バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回は、急ブレーキ時に作動する電子制御システム『エマージェンシーストップシグナル』をピックアップ!

そもそも 『エマージェンシーストップシグナル』とは?

急ブレーキ時にハザードを高速点滅させて、後続車に危険を知らせるのが『エマージェンシーストップシグナル』の役割。

 

高速道路などハイスピードで走行中。前方に危険物を発見した場合、誰もが急ブレーキをかける。また、急ブレーキまではいかないまでもコーナーの先で渋滞に出くわして、慌てて強めのブレーキをかける。……機動性の高いバイクで走っているとそんな状況は割と頻繁にあるものだ。そんな急ブレーキをした場合にとても役に立つ機能がこの『エマージェンシーストップシグナル』。日本語に直訳すれば“非常停止信号”。メーカーによっては、ESS(緊急停止信号)システムと呼んだりすることもある。

教習所では、「バイクは車よりも小さいおかげで距離感がつかみにくく、遠くにいると錯覚されがちな乗り物です。この特性を踏まえた運転を行いましょう!」なんてことは耳にタコができるほど聞かされたと思う。これは対向車からの見え方だけでなく、後方にいる車から前方を走るバイクを見た時も同じ。ブレーキをかけて近づいてくるバイクは、距離感が掴みにくく見落とされがち。結果として“前方を走るバイクが思ったよりも近くてブレーキが間に合わなかった”……なんて追突事故が起こる。

『エマージェンシーストップシグナル』

前後両側LEDウインカーがハザードランプの点滅よりも、より早いテンポで点滅するのが『エマージェンシーストップシグナル』。写真はCRF1100L アフリカツインのテールまわり。

 

そんなバイクならではの危険を回避してくれるのがこの『エマージェンシーストップシグナル』だ。IMU付きのバイクなら、急ブレーキによる加速度の変化を感知して『エマージェンシーストップシグナル』が作動。一方、IMUを搭載しないバイクの場合は、ABSなどのシステムによって急減速を感知し『エマージェンシーストップシグナル』を作動させている。

エマージェンシーストップシグナル

IMU搭載モデルは、車両の加速度の変化を常時監視。追突事故を誘発しそうな急な減速具合を感知すると『エマージェンシーストップシグナル』が作動するようになっている。

 

『エマージェンシーストップシグナル』のここがすごい!

高速点滅で効果的に注意を引きつける

『エマージェンシーストップシグナル』の仕組みは、急激な減速を感知すると両側のウインカーが秒間5回ぐらいの速さで高速点滅することで後方車両にその存在をアピールするというものだ。

実はこの点滅速度が非常に重要で、一般的なハザードランプの点滅感覚は1秒間1回、つまり1Hz(ヘルツ)ぐらいの点滅間隔だ。もちろん点滅しないよりかははるかに注意を引きつけられるのだが、『エマージェンシーストップシグナル』の場合はもっと点滅間隔が早く秒間約5回。つまり5Hzとハザードランプよりも点滅スピードがかなり早く設定されている。

エマージェンシーストップシグナル

急制動操作を行なった時に、ウインカー/ハザードランプが高速点滅して後続車に急ブレーキ中なことを知らせる。

 

以前、ホンダの技術者に『エマージェンシーストップシグナル』の点滅速度についてお話を聞く機会を得たことがあったが、1秒間に何回光らせるかによって後方車両からの認識され具合が大きく変わるという。ちなみに一番非視認性をあげるのに効果的な回数は1秒間に5回、つまり5Hzくらいが最も後続車の注意を引きつけられる点滅間隔とのことだ。

バイクの『エマージェンシーストップシグナル』にも、この5Hzに近い点滅間隔が採用されており、後続車の注意をより効果的に引けるようになっている。実際『エマージェンシーストップシグナル』を搭載する車両の後ろで、『エマージェンシーストップシグナル』が作動するところを見たこともあるが、対象車両を注視していなくても、視界の隅で『エマージェンシーストップシグナル』が作動すると、“おっ、何事だ!?”と注意を引きつけられる。同じ点滅のハザードよりもはるかに目立つ印象を受ける。

目の前に危険を発見して自分は止まれることができたとしても、後続車両に見落とされて追突されてしまったのでは意味がない。できることなら使わない方がいい機能にに決まっているのだが、『エマージェンシーストップシグナル』を搭載した車両なら、そんな状況でのもらい事故の確率を大きく下げられるというわけ。是非とも二輪メーカー全体でいち早く普及させてもらいたい機能であるが、日本国内でも法令化への動きがすでに出ている。

 

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