バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。前回は『ウイリーコントロール』を紹介したが、今回はレースでスタートダッシュをキメるための『ローンチコントロール』を解説していこう。
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そもそも『ローンチコントロール』とは?
あまりツーリングライダーには馴染みがないかもしれないがレーススタートなど、停止状態から最大加速を行うときに使う機能が、この『ローンチコントロール』だ。
多くのレースでは停止状態から、よーい、どん!でスタートして全車一斉に第1コーナー目指してかっ飛んでいく。当然、レースだから皆我先に進もうとするのだが、このスタートで乱暴なスロットルワークを行ってしまうとフロントアップが発生して“マクれて”しまったり、マクれないまでもフロントアップが始まってしまうと、それ以上スロットルが開けられず、最大加速が行えなくなってしまう。
『ローンチコントロール』のここがスゴイ!
スタートダッシュに全集中できる!
……ってことだ。スタート時にフロントアップが発生してスロットルが開けていられなくなるなら、スタート時のみフロントアップを起こさないようにしてしまえばいいじゃない!? と生まれたのが『ローンチコントロール』だ。2023年現在では機械式と電子制御式がある。
オフロード競技では機械式が主流
ホールショットをとるために第1コーナーへと飛び込んでいくのは、なにもロードレースだけのことではなく、オフロード競技のモトクロスも同じ。むしろ路面コンディションが均一でなく、サスペンションも大きく動くモトクロス競技ではフロントアップがより発生しやすく、ひと昔前から多くのライダーが機械式のホールショットデバイスと呼ばれる装置を使っている。
モトクロスで主流なのはスタート前にあらかじめフロントフォークを縮めてストッパーをかけておく機械式。マシンを前下がりな姿勢で固定することでスタートダッシュ時のフロントアップを防止し、リヤに最大限のトラクションをかけて進むことができるというわけだ。そして第1コーナーへ入るためのブレーキングを行うとフロントフォークが縮みストッパーが解除されるようになっている。
また近年はモトクロッサーやエンデューロバイクにもトラクションコントロールシステムを搭載したモデルが増えており電子制御式の『ローンチコントロール』の搭載も進んでいる。
ロードレースの最高峰はボタンで車高も下がる
MotoGPなどのロードレースで使われる『ローンチコントロール』やホールショットデバイスも基本的な役割は一緒で、最大限の加速を行うためにフロントアップしにくい車体姿勢を作り出し、加えて電子制御でスロットル操作に対して最大限効率よく発進するような出力制御を行う。車体の姿勢に対して出力を調整するという意味では、仕組みはトラクションコントロールシステムやウイリーコントロールと変わらない。
市販車両にも『ローンチコントロール』が付いている!
公道走行を行うナンバー付き車両、いわゆる市販車の中にもサーキット走行を行うようなモデルには『ローンチコントロール』が備わっていたりする。
IMUによる電子制御スロットルの制御を中心とした装置なのか、サスペンションも使って制御を行うかで制御の仕方に違いはあるものの、基本的な仕組みはMotoGPなどのロードレースで使われる『ローンチコントロール』やホールショットデバイスと一緒。第1コーナー手前のブレーキングポイントまで、車体が姿勢を感知してフロントアップを防止し、スロットル開度に対して適切な推進力を発生させる。『ローンチコントロール』やホールショットデバイスが付いたモデルなら、ライダーはフロントアップを恐れずダイナミックにスロットルを開けられるというわけだ。
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