冬、キャンプツーリングに出かけるなら、夜は体が温まる料理を食べたいもの。ということで前回は、山形風の「芋煮」や玉こんにゃくの「ピリカラ煮」のレシピをざっくりとご紹介しました。今回は、岩手風の「芋の子汁」の作り方をお伝えします。山形の「芋煮」と岩手の「芋の子汁」って、何が違うのか。前者は煮物で、後者は汁物? いえいえ、実は材料と味付けにも、ちょっとした違いがあるのです。

何県の芋煮であろうとおいしい

芋の子汁

 芋煮も、芋の子汁も、材料にさといもを使う点では同じ。食べる背景も、河原などの野外に大勢で集まって親睦を深めつつワイワイいただく、という点では同じです。
 違うのは、材料と味付け。前回ご紹介した山形風「芋煮」は、牛肉を使った醤油味でした。今回ご紹介する岩手風「芋の子汁」は、鶏肉を使った醤油味。ちなみに、宮城県では豚肉を使った味噌味とされています。
 でもまあ県別にきっちりとルールが決められているわけではなく、山形県内でも最上地方は豚肉だそうだし、庄内地方は味噌味だとか。
 筆者は岩手県盛岡市出身ですが、実家では豚肉入りの味噌・醤油半々の味付けでした。家庭ごとにもさまざまなアレンジが加えられていることでしょうし、何が正解ということはなく、それぞれにおいしいはずです。
 ラーメンだってそうでしょう? 味噌ラーメンも塩ラーメンもおいしいし、豚骨醤油も鶏白湯もおいしいですからね。

岩手風「芋の子汁」キャンプバージョン

芋の子汁

■材料(3人前)
鶏モモ肉……約300g
冷凍さといも……約250g
しらたき……300g
長ねぎ……1本
にんじん……1/2本
まいたけ……1パック
粉末そばスープ……3人分
水……750cc

 鶏肉は、牛肉や豚肉と違って、煮た際にアクが出にくいから助かります。しかも写真のように、唐揚げ用にカットされたものだと、切る手間が省けてラク。
 冷凍さといもは、保冷剤のように肉(もちろん缶ビールも)を冷やしてくれるので、暑い季節にも大活躍。
 しらたきは、つきこんにゃくでもOK。にんじんは、小さいものなら1本でもいいでしょう。まいたけの代わりに、しめじを入れてもおいしいです。

煮えにくいものから煮ていく

芋の子汁

 水を入れた鍋に、乱切りにしたにんじんを投入して火にかけます(以下、すべて中火で)。
 鍋の湯が沸騰したら、食べやすい大きさに切った鶏肉を入れます。アクが出るようだったら、お玉やスプーンですくって捨ててください。
 アクが出ないようなら、冷凍さといもを投入。今回使ったニチレイの「乱切りさといも」は下ゆで済みの商品なので、すぐに火が通りましたが、そうでない冷凍さといもの場合は、長めにゆでる必要があります。さといもに箸が刺さるようなら、煮えた証拠です。

芋の子汁

 冷凍さといもを鍋に入れたら、次はしらたきを入れましょう。そのままだと長くて食べにくいので、適当に切っておきます。今回使ったしらたきは、アク抜き不要のものでしたが、そうでない場合は、事前にお湯で煮て、アクを抜いてください。アク抜きしたしらたきは、ざるで水気を切っておきましょう。
 写真のシエラカップ型ざるは、アウトドア用品店で購入したもの(千円ぐらいした記憶があります)。今は100円ショップでも手に入ります。

芋の子汁

 長ねぎは、味がしみやすいように斜め切りに。まな板代わりに使っているのは、紙パックを切り開いたものです(前回、詳しくご紹介しています)。

芋の子汁

 まいたけは手で割いて、食べやすい大きさにして投入。材料は以上です。
 バイクで行くキャンプなので、食材の種類を少なくしていますが、クルマで行くとか、あるいはご家庭で作って食べるというのであれば、木綿豆腐やだいこん、ごぼうなどを入れてもいいです。

さあ、味付けだ!

芋の子汁

 味付けは、本来であれば醤油、料理酒、うま味調味料、塩などを使いますが、バイクで持ち込むのは面倒。なので筆者は、粉末つゆの素を使っています。
 ヒガシマル「そばスープ」は1人前4袋入りでメーカー希望小売価格(税抜き)140円。鰹と昆布のうま味に、宗田節、さば節、むろあじ節のコクを合わせたもので、うまいんだよなあ。
 1袋を約250ccの熱湯で溶かすと、温かいそばつゆ1人前になります。今回は750ccの水でしたから、3袋を投入。味付けは、これだけでOK。

芋の子汁

 できあがったら、シエラカップなどに取り分けていただきます。カップを持てば、まいたけの香り。おつゆは鶏モモ肉や野菜のだしも溶けだして、いい感じです。しらたきは味がしみやすいので、だしのうま味が効いて絶品に。アツアツに煮えたさといもは、噛んで飲み込むと胃のあたりまで熱を感じます。
 芋の子汁は、寒い季節の野外料理にぴったり。上手に作れるよう、まずはご家庭でチャレンジを。

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