事前情報いっさいなし! の珍しい国際試乗会

今回のKTMがイタリアで行なった新車試乗会はかなり異例だ。というのも渡欧直前になっても試乗するマシンの詳細が明かされないのだ。事前に僕らに開示されたモデル情報は、“SMT”の名前を冠したニューモデルであることのみなのだ。

SMTとは、スーパー・モト・ツーリングの略で、日本でも前モデルが2013年くらいまで990SMTという機種名で売られていた。当時のKTMはまだロードモデルもオフロード色が非常に強く残っていた頃で、75度999ccエンジンに前後17インチホイールをセットしていた。

KTM 990SMT

日本国内では2013年頃まで売られていたKTM 990SMT

 

スポーティなスーパー・モト(SM)走行性能をそのままに、ツーリング(T)要素を追加したキャラクター。それが約10年ぶりに復活するというわけなのだが……。渡航直前の段階で正式な車名はおろか、排気量さえわかっていない状況。こんな状態で海外試乗会に参加するのだから異常に不安なのだ。

というのも僕は英語がからっきし(笑)。バイクの話ならなんの話をしているかくらいは聞き取れはするが、現地の情報のみでどんなモデルかをしっかり把握できるかどうかにはやっぱり不安が残る。

製品発表会の様子

製品発表会の様子。謎に包まれた新型モデルに皆興味津々。

 

いつもなら事前に情報を集め、英語の資料があれば翻訳して読み込み、完全に理論武装してから現地へと向かう。苦手な言語の壁を予習で補おうというわけだが、今回はそれがまったくできないのである。

事前にKTMが公開したわずかなティザー広告から、新型モデルはどうやら、890アドベンチャー/Rか、890デュークのエンジンを搭載しており、車体はどうやら890アドベンチャー系であることは予想できたのだが……。不安なままイタリアへ向かう飛行機に乗り込むことになったのだ。

イタリアのサルディーニャ島が試乗会場

試乗会が行われたのは、イタリアのサルディーニャ島。バカンスで有名な高級リゾートだ。

 

名前は890SMT! なんだかとんでもないモデルらしい!?

羽田空港から20時間以上。ドイツのフランクフルトでのトランジットを経てようやく到着したのは、イタリアのサルディーニャ島。ブーツに例えられるイタリアで、膝部分の沖合にある外周2000kmのわりと大きな島だ。

KTM_890SMT_WORLDWIDE PRESS TEST RIDE

試乗会場であるホテルに到着。早速ロビーの新型モデルをチェックしようとしたが、バイクを置くスペースがあるだけで「まだ見せないよ!」という感じ。ライダーのマネキンが寂しいが、バンクセンサー付きのレザーウエアを着ているのが気になるぜ……。

 

試乗会場であるホテルに着けば、どこかに実車が飾られているハズ。それをじっくり観察して理解を深めよう……なんて思っていたのだが甘かった(笑)。ロビーはおろか、会場のどこを探しても実車は飾られておらず、製品発表会の会場の実車はベールに包まれていた。

KTM_890SMT_WORLDWIDE PRESS TEST RIDE

ここまでしっかり情報解禁時間を設けてバイクを見せない試乗会は珍しい。事前情報を出して理解を深めてから試乗した方がいいように思うのだが、何か特別な意図があるのだろうか?

 

そんな中、ようやく始まった新型モデルの発表会。拙い語力で技術説明に聞き耳を立てていれば、いきなりヒルクライムレースまがいのプロモーション映像を見せられ、わずかに聞き取れる単語は、“スライド”とか“スリップアジャスター”とか、“モータースリップレギュレーション”といった恐ろしげなものばかり。なんなんだ!? この890SMTというバイクは!!

KTM_890SMT_WORLDWIDE PRESS TEST RIDE

マシンを象徴するプロモーションビデオは完全にヒルクライムレース仕立て!

 

しかも、ヒルクライムレースに出場している現役レーサーまで招聘してプロモーションビデオを制作。笑顔で「皆さんには明日はこれをやっていただきます」的なことを言っている。KTMの試乗会はハイペースでちょっとおかしいと聞いていたけど、ここまでとは……。

KTM_890SMT_WORLDWIDE PRESS TEST RIDE

おいおい! 完全に侵入スライドしてるじゃないか! 890SMTはこういうモデルってか!?

 

今回、試乗ウエアにはSMTのT(ツーリング)部分に重きをおいてアドベンチャーウエアにバイザー付きのオフロードヘルメットを用意したのだが、フルフェイスヘルメットとバンクセンサーの付いたレザースーツを用意すべきだったようだ(笑)。

KTM_890SMT_WORLDWIDE PRESS TEST RIDE

今回、日本からは鈴木大五郎さんと僕の2人で渡欧。開催国のイタリアはもちろん、アメリカ、ドイツなどから50名くらいのライダーが集まったが、結構な確率で皮ツナギ。ツーリングスタイルのウエアは失敗だったか?

 

さて、いよいよその姿が明かされたKTMの890SMT。衝撃的なプロモーションビデオと、恐ろしい単語ばかりが飛び出す技術説明会でヒルクライムがめっぽう得意なワインディングマシンということはよ〜く理解できた。明日はいよいよこの890SMTに乗るわけだが、どんなところをどんなペースで走るのか? 非常に不安。KTMらしい衝撃の試乗内容は次回をお楽しみに!

 

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