一つのスペックに着目して、ナンバー1を決める「世界最強グランプリ」。ラウンド2は、「車重」。重い方も軽い方もナンバー1の栄冠に輝くのはどのバイクか!?
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軽さだけでなく、ヘビーにもメリットがある
バイクを操る上で、乗り味を大きく左右する「車重」。バイクは軽い方が運動性に優れ、加速、減速、旋回の動作がイージーになる。万一、バイクを倒してしまった際の引き起こしもラクだ。
したがって一般的に軽いバイクの方が好まれるけど、重いバイクは何がいいのか?
車重があれば、高速道路などのクルージングで直進安定性に優れ、トランクやオーディオなどの装備が豪華という傾向がある。そして何より堂々たる巨艦を操っている感覚がいい。
ライダーとしては、「重いバイクはカッコイイ」「乗りこなすライダーもスゴイ」という憧れがあるのではないだろうか?
なお車両重量は、エンジンオイルやフォークオイルなどの油脂類を含めた走行可能状態での「装備重量」が現在、一般的に使われる。以前は、油脂類を除いた「乾燥重量」が使われたが、メーカーによって解釈が異なることと、実際に使う状態とかけ離れているため、今では装備重量が主流になっている。
ランキングは、国内で購入できる'21モデルの現行ラインナップから選出(2021年8月現在)。行ってみよ~。
400kg超がトップ3、1位はクルーザーの王様
まずは「重い」ランキングの3位は……ハーレーの「ウルトラリミテッド」で車重は416kg! 同じツーリングファミリーにおいて、装備が最もシンプルで「素」の状態に近いロードキングスペシャルでも車重は366kgを誇る。さらにウルトラリミテッドでは、ヤッコと呼ばれるバットウイングカウルに、トップケース+サイドパニア、豪華オーディオを採用しており、400kgオーバーは当然かも。
高速クルージングの安定感はもちろん抜群だが、意外に旋回性があり、峠道も楽しい。
続いて2位は……またしてもハーレーの「ロードグライドリミテッド」! 車重は3位のウルトラリミテッドより7kg重い423kgだ。基本構成や装備はウルトラと同等ながら、2眼ヘッドライトを内蔵したフレームマウントのシャークノーズカウルが重かったようだ。
そして栄えある1位は、ハーレーの「CVOリミテッド」! ハーレーが表彰台を独占という結果になった。車重は、2位から+5kgの428kgだ。
ウルトラリミテッドをベースに、水冷ヘッドで1923cc化。前ホイールを18→19インチとし、ライダーズシートにもバックレストを設置するなど一段と装備が豪華に。価格もトライクを除けば、ハーレー最高値の550万8800円だ!
トップケースを装着したCVOのロードグライド系なら、さらに重くなりそうだが、現行モデルには存在しない。
車重が重いランキング('21モデルの装備重量で比較)
1位 |
ウルトラリミテッド[HARLEY-DAVISON] | 428kg |
2位 | ロードグライドリミテッド[HARLEY-DAVISON] | 423kg |
3位 | ウルトラリミテッド[HARLEY-DAVISON] | 416kg |
4位 | ロードマスター[INDIAN] | 412kg |
5位 | CVOロードグライド[HARLEY-DAVISON] | 405kg |
6位 | ロードマスターリミテッド[INDIAN] | 403kg |
6位 | ロードマスターダークホース[INDIAN] | 403kg |
8位 | ゴールドウイングツアー[HONDA] | 389kg |
9位 | ロードグライドスペシャル[HARLEY-DAVISON] | 387kg |
10位 | チャレンジャーリミテッド[INDIAN] | 381kg |
10位までのランキングはこのとおり。ハーレーがトップ10中5台を占め、インディアンの豪華ツアラーが割り込んだ。国産勢では、トップケース付きのゴールドウイングツアーが唯一ランクインしている。
[番外編]ハーレーを上回る真の1位は国産車!
国内で正規販売はされていないが、実はハーレーのCVOリミテッドを上回るモデルが海外に存在する。北米モデルのヤマハ「スターベンチャーTC」がそれだ。
車重はCVOリミテッドを9kg上回る437kg! 1854cc空冷Vツインという大排気量に加え、ヒーターや電動スクリーン、オーディオ、インフォテイメントを満載することが車重の理由だろう。
筆者が調べた限り、国内に並行輸入しているショップはなかった。ヤマハさん、ぜひ検討を!
なお、同じく北米モデルのヤマハ・スターエルーダーGTが398kg、カワサキ・バルカン1700ボイジャーABSが406kgをマークしている。
軽さではスズキがワンツーを決めた!
続いては、車重が「軽い」方のランキングだ。
1位は……スズキ・レッツの70kg。とにかく軽量コンパクトで、装備はシンプルながら、フロントポケットやリヤキャリアなどはしっかり採用している。2位もスズキで、アドレスV50の74kgという結果だった。
車重が軽いランキング('21モデルの装備重量で比較)
1位 |
レッツ[SUZUKI] |
70kg |
2位 | アドレスV50[SUZUKI] | 74kg |
3位 | タクトベーシック[HONDA] | 78kg |
3位 | ジョグ[YAMAHA] | 78kg |
5位 | ジョグデラックス[YAMAHA] | 79kg |
5位 | タクト[HONDA] | 79kg |
7位 | ダンク[HONDA] | 81kg |
7位 | ビーノ[YAMAHA] | 81kg |
7位 | ジョルノ/デラックス[HONDA] | 81kg |
10位 | スーパーカブ50[HONDA] | 96kg |
結果はスクーターが10位まで席巻。排気量が小さく、装備がシンプルなスクーターはやっぱり軽い。近場への買い物など移動手段に最適だ。
400並みの180kg台が1位――リッターSSトップ10
「軽いランキング」がスクーターばかりになるのは当然と言えば当然。そこでカテゴリー別でも見ていこう。
軽さが重要なファクターとなるカテゴリーと言えば、やはり1000ccのスーパースポーツ(SS)。現行ラインナップで最も軽いのは、ドゥカティのスーパーレッジェーラV4だ。
カーボンフレームなどを採用し、乾燥重量は400クラスに迫る驚異の159kg。装備重量は未発表だが、リリースに「'20年型パニガーレV4(装備重量198kg)より16kg軽量」とあり、182kgと計算できる。
2位は、'21年に投入された新作のM1000RR。SS1000RRのフルチューン仕様で、上級版のMパッケージは191.8kg、スタンダードは192kgだ。
1000ccスーパースポーツ 軽さランキング('21モデルの装備重量で比較)
1位 | スーパーレッジェーラV4[DUCATI] | 推定182kg (乾燥159kg) |
2位 | M1000RR Mコンペティションパッケージ[BMW] |
191.8kg(STDは192kg) |
3位 | パニガーレV4SP[DUCATI] | 194kg |
4位 | パニガーレV4S[DUCATI] | 195kg |
5位 | パニガーレV4[DUCATI] | 198kg |
6位 | S1000RR[BMW] | 200kg |
7位 | CBR1000RR-R/SP[HONDA] | 201kg |
7位 | YZF-R1[YAMAHA] | 201kg |
9位 | YZF-R1M[YAMAHA] | 202kg |
10位 | GSX-R1000R[SUZUKI] | 203kg |
11位 | Ninja ZX-10R/RR[KAWASAKI] | 207kg |
国産勢ではホンダ、ヤマハのトップモデルが201kgで同率5位。YZF-R1は電子制御サスのMより、機械調整式のSTDの方が1kg軽い。
各社が群雄割拠――排気量別キングを決定
他のカテゴリーはざっくり紹介していく。
1000cc級ネイキッドでは、ホンダ・CB1000Rの213kgが国産勢トップ。外国車勢では、ドゥカティのストリートファイターV4、BMWのS1000Rがともに199kgで互角だ。いずれもSS由来のエンジンを採用している。
600~900cc台は、排気量が様々でランキングするのは困難だが、880ccで189kgのヤマハ・MT-09が際立つ。
400クラスでは、カワサキ・ニンジャ400をベースにしたZ400の166kgが最軽量だ。
250クラスでは、ヤマハ・トリッカーの127kgが最軽量。生産終了したが、一応まだヤマハのラインナップに名を連ねる。これに兄弟車のセロー250(133kg)が続いた。
125ccでは、102kgのホンダ・グロムが最軽量。同じエンジンのモンキー125に比べ、シングルのモノショックなどの採用で5kg軽い。
まとめ:重くても軽くても楽しめる!
車重は、バイクのキャラクターを表す一部でもある。
それぞれに合わせた使い方をするのが似合うけど、最も重いCVOリミテッドで買い物に行ったり、逆にレッツでツーリングに出かけるのもアリ。重いバイクも軽いバイクも使い方に縛られず、自由に楽しみましょう!