近頃、ブルートゥースやUSB接続などでスマートフォンと連動できるバイクが増えてきた。今までは海外モデルが中心だったが、ついに国産車にも広がってきたのが現状だ。
どんなことができて、どう便利なのか? 導入バイクを含めて解説していきたい。

先陣を切ったのはカワサキ、対応車種も最多だ

国産4メーカーで最も精力的にブルートゥース連動モデルを発売しているのがカワサキだ。2021年8月現在の国内ラインナップでは全8モデルが展開されている(グレード違いは含めず)。次点がホンダで国内には4モデルを用意。ヤマハは初の連携モデルであるNMAX ABSを'21年6月28日に発売した(北米などで販売するスターベンチャーなどにはブルートゥース搭載モデルが存在)。スズキは今のところ未発売だ。

[カワサキ]アプリによる詳細なログが便利

まずカワサキから。同社が初めてブルートゥースを採用したのは'19年型Ninja H2/Carbon。フルカラーTFT液晶を採用したメーターを新たに備え、同時にブルートゥースも搭載されることになった。
現行ラインナップでは下記の機種が対応モデルだ。

Ninja ZX-10R/RR、Ninja H2カーボン、H2SX SE+、Z H2/SE、Ninja1000SX、Z900、Ninja650、Z650、ベルシス1000SE

2021ZX-10R

モデルチェンジした'21ZX-10R/RRもスマホ連動が可能に。国産スーパースポーツでは珍しい装備だ。


機能に関しては、専用の無料スマホアプリ「RIDEOLOGY THE APP」を使うことで、様々な情報や設定が可能になるというもの。特に「ライディングログ」は、車速やエンジン回転数、スロットル開度、ギヤポジション、最大バンク角など詳細な走行ログをビジュアルで確認できて楽しい。
また、ハンドル手元のスイッチとメーターパネルで電子制御システムの設定は可能だが、ブルートゥース接続すればスマホのタッチパネルで操作できるのもポイントが高い。
特に電子制御サス(セミアクティブサス)を採用するH2SX SE+とZ H2SEは、各モードや電サスの組み合わせなどを任意に設定できるため、重宝する。
メール&電話を着信した場合は、相手の名前や電話番号は表示されず、メーターにアイコンが点灯するというシンプルなもの。インカムのある場合はあまり意味がないが、インカムを使わない人には役立つ機能だ。

カワサキのブルートゥース+アプリの機能

車両情報 オドメーターや航続可能距離、メンテナンススケジュールなど車両の情報をアプリで確認できる。
ライディングログ スマホのGPS機能により走行した日時やルート、走行距離&走行時間を保存できる。瞬間&平均速度や燃費も計測され、ライディングの状況をスマホで視覚的に確認可能。
チューニング アプリ上で、トラクションコントロールや電子制御サスなど各種電子制御システムの設定を確認&変更できる。
着信通知 スマホが電話やメールを受信すると、メーターパネルに表示する。
2021ZX-10Rメーター

'21年型Ninja ZX-10Rのメーター。液晶パネル右下の方にブルートゥースのマークが見える。

RIDEOROGY画面

アプリ「RIDEOLOGY」の走行ログではルートのほか、車速、ギヤ段数、ブレーキポイント、スロットル開度を動画のように再生できる。ワインディングやサーキット走行がより楽しくなる!

[ホンダ]アップルカープレイに音声入力ほか豪華機能を搭載

ホンダは4車種にスマホ連動機能を搭載。対応車種は少ないが、機能は非常に充実している。カワサキは、メーターに表示される情報が最小限だったのに対し、ホンダはより多くの情報を映し出すのが特徴だ。
ゴールドウイングは'18モデル以降、CRF1100Lアフリカツインは'20モデルから、クルマにも採用されるアップルカープレイを採用。ゴールドウイングは世界初のアップルカープレイ搭載バイクとなった。さらに、2021年型からX-ADVとCB1000Rがスマホ連動可能となり、ホンダ・スマートフォン・ボイスコントロール・システム(HSVCS)が導入されている。

ホンダのブルートゥース採用車

ホンダ国内モデルのブルートゥース採用車。ゴールドウイングシリーズ(左上)、CRF1100Lアフリカツインシリーズ(右上)、CB1000R(左下)、X-ADV(右下)。


アップルカープレイは、スマホをバイク本体にUSB接続して、スマホの画面をメーターに映し出すことが可能。様々なアプリをメーターの液晶パネルを通じて操作できる。電話帳や音楽プレイリスト、マップもメーターに表示でき、スマホをハンドルマウントしなくて済む。
当初はiPhoneのみの対応だったが、ソフトウェアのアップデートによりAndroid Auto対応スマホも使用可能になった。
ただし、Siriなどの音声操作を使うため、全機能を使うにはブルートゥースインカムが別途必要。スマホではなく、バイク本体とインカムをブルートゥースで無線接続して操作する。

アップルカープレイ

アップルカープレイ搭載車なら、メーターがスマホ同然に(写真はゴールドウイング)。アフリカツインは'21年3月、待望のAndroid Autoにも対応した。


X-ADVとCB1000Rに採用されるHSVCSは、無料の専用スマホアプリ「Honda RoadSync」を介して、ナビ、電話、メッセージ、音楽、天気、音量という6つの機能を音声で操作できる(こちらも別途ブルートゥースヘッドセットが必要)。
情報はメーターの一部に表示。ナビの場合は地図ではなく、分岐ごとに簡易的な矢印を表示する。また、音声メッセージによりテキストメッセージの送付、事前登録したメッセージを送信することも可能。音楽の再生&停止&曲送りができるほか、現在地や目的地の天気&気温もメーターに表示する。
多機能ながら、シンプルな構成と表示で、運転の妨げにならないのが特徴だ。

X-ADV 構成イメージ

HSVCSの構成イメージ(上記はX-ADV)。こちらは、スマホにヘッドセットを連携させて音声操作を行う。

HSVCS画面

Honda_Smartphone_Voice_Control_system

音声で電話やメッセージを送ってきた人の名前を読み上げる。さらに、応答するか拒否するかをファンクションスイッチの操作で選ぶことが可能。音声で目的地の入力、ハンズフリー通話など便利な機能が揃う。なお、GB350のインド仕様(ハイネスCB350)にも同様のシステムが搭載されるが、国内仕様への導入は見送られた。残念!

[ヤマハ]燃費も管理、スクーターらしい機能だ

通勤快速として人気のNMAX ABSが'21モデルでマイナーチェンジ。国内モデル初の連携機能を搭載した。車両とスマホアプリ「YAMAHA Motorcycle Connect」をブルートゥースで接続すれば、着信やメール受信、スマホのバッテリー残量などをメーターに表示できる。スマホの時刻を元に、メーターの時計表示を自動補正する機能も便利だ。

さらに運転に関するデータをスマホで確認可能。スロットル開度や加速度、エコ運転状況のほか、オイル交換時期やバッテリーメンテナンス時期も教えてくれる。中でも走行履歴と燃料消費を管理し、燃費を算出してくれる機能は役立つだろう。

NMAX

トラクションコントロールまで備えた原2スクーターのNMAX ABS。ヤマハ待望のスマホ連動モデルだ。

 

「YAMAHA Motorcycle Connect」をダウンロードしたスマホとペアリングできる。スマホで車両の最終駐車位置を確認できたり、と機能は実用性重視だ。

[まとめ]今後さらに対応車種が増えるハズ

スマホなくしては生活できないほど日常に浸透している昨今。バイクと連動させることで、より便利に、より楽しいライディングができるのは大歓迎だ。ホンダが本腰を入れ始めたこともあり、国産車でも今後ますますスマホ対応バイクが増えるのは必至だろう。

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