こんなに素晴らしいのに、クローズアップされることが少ない!?

僕はスーパーカブC125が好きだ。どれくらい好きかというと、先日、縁あって XR BAJAを購入した。しかし、もともとSR400を2台持っている身としては流石に3台目は維持費が安い(そして車両価格も比較的安い)原付二種クラスにしようかと考えていた。その時に候補に挙がっていたのが、C125。じつは新車の納期まで調べていたほどであった。

結果的にXR BAJAを購入したのだが、そうすると当然「オフ車好きならCT125・ハンターカブも候補に入っていたのでは?」と思われる読者もいるだろうが、残念ながらハンターカブは候補に挙がらなかった。僕の眼中にあったのは、C125オンリーだったのである。

C125といえば、2018年9月に登場した際は大きな話題となったが、ハンターカブの登場によってすっかり影が薄くなってしまった……と思うのは、きっと僕の思い込みなんだろうけど、それでもやっぱり、クローズアップされる機会が少ないような気がしてしまう。

しかし、僕はC125が登場したときはもちろん、ハンターカブが登場したときも、2021年9月にモデルチェンジを果たしてからも、つねにC125に注目してきたのだ。

もっともっとC125は注目されるべきモデルだと、僕は思っている! 「いやいや、十分注目されているでしょ。被害妄想なのでは?」なんて声も聞こえてきそうだが、被害妄想でもよい! 僕は声を大にして言いたい!

「スーパーカブC125こそ、カブシリーズ最高のモデルだ!」と。

そこでここでは、僕がなぜC125が好きなのかを、主観多めで紹介していきたい。

 

カブだけどカブじゃない!? 上質なシティコミューター

スーパーカブといえば元祖・働くバイク。世界中で配達や通信など、ビジネスを支えてきたタフネスバイクである。

スーパーカブのなかにもクロスカブや、かつてのCT110のようにファンバイク寄りのモデルもあるが、それらのベースはあくまでも『働くスーパーカブ』だ。

ところがC125は、横置き単気筒エンジンやバックボーンフレーム、自動遠心クラッチのシーソーペダルなど、スーパーカブのルールを守りながらも、そうした『働くスーパーカブ』とは明らかに一線を画している。

では、どこが一線を画しているのか?

 

ネオクラシックとしてみごとに昇華


ここ数年、バイクだけでなくクルマの世界においても『ネオクラシック』が大きなブームとなっている。単なる懐古的なデザインでなく、クラシカルななかに現代的なエッセンスや最新技術を投入し、クラシックやビンテージを現代風に解釈したモデルがネオクラシックである。

C125は、スーパーカブをベースとしたネオクラシックとして、完成されたスタイルと機能を持っているといえるだろう。

そのスタイリングは、どこから見てもスーパーカブ……しかし、あきらかに働くバイクとは異なる。CT125やクロスカブのようなアウトドアテイストを醸すわけでもない。そして、東南アジアを走るスポーツカブのようなパフォーマンス系とも異なる。

ヨーロピアンコミューターを思わせる上品な佇まいを持つ、唯一無二のカブなのだ。


聞くところによると、バイクがまだまだ高級品であるタイでは、働くバイク・スーパーカブも憧れの的。C125は、そんな身近だけど憧れでもあるスーパーカブの最高級モデルが欲しいという声に応えて生まれたのだとか。

そんな話を聞くと、切削加工が施されたアルミホイールが採用されたこともうなづける。

 

細かなディテールに抜かりがない

全体的には初代スーパーカブC105をオマージュしたデザイン。特にハンドル周りの流麗さは秀逸だ。

それでいて、ヘッドライトにはLEDを採用し、モダンイメージを演出。そのすぐ下に配された「C125」のクラシカルなエンブレムとのコントラストも素晴らしい! 新旧が違和感なく同居しているのは、まさにネオクラシックの鑑ともいうべき。

フロント周りに負けない存在感と美しさを持つリア周り。

テールライトは古いハーレーやチョッパーカスタムなんかによく使われていた「トゥームストーンテールランプ」を思わせるよな造形で、カスタム好きの僕としては、見逃せないディテールだ。

主張しすぎないリアウインカーやキャリアも好印象。

真っ赤なシートもお気に入りのポイント。

こちらは現行モデルであれば、撮影車両の「パールニルタバブルー」のみで、「パールネビュラレッド」にはグレーのシートが採用されている。

ホンダといえばレッドのイメージが強いが、じつは赤いシートというのはトレールバイクやモトクロッサーなどのオフロードモデル以外では新旧ともに、ほとんどラインナップがない。

C125はオンロードモデルだが、2018年の登場以来、この「特別」ともいえる赤いシートを採用し続けてきた。つまり、C125はそれほどに「特別なモデル」なのである……というのは、ちょっと言い過ぎ?(笑)。

 

新型エンジンがこれまた楽しい!


2021年9月のモデルチェンジでは、見た目はほとんど変わっていない。

大きく変わったのは、ABSが装備されたことと、新エンジンの搭載である。

C125のボア×ストロークはもともと「52.4×57.9(mm)」で、スクエア気味のちょいロングストローク設定。小気味良い吹け上がりとともにいそいそとギアチェンジをするのが、これはこれで楽しかった。

対して新エンジンは環境性能を向上させる目的もあり、「50.0×63.1(mm)」のロングストローク設定と、大きく性格を変更。排気量が123ccのため、さすがにワインディングなどでは頻繁なギアチェンジが必要だが、街中では豊かなトルクを感じやすく、ゆったりと乗ることができる。

より単気筒らしさが増した気がして、僕は好感が持てた。

同型のエンジンを搭載する新型グロムやモンキーが5速ミッションを採用したのに対し、C125は従来通り4速のまま。

クラッチレバーのない自動遠心クラッチを採用しているため、あまりにも頻繁なギアチェンジは煩わしいだけ……そう考えると、この決定は喜ばしいもの。

繰り返すことになるが、4速ミッションのおかげもあって、街中ではゆったりと乗ることができた。

 

クラスを超えた先進装備

キーを挿さずにエンジンを始動できる「Honda SMART Keyシステム」を採用。便利なのは言わずもがなで、先進装備を備えているということに満足感が高まる。

ちなみにホンダ原付二種クラスで同システムを採用しているのは、PCXシリーズとDio110のみとなっている。

 

適度な車格に適度なパワー、そして圧倒的なクオリティ!


C125はスーパーカブ110と比べると少し車格が大きい。しかし、大きすぎるということはなく、しっかりしたフレームと大きさはむしろ安心感をもたらしてくれる。もちろん、存在感のある車格とデザインは所有欲も満足させてくれるものだ。

9.8PSを発生させる空冷単気筒123ccエンジンは、めちゃくちゃパワフルというわけではないが、車両重量110kgの車体+ライダーを引っ張っていくには十分。自動遠心クラッチと4速ミッションの操作感も、既存のバイクとは異なるもので楽しい。

ちなみに兄弟モデルであり、最大のライバルでもあるハンターカブは車両重量120kg。その差10kgが生む乗り味の違いは大きく、僕がC125を支持する最大の理由となっている。ビジネスバイクともCT125とも明らかに異なる上質な乗り味は、ライダーを豊かな気持ちにさせてくれるのだ。

いやはや、こんな乗り物は他にはない!

……と、ここまで書いていたら、やっぱり欲しくなってきた(笑)。これは2022年、4台目の増車となるか!?(いや、ないない!)


Honda スーパーカブ C125
44万円(税込)



【SPECIFICATION】
エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒
総排気量 123cc
ボア×ストローク 50.0mm×63.1mm
最高出力 7.2kW(9.8PS)/7500rpm
最大トルク 10N・m/6250rpm
変速機形式 4速リターン(停車時のみロータリー式)
全長×全幅×全高 1915×720×1000(mm)
ホイールベース 1245mm
シート高 780mm
車両重量 110kg
燃料タンク容量 3.7ℓ
タイヤサイズ F:70/90-17 R:80/90-17
ブレーキ形式 F:油圧式ディスク(ABS) R:機械式ドラム

 

さて、ここまで僕が大好きなバイクとしてさんざん褒めたのだが、やっぱり褒めてばかりいるのもちょっと気持ち悪いので、最後に1点、改善してほしいことを……。

それは燃料タンク容量。デザインを重視したのだと思うが、それでも3.7Lは少なすぎる! スーパーカブ110でも4.3Lあるのだ。せめてそれと同じくらい、できれば5Lは欲しいところ。

先日のツーリングでも、みるみるガソリン残量計の目盛が減っていったのには、正直閉口してしまった……。

ホンダさん、それさえ直してくれれば、マジで買います!

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