ForRの熱心な読者であれば、僕が昨年末にホンダ XR BAJAを購入し、今もゴキゲンで乗り回しているのはご存知のはず。

>トレールバイクの名車・Honda XR BAJAを買う!

だけど、はじめからXR BAJA一択だったわけではない。何台か候補があったのだが、なんと先日、レッドバロン主催で開催されたメディア向け試乗会で、その最終選考に残った2台……ヤマハ セロー250とヤマハ DT230ランツァが試乗車として用意されていたのである!

「おぉ、レッドバロンの中の人よ、あなたには僕の心が読めるのですか?」

……というわけで、あらためてこの2台に試乗し、その魅力に触れてみたわけである!

 

セロー225WE所有歴ありの『セロー好き』

セロー250の楽しさは、その人気の高さが示している。特に林道やオフロードでの安心感は秀逸だ。


まずはセロー250である。

じつは僕は2002年に新車のセロー225WEを購入し、林道&キャンプ用マシンとして数年乗っていた。はじめて購入したトレールマシン・KLX250から乗り換えて、その乗りやすさ・扱いやすさに感動したものである。オフロードマシンでありながら足つき性はよく、エンジンも223ccながら低速重視のセッティングによって粘り気があり、本当に「これならどんな道でも入っていける! 怖くないぜ!!」と思ったし、実際に入っていった(笑)。

試乗したのは2012年式ヤマハ セロー250。走行距離は1万2500kmで、ハンドルがカスタムされている。10年落ち、1万km越えでも、『譲渡車検』を取得しているし、しっかり整備されているので調子はバッチリ!


しかし、コンパクトな車体は魅力だったが、やはり223ccのエンジンは高速道路では物足りなさを感じたのも事実。ちょっと遠くの林道へ行こう(東京に住んでいるとほぼ全ての林道が遠いのだが)というとき、林道までの道のりが辛かった……。

 

空冷4ストロークSOHC単気筒249ccエンジン。2008年モデルよりFIを採用している。


ところが2005年のフルモデルチェンジで、新フレームおよび250ccエンジンを搭載したセロー250はそれらのネガを一気に解消! セローの扱いやすさはそのままに、高速道路もロングツーリングも楽チン。

まさにセローの究極形態! 2005年から2020年まで、ほとんどスタイリングを変えることなく高い人気を維持し続けられたのも納得がいく。

 

シート高は830mm。トレールモデルのなかでは抜群に低い部類で、足つき性は良好。街乗りやツーリングバイクとしても高い資質を持っている。


車格が大きくなった分、シートは幅も高さもアップしたが、それでも同クラスのトレールモデルとしては足つきの良さは別格。

林道において足がしっかりつくというのは本当に心強いものなのだ。

 

リアホイールにはスポーク装備用のリブが立てられ、スポークホイールながらもチューブレスタイヤが装着可能。


セロー225WEから続くリアのチューブレスタイヤも健在。山深くまで進むこともあるトレールバイクだからこそ、リアだけでもチューブレスタイヤを履いているのは、これまた心強い装備といえる。

 

セロー250に限らず、トレールモデルはコーナリングが楽しい。


そしてトレールモデルといえば、ワインディングでの楽しさ。車体の軽さと車高の高さによって、ひらひらと車体を傾けることが得意なトレールモデルは、オフロードだけでなくワインディングも楽しく走ることができる。

セロー250で走るワインディング(今回はサーキット)ももちろん楽しい。高速道路がラクになって、ワインディングが楽しめて、林道での走破性と安心感は格別。

うーん、やっぱりセロー250は名車なのである!

 

2ストの快感とセロー並みの車格が魅力

 

アグレッシブなスタイリングと2ストロークエンジン独特の吹け上がりを持ちながら、フレンドリーさも併せ持つ。


じつはXR BAJAと最後まで迷ったのが、ヤマハ最後の2ストトレールモデル・ランツァ。

2ストトレールといえば、CRM250R/ARやRMX250S、KDX250/220SRのようにフルサイズモトクロッサーを思わせる大きな車体が特徴。ところがランツァは、それらとは一線を画すコンパクトな車体が魅力なのだ。

 

試乗車は1998年式ヤマハ DT230ランツァ。走行距離は5万7900kmで、一般的には2ストロークモデルとしては過走行と言われそうな個体。しかし、これまたしっかりした整備によって絶好調。もちろん『譲渡車検』取得済みだ。


2ストロークといえば、原付・原二スクーター以外ではRGV-Γを数ヶ月所有しただけ。そして現在、一部の輸入車を除けば、もうナンバー付きの2ストモデルを新車で買うことはできない。

それならば……
・国内2ストモデルのなかで最も年式が新しい
・林道ツーリングにも行けるトレールモデル
・他にはないコンパクトな車体
・いま所有しているSR400とまったく異なる乗り味
……ということで、ランツァを所有してみたい! と思ったのである。

 

シート高は865mm。セロー250よりは高いが、他の2ストローク・フルサイズトレールに比べれば十分に低い。


僕にとってランツァ最大のポイントは、コンパクトな車体&低いシート高。敷居の高さを感じさせる2スト・トレールにあって、このシート高はありがたい。

林道もオフロードコースも臆せず入っていけるのだ。

 

水冷2ストローク クランクケースリードバルブ単気筒224ccエンジン。ヤマハトレール最後の2ストロークエンジンだ。ちなみにレーサーでは昨年、新型2ストロークエンジンを搭載したYZ125が発売されている。


そして、水冷2ストローク・クランクケースリードバルブ単気筒エンジンは、224ccながらもパワーは十分! 低速から中速までの吹け上がりにテンションが上がる。オフロードでの扱いやすさに加え、街中でも楽しくなるエンジン特性だ。

大きく膨らんだチャンバーも「これぞ2ストローク!」といった感じで、気分を盛り上げる。

 

ラジエターシュラウドはスポーティなトレールモデルやモトクロッサーの証! デザインのアクセントにもなっている。


車体はコンパクトながら、フォルムはモトクロッサーをイメージしたレーシーなもの。セローのような牧歌的なデザインも旅の相棒という感じで良いのだが、ランツァのスポーティデザインもまた良い。

「レーシーでしょ? でも本当はフレンドリーなんだぜ!」とほくそ笑みながら走れるのだ(笑)。

 

やっぱりコーナリングが楽しい!


セローと同じく、ワインディングやサーキットも得意である。

中低速に振った特性のため、2ストローク独自の吹け上がりの気持ちよさがありながらも、レーサーレプリカのように急かされる感じがないのも◎!

ランツァは本当に最後まで迷ったなぁ……。

 

しかし購入したのはXR BAJAなのだ!

 

僕の愛車であるホンダ XR BAJA。街乗りに林道ツーリングにと大活躍である。今年か来年に北海道ツーリングにも行きたいと考えている。


セロー250もランツァも最後まで本当に悩んだのだが、ご存知のとおり、僕が最終的に選んだのはXR BAJAである。

セロー250もランツァも何が悪いというわけでなく、その時の僕の趣向や環境……つまり、タイミングが「XR BAJAだった」ということだろう。

タイミングとは……
・SRを2台持っているから、トレールモデルがいいな
・SRを2台持っているから、ヤマハ以外がいいな
・ロングツーリングにも使いたいから、4ストの方が向いているな
・今回は『レーシーさ』よりも『旅感』を重視したい
・高年式車は10年後も良いタマがあるだろうけど、2000年前後のモデルは今が買い時?
……といったもの。

これらを総合した結果、セロー250でもランツァでも(あと新車のCRF250Lでも)なく、XR BAJAが最終候補として残り、さらにレッドバロンの『イントラネット検索システム』によって、めちゃくちゃ程度の良い1台が見つかったわけである。まさにタイミングであり、運命の出会いというべきか!

そう、愛車選びって、じつはタイミングがとっても大切。セロー250もランツァも大好きなモデルなのだが、今回はタイミングが合わなかっただけなのだ。

だから、もしタイミングがあえば、近いうちにこの2台のどちらかを増車している可能性があるかも……いや、さすがにそれはないか(笑)。

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