」のクイックシフター「KQS(カワサキクイックシフター)」を使ってみて、こりゃ250ccクラスでも普及しそうだなと思っていたら…。
出ましたね! ホンダ「CBR250RR」にもオプション設定されました(税抜25,300円+工賃 ※'20年以降のモデルに対応)。

で、ここでは、クイックシフターとは何ぞや?とか、オートブリッピングやスロットルバイワイヤがほんにゃらとかメカ的な細かいことは抜きにします。僕にとっては「ラク、疲れない、なのに楽しい!」 が重要なんです。
なので、今回はとにかく街中で乗ってみました。ただ乗るだけなのもアレなので、ついでにいろいろと実験してみた結果をご報告します。

実験その1. 街中での低速(低回転)走行

クイックシフターと言えば、昔はシフトアップのみだったり、シフト操作できるギアや回転数が決められていたりと、制約や覚えることが多くて「それならいらない!」という感じだったんですが、技術ってすごいですね~。CBR250RRの取扱い説明書を見ると、作動条件はたったこれだけ。

●アップ時:1500rpm以上 ※アクセルを開けていること
●ダウン時:アイドル回転数以上 ※ニュートラルにも入るので注意

え~? 本当に!? ということで確かめてみました。軽自動車1台がやっとという狭い裏路地を走ってきたのでご覧ください。



停止・発進時以外はクラッチレバーを使っていません。もうね、感覚的にはオートマチック(正確にはセミオートマ)!  極低速時でもアップ・ダウンできましたが、ひと昔前のクイックシフターなら作動条件外のはず。ものすごい進化です!

実験その2. 市街地での巡航走行

クルマの流れに乗っての一般的な街乗りです。しかし、実験その1で証明した通り、極低速でもクラッチレバーを使うことなくアップ・ダウンできることがわかったので、今度は、制限速度内で6速(トップギア)まで入れてみました。大型バイクならともかく、250ccだとトルクがついてこないで、エンジンがガックンガックンいっちゃうかな?



いやぁ、驚きました。6速で40km/h、回転数は3000rpm以下ですが、体重80kgのおじさんが乗ってても、ニダボ(CBR250RRの愛称)のトルクは納豆のごとくねばっこくて、エンジンがガタつくこともなくスムーズに進んでいます。

信号停止時には6速からカンカンカンと1速まで落としましたが、ここでもエンジンが苦しむことはありませんでした。マジ無双!

実験その3. 中高回転域シフトアップ

次は、ちょっと意地悪して… 中高回転域でのシフトアップです。クイックシフターのショックが嫌いという方もいると思います。トルクの強い大型バイクだと低回転時のシフトアップ・ダウンではそこそこ大きなショックがありますが、ニダボではどうでしょうか?



これまでの実験でもわかる通り、CBR250RRのクイックシフターでは、低い回転数のほうがショックが小さく、中~高回転域にかけてショックを大きく感じるようになります。ただし、車体がつんのめったり、ぐらつくほどのショックではありませんので、全く不安は感じません。

実験その4. 高速道路への乗り降り時

高い速度域への加速・減速時はどうかということで、高速道路の乗り降り時でも体感してみました。本線上では何の問題やショックもなくシフトアップ・ダウンでき、まさにクイックシフターの得意とするフィールドでした。



加速時、1速で7000rpmまで引っ張ってからのシフトアップでは多少のショックを感じますが、車体の挙動に影響を与えるほどではありません。減速時でも、ニダボはスリッパ―クラッチを装備しているので、ホッピングやスネーキングの心配もなく、思い切ってシフトダウンできますね。 

まとめ. けっこういい加減でもダイジョーブ!

いろいろやってみて言えるのは、CBR250RRのクイックシフターの懐の深さです。とてもオプション設定の後付けとは思えない出来です。シフトアップもダウンもけっこういい加減にやれちゃうので、結果、ラクにも速くも走れます。

これにはシフター以外の様々な機構(フューエルインジェクション、スロットルバイワイヤ、スリッパ―クラッチ等)も関与していて、それらが合わさって、快適・便利な作動を実現しています。ねばりがあって、上から下までスムーズに回る直列2気筒エンジンとのセッティングもバッチリ決まってます(当然ですが)。

クイックシフターはレースの現場で開発されたものですが、ツーリングや日々の通勤でもその効果は抜群です。次の日に疲れを残したくない。そんな方にもオススメなのです!


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