●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:松井慎 ●外部リンク:BMWモトラッド
’18年11月から日本でも販売がスタートしたBMWのスモールアドベンチャー「G310GS」。’21モデルでマイナーチェンジを実施し、ユーロ5に対応するとともに電子制御スロットルやスリッパークラッチを新採用。灯火類のオールLED化で質感がアップしたのも見逃せない。

’21 BMW G310GS

【’21 BMW G310GS】■全長2190 全幅880 全高1250 軸距1420シート高835(各mm) 車重175kg ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 312cc 34ps[25kW]/9250rpm 2.8kgf・m[28Nm]/7250rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量11.5L ■ブレーキF=ディスク Rディスク ■タイヤF=110/80R19 R=150/70R17 ●色:黒×青 灰×黒 黒×黄 ●価格:70万9000円

【末弟のG310GSにも40周年カラーを用意】シリーズ共通のエッセンスを抽出したスタイリングはそのままに、灯火類をオールLED化。ブレーキ&クラッチレバーは調整機構付きとなった。試乗車は“40イヤーズGS”エディションカラーで、価格は1万円アップ。

835mmというシート高は変わらず、アドベンチャーらしい腰高な印象。雰囲気は600ccクラスに近いだろう。[身長175cm/体重62kg]

【’21 BMW G310R】ベースとなったロードスターのG310Rも、’21モデルで同様の変更を実施。こちらはスタイリングを変更したうえで灯火類をオールLED化した。スチールチューブラーフレームやタービンデザインのアルミキャストホイールなど、基本骨格は前モデルのものを継続採用。●色:赤 黒 白 ●価格:63万7000円

 

[◯] 良心的アップデートでよりビギナーに優しく

BMWのG310GSは、普通自動二輪免許で乗れる海外ブランドのアドベンチャーモデルとして人気を集めている。搭載する312ccの水冷単気筒は、前後重量配分の最適化を目的としてヘッドの吸排気レイアウトを前後逆とし、さらにシリンダーを10度後傾させている。3シーズン目となる’21年モデルは、ユーロ5対応を機に大掛かりなマイナーチェンジを実施。圧縮比を高めるとともに電子制御スロットルを新採用。最高出力は前年と同じ34psを維持する。

このエンジン、単気筒らしい1発ごとの蹴り出し感よりもスムーズな回転上昇が印象的だ。6000rpm付近から上ではやや微振動が多くなるものの、1万rpmから始まるレッドゾーンまでフラットにパワーが盛り上がる。そして、電子制御スロットル採用と合わせてオートマチックアイドリング機構も導入され、特に発進時はラフな操作でもエンストしにくくなった。加えて操作力の軽いスリッパークラッチや、左右レバーに調整機構が採用されたことで、よりビギナーに優しい進化を遂げている。

ハンドリングは、ベースとなったロードスターのG310Rとは明確に異なり、安定性を重視しているのが微速域から分かる。フロントホイールを17インチから19インチに大径化し、さらにキャスターを1.6度寝かせているのが要因であり、大らかに向きを変える様はまさにアドベンチャーのそれだ。特に気に入ったのはライディングポジションで、ワイドなハンドルバー/座面の広いシート/膝の曲がりが緩やかになるステップ位置/ボリューミーなニーグリップエリアなど、そのどれもが最上位のR1250GSの雰囲気に近しいのだ。加えて、シュラウドが横に張り出しているので特に下半身の防風効果が高く、長時間の巡航でも疲れにくい。末弟とはいえGSを名乗れるだけの要素はきちんと盛り込まれており、ただただ感心する。

なお、ブレーキは引き続きバイブレ製のキャリパーを採用する。フロントはシングルながらも舗装路で不足を感じず、またリアはダートでもコントローラブルで扱いやすい。

【ユーロ5規制をパス】前方吸気&後方排気かつ後傾シリンダーという特徴的な312cc水冷DOHC4バルブ単気筒。圧縮比を10.6から10.9に高めるなどし、34psを維持しながらユーロ5をクリアした。電子制御スロットルやスリッパークラッチを新採用。

【リアはプリロード調節可能】φ41mm倒立式フロントフォークとリンクレスのモノショックを採用する。ホイールトラベル量は前後とも180mmで、リアのみプリロード調整機構あり。標準装着タイヤは引き続きメッツラー製のツアランスだ。

【ブレーキはバイブレ製】ブレーキディスクはフロントがφ300mm、リヤはφ240mmで、フロントにはラジアルマウントの4ピストンキャリパーを組み合わせる。ABS標準装備。

電子制御スロットルの採用でスロットルケーブルが省略されたコックピット。モノクロのフルデジタルメーターは特に変更はなく、ギヤ段数表示や燃費計など便利な機能を継続する。

電子制御スロットル化で右側スイッチボックスが薄型になったが、ライディングモードの切り替え機構は特に追加されておらず、左右ともシンプルなスタイルを継続。

前後一体型のシートはキーロックで脱着可能。この下にETC2.0車載器を標準装備する。タンク容量は11.5Lでレギュラー指定だ。

[△] リアサスの作動性にコストダウンを感じる

ホイールトラベル量は長めながらもピッチングを抑え気味としたサスペンションセッティングは、テレレバー採用以降のR‐GSに通じるところがあり、疲労軽減に役立っている。だが、リアは深く沈んだあとの戻りが早く、マシンを安っぽく感じさせる原因に。

[こんな人におすすめ] バンブルビーと呼ばれた特別色。早めにゲットを

試乗車のブラックは、「バンブルビー」の愛称で親しまれたR100GSにインスパイアされた40周年記念カラーだ(’21限定車)。KTMの390アドベンチャーやホンダの400Xなどがライバルだが、G310GSはそれらよりも10万円以上安いのがアドバンテージだ。

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