冬、キャンプツーリングに出かけるなら、夜は体が温まる料理を食べたいもの。ということで今回は、岩手県の郷土料理「ひっつみ」をご紹介。これは肉や野菜の入った醤油仕立ての鍋に、小麦粉の生地をちぎり入れて煮込んだ料理でして、生地を「ひっつまむ」ことから「ひっつみ」という料理名になったのだとか。栄養満点、おなかも満足する料理なので、キャンプはもちろんご自宅でもどうぞ。

材料はその日の気分でOK?

 家庭料理なんだし、材料にはそれほどこだわらなくてもいいんじゃないかと思います。小麦粉は必須ですけど、その他の材料に関しては。
 筆者の生まれ育った岩手県内陸部では、鶏肉、大根、にんじん、ごぼう、きのこがよく入っていましたが、三陸沿岸部ではサンマなどの海産物が、山あいのほうでは川ガニや川魚が入っているという話もあります。
 この手の料理は「すいとん」や「だご汁」、「はっと」や「とってなげ」などの名称で、全国各地で愛されていますが、考え方のベースにあるのは「あるもので、おいしく、おなかいっぱいになろう」だと思うんですよね。また地域だけでなく、家庭ごとに調理法も味つけも微妙に異なるものでしょうし。しかも今回はライダー向けのキャンプめしですから、超カンタンにしました。

ひっつみ

■材料(2人前)
小麦粉……100g
カット野菜……1袋
鶏肉……約200g
粉末そばスープの素……2人分
水……500ml(スープ用)、60ml(ひっつみ用)

ひっつみの生地を作る

ひっつみ

 小麦粉は使う分量だけ、あらかじめジップロックなどの袋に入れて出かけましょう。今回は薄力粉のみを使用しますが、ぷりっとした食感にしたいならば薄力粉と片栗粉を半々にする、噛み応えのある食感にしたいなら強力粉にする、などなど、お好みで。
 小麦粉の入った袋に水を少しずつ注ぎ、袋ごと、指で揉んでいきます。

ひっつみ

 生地が耳たぶほどの柔らかさになるまで、水を注いで揉みます。水の量は、湿度や小麦粉の状態で変わるようですが、今回は約60mlの水が必要でした。
 ジップロックの袋ごと揉んでいるのは、指や手がベタベタにならずに済むから。本来は、どんぶりやボウルに小麦粉を入れ、直接こねます。

ひっつみ

 ご自宅で作るなら、そのほうがいいですね。打ち粉をしながら作れば、手に生地がくっつきにくくなり、扱いやすくなります。
 生地がひとつにまとまったら、1時間ほど寝かしておきます。乾燥しないように濡れぶきんなどをかけておきましょう。

おつゆで鶏肉を煮る

ひっつみ

 クッカーで湯を沸かし、沸騰したら火を止め、粉末そばスープの素を投入します。
 ヒガシマル「そばスープ」は、粉末醤油、砂糖、粉末だし醤油、かつお節、さば節、こんぶ粉末などが入っていて、和の味つけが手軽にできます。

ひっつみ

 本来であればだしの素だけをお湯に入れ、醤油や料理酒などの味つけは最後にするのですが、バイクでキャンプに行くのに調味料入りのビンを何本も持参するのは面倒ですからね。
 なので、最初から味つきで煮ちゃえ、というわけです。ご自宅では通常通りに作ります。

ひっつみを鍋に投入

 肉を茹でたら、次は野菜を茹でるのが王道。なのですが、購入したカット野菜を見たら、小さく切り分けられたキャベツ、きくらげ、しめじ、ニラなど、すぐに火が通るものばかり。
 これなら先にひっつみを煮るべき、と判断。

ひっつみ

 ジップロックの角を、小さくカット。

ひっつみ

 そこから生地をニュルニュルっと押し出し、指で薄く伸ばしながらひねり出します。そして鍋にポトリと落としていきます。
 通常は生地のかたまりを直接、指でひと口状にひっつまんで薄く伸ばすのですが、それだと手が汚れてしまいますからね。キャンプ場でいちいち手洗い場に行くのが面倒なので、この方法にした次第。これでも少しは汚れますけど。

野菜を入れて煮込んで完成

ひっつみ

 ひっつみをすべて鍋に投入できたら、今度はカット野菜を加えます。
 大根やにんじん、ごぼうなどの根菜を具にする場合は煮えにくいので、ひっつみよりも先に煮ます。このあたりは臨機応変で調整してください。

ひっつみ

 煮込むこと数分。ひっつみも煮え、味も染みました。これにて完成です。ぶきっちょさんが作った失敗作みたいな形状ですが、そこがいいんです。噛む場所によって歯ごたえが変わり、おいしくて、おもしろい。
 肉(タンパク質)と野菜と炭水化物が同時に摂れる、ひっつみ。アツアツで体も温まりますから、ぜひ一度お試しを。

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