一つのスペックに着目して、現行モデルのナンバー1を決める「世界最強グランプリ」。ラウンド3は、お待ちかねの「馬力」。最もパワーのあるのはどのバイクか!?  何でもアリの総合部門とジャンル別でお届けしよう。

※ランキングは、国内で購入できる現行ラインナップから選出(2021年9月現在)。

超重要スペックの「馬力」ってそもそもどういう意味?

馬力は、「ある重さの物体を、何秒で、どれほど距離を動かしたか」という仕事率を表す単位。1馬力は、75kgの物を毎秒1メートル動かす力だ。
瞬発的な力を示すトルクに対し、持続的なパワーを意味し、バイクの性能と密接な関わりがある。一昔前ほど最高出力は気にされなくなったけど、(筆者を含め)昔ながらのライダーとしてはどれほど馬力があるかはとっても気になるところ。ちなみに筆者がスペックで一番最初に見る部分が馬力だ。
なおpsはドイツ語で「馬の力」とする「Pferde stärke」の頭文字。メートル法に基づく馬力計算が行われ、ドイツと日本でメジャー。近頃は国際単位として「kW」の表記が義務づけられたが、昔ながらで感覚的にわかりやすいpsが使われることが多い。

220ps超がトップ3を争う総合部門、2台が同率1位に!

さて、国内向けの'21ラインナップで最も馬力が高いのはどれか?
まず3位は、ドゥカティ・スーパーレジェーラV4の224ps。998cc水冷V4ユニットは、パニガーレV4Rがベースで、専用の電子制御システムと専用マフラーなどで3psアップ。レース管を装着すれば234psにまで上乗せできる。国内価格は驚きの1195万円だ!

↑スーパーレジェーラV4は224ps。カーボンフレームによる車重182kgも圧倒的で、パワーウェイト比は0.812を叩き出す。500台限定モデル。


そして同率1位が2台! 1台はビモータ・テージH2の231psだ。休眠状態だったが、'19年にカワサキとの合弁会社を設立。その復活第1弾がテージH2となる。その車名が示すように、カワサキ・Ninja H2のスーパーチャージャー付き998cc水冷直4を搭載。車体はオリジナルで、ビモータのシンボルである片持ちフロントアーム=センターハブステアが特徴だ。

↑テージH2は、Ninja H2の心臓部をユニークな専用シャーシに搭載。国内価格は866万8000円。


もう1台の同率1位は、既におわかりかと思うが……Ninja H2の231psだ。
H2は、バイクで世界初のスーパーチャージャーを引っ提げ、'15年に登場。当時、998cc水冷直4は200psだったが、'19のモデルチェンジでエアフィルターやインテークチャンバーなどを改良し、231psに大幅パワーアップして現在に至る。なお、ラムエア加圧時は公式発表で242ps! さらに、真の力を解放したレーサーのNinja H2Rは310psを叩き出す!

なぜスーパーチャージャーはパワーが出るのか? 自然吸気(NA)エンジンに詰め込める混合気の量はほぼシリンダーの容積と同じだが、過給エンジンではエンジンの回転力で羽根車を回し、シリンダー内へ機械的に過給する。空気を圧縮して強制的に多くの混合気を送り込めるため、同じ排気量でもより多くのパワーを引き出せるのだ。

↑自己修復機能を持つ銀鏡塗装などスーパーカーの趣が漂うNinja H2。価格は363万円だ。

次の1位はあの国産SSかも?

  '21年の馬力ランキング ps
1 Ninja H2 CARBON [KAWASAKI] 231
1 テージH2 [BIMOTA] 231
3 スーパーレッジェーラV4[DUCATI] 224
4 CBR1000RR-R/SP [HONDA] 218
5 RSV4 1100ファクトリー[APRILIA] 217
6 パニガーレV4/S/SPほか [DUCATI] 214
7 M1000RR [BMW] 212
8 ストリートファイターV4 [DUCATI] 208
8 ブルターレ1000RR [MV-AGUSTA] 208
8 ラッシュ1000 [MV-AGUSTA] 208


ランキングははこんな結果に。200psでもランク外なのだから凄まじい。メーカーとしてはドゥカティが3台で最多。カムで開閉を行うデスモドロミックが大パワーの理由だろう。
しかし'22年は様相が変わりそうだ。
1位のNinja H2は'21モデルで生産終了が決定。テージH2も在庫のみとなる。そして3位のスーパーレッジェーラも限定販売モデルなので'22ラインナップでは姿を消すだろう。
となれば、4位で国産勢首位のCBR1000RR-Rが総合トップに躍り出るかも!? もしくは日本で'21モデルが販売されなかったパニガーレV4R(221ps)が復活すれば、1位の座を獲得することになる。果たして?

ホンダの総力を結集し、'20年にデビューしたCBR1000RR-R。'22年はトップに立つか?

↑ホンダの総力を結集し、'20年にデビューしたCBR1000RR-R。'22年はトップに立つか?

ネイキッドは200ps超の3台が並び立つ

ここからはジャンル別の馬力ランキングをお届けしよう。
ネイキッド部門では、ドゥカティ・ストリートファイターV4とMVアグスタ・ブルターレ1000RR、同ラッシュ1000の208psがナンバー1。総合部門でも8位のツワモノたちが見事ネイキッドで同率1位に輝いた。
4位は、国産勢トップのZH2。Ninja H2を祖とするスーパーチャージャージドエンジンを積む。ここまで全て200psオーバー! ネイキッドなのにとんでもない馬力だ。
国産勢は、4位のZ H2と10位のMT-10のみ。海外勢強し!

ネイキッドの馬力ランキング ps
1 ストリートファイターV4 [DUCATI] 208
1 ブルターレ1000RR [MV-AGUSTA] 208
1 ラッシュ1000 [MV-AGUSTA] 208
4 Z H2/SE [KAWASAKI] 200
5 スピードトリプル1200RS/RR [TRIUMPH] 180
5 1290スーパーデュークR/GT [KTM] 180
7 トゥオーノV4ファクトリー [APRILIA] 177
8 S1000R [BMW] 165
9 ディアベル1260シリーズ [DUCATI] 162
10 MT-10/SP [YAMAHA] 160

 

↑ストリートファイターV4は、パニガーレV4譲りの90度V4を積むハイパーNK。ウイングまで備える。

続きは後編(鋭意執筆中)でお届け!


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