やけに暖かくなったかと思えば、また寒い日が続いたり。春が一日一日と近づいてきている証拠ですよね。新緑の美しい春はキャンプツーリングが気持ちいい。ということで今回は、春キャンプにおすすめの野外料理をご紹介。山形県内陸部の郷土料理「ひっぱりうどん」です。

「ひっぱりうどん」とは?

 茹でた鍋からうどんを直接ひっぱり上げて食べることから「ひっぱりうどん」という名になったこのメニュー。地域によっては「ひきずりうどん」「ずりあげうどん」と呼ぶところもあるそうですけど、誕生秘話が興味深い。
 そもそもは、山形県村山市戸沢地区の炭焼き職人さんたちが考案した料理なのだとか。炭焼き作業中は火力の調整が常に求められるため、窯の前からなかなか離れられません。だからその場で手際よく作れて、パパッと食べられる「ひっぱりうどん」が誕生したんですね。
 その後は山形県内陸部を中心に広まっていった、ひっぱりうどん。家族や仲間と和気あいあい、大鍋で茹でたうどんをひっぱり上げながらいただくという、何ともほほえましい食文化に育っていったそうです。

「ひっぱりうどん」の材料

ひっぱりうどん

■材料(1人前)
うどん(乾麺)……ひとり分
さば水煮缶……1缶
納豆……1パック
長ネギ……お好みの量

 釜揚げの状態でいただくので、うどん(乾麺)は茹で時間の長いものを選ぶと麺が伸びにくくていいです。
 さば缶と納豆は、つけだれに使います。長ネギはつけだれの薬味にしますが、七味唐辛子、かつお節などを薬味にしてもおいしいです。筆者はアオサ粉をかけるのも好きです。

茹でる間に、つけだれを作る

ひっぱりうどん

 クッカーのお湯が沸騰したら、うどんを投入。筆者が選んだ乾麺は、茹で時間が10~12分。これだけの時間があれば、つけだれの準備が可能です。
 だって、材料を混ぜるだけなんですから。

ひっぱりうどん

 カップに、さばの水煮缶を汁ごと入れたら、そこに納豆を加えます。今回はうどんにからみやすいよう、ひきわり納豆にしていますが、小粒納豆でも大丈夫。納豆のたれやカラシも、入れてしまいましょう。

ひっぱりうどん

 お次は、薬味。長ネギの先をハサミでチョキチョキ。まな板とナイフを使って切ってもいいですが、ハサミのほうがラクです。

ひっぱりうどん

 箸で軽くかき混ぜ、さば缶のさばの固まりがほどよく砕けたら、つけだれの完成。
 つけだれに決まりはなくて、そもそもは納豆と醤油が基本で、さば缶じゃなくてツナ缶を入れる場合もあれば、生たまごを入れる場合もあるとか。
 バイクで行くキャンプだと、生たまごは割れちゃうリスクがあるためパスしましたが、ご家庭で作るのであれば入れてみてもいいかも。

ひっぱりうどんは洗い物もラク

ひっぱりうどん

 うどんが茹で上がったら、火を止めて完成。鍋からうどんを箸でひっぱり、つけだれにアツアツのうどんをからめてツルツルッといただきましょう。
 納豆の風味に、さばの旨味。そこにねぎの辛味も加わって、おいしいのです。めんつゆや醤油を入れなくても、さば缶の汁と納豆のたれに塩気が効いているので問題ありません。
 ちなみに「ひっぱりうどん」は食べ終わった後の洗い物もラクなので、実にキャンプ向き。

ひっぱりうどん

 鍋に残った茹で汁が、洗い物に重宝するんですよね。しかも茹で汁に溶け込んでいる小麦粉の成分が、油分なども吸着するのでしょう、汚れが落ちやすいのです。
 春のキャンプとはいえ、日が落ちれば気温はグッと下がります。体も温まるひっぱりうどん、ぜひお試しを。

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