神奈川県の宮ヶ瀬湖、東京都の奥多摩湖といったライダーズスポットでのゴミ拾いや地域活性化に取り組む団体「Riders in Action(ライダーズインアクション)」の活動を紹介する。
前編では宮ヶ瀬湖で行われた清掃活動の模様をレポートした。後編では、代表の佐藤さん、副代表の岩間さん、地元の参加者にお話を伺う。(以下、スタッフは敬称略)
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ひとりのゴミ拾いから始まった活動
~ライダーズインアクションの活動は代表の佐藤隆さんが鳥居原園地の駐車場のゴミをひとりで拾い始めたことから始まった。
佐藤:始めたのは6年前くらいかな、ひとりで。ゴミが落っこちてたんですね、当時はいっぱい。バイク置き場の所もクルマとクルマの間の植栽のところも。だから最初は出来心で、少し拾ってはごみ袋に入れてバイクに積んで帰るってことを続けてたんです。
で、ある時、すごく大きいゴミを見つけてバイクで持ち帰れないなとなって、鳥居原ふれあいの館の館長さんに「これ持って帰れないんで預かってもらえます?」って言ったら「置いていっていいから」と言われて、で、館長と仲良くなって。ゴミ拾いってけっこう道具がいるので「道具も預かってくれます?」って言ったら「いいよ」って。
どうせやるんだったら大勢でやったほうがいいからってツイッターとかインスタグラムとかにもアップして。最初は全然集まらなかったんですけど、今は30人とか40人とか集まるようになりました。
~佐藤さんが主に日曜日に活動する一方で、副代表の岩間大輔さんは仕事の都合で平日に活動していた。
岩間:私は3年前くらいから水曜日にやっていて、佐藤さんとは接点がないままだったんですけど、コロナ禍で休みが日曜になったもので、それならみんなで集まってやろうよとなりました。
一緒にやるようになったのは2年前くらいからで、最初は2人の休みの合う日にってフワっとした感じでやってたんですが、それだと人も集まりにくいし行政からも「いつやるのかちゃんとうたってほしい」ということだったので、第2日曜日に鳥居原園地でやるというルールを決めました。
汚して帰るのはカッコ悪いと思ったんで
~ゴミ拾いを始めたこと、続けることへの思いについて伺った。
佐藤:鳥居原園地の駐車場をただで使わせてもらってて汚して帰るってのはカッコ悪いと思ったんで、せめてそれくらいさせてもらおうかなという感じです。バイク乗りが悪さをして立入禁止になった区域も各地にあるじゃないですか。僕らの世代がそれを作っちゃいけないなと思っていて。今日もそうだけど、30代とか若い世代も参加してくれるのは本当にいいことだなと思うんですよ。
岩間:鳥居原園地は無料駐車場なので人がたまりやすいんです。コロナ禍では“バイクは密にならない”からって、さらに人が集まりやすくなって。バイクも売れている中で、一部マナーの悪い人もまぎれちゃっててゴミがあふれているところで、管理団体の方から「使えなくなるよ」とお叱りを受けたんです。
「じゃあできることは何?」ってことでコツコツとみんながゴミを拾い始めました。
「僕らができることは何だろう?」とライダーがみんなで考えていかないと、文化としてとん挫するところがきっとあると思うので。文化というところも含めて、みんなで楽しくやっていきたいなと。
佐藤:広がってほしいなとは思ってたんですけど、宮ヶ瀬に続いて奥多摩(第3日曜日日に実施)と、今は2か所に増えたのでうれしいですね。テレビとか新聞とかに特集いただくと「すごいことやってますね」とか言われますが、好きでやってるだけなんで実感はないんですよ。世の中に対してもの申したいなんてことは考えてなくて。こうやって集まってくれるのはありがたい話です。
参加者や支援企業・店舗も増えている
~活動が目立つようになる中で、駐車場利用者の反応やマナーも変わってきた。活動を支援する企業や地域のお店も増えている。
岩間:月イチで活動していると「やっぱりそういうことなんだな」と見てもらっているだけでも伝わります。そういう人たちの中から協力してくれる人も増えてきました。
ゴミの中ではタバコの吸い殻が多いんですが、喫煙所があることを知らないで駐車場で吸っている人もいるので、僕や佐藤から「タバコを吸うならあっちに喫煙所があるので、そちらでお願いします」とお声掛けさせて頂いています。
~支援企業や地域の協力店舗はどのように彼らを支援、サポートしているのか。
岩間:「2りんかん」や「シュアラスター」といった企業さんが「企業として何ができるのか」を考えてくれるようになりました。業界全体にこういうムーブメントができていって、どの場所でもこういうことができるようになったらいいなと思います。
支援の形はさまざまですが、ゴミ拾いに参加するとカードにスタンプがもらえて、ポイントによって試供品を頂けるなど様々な形を模索してくださっています!
2りんかんさんのような全国的な企業が一緒にやってくれたり、お店に啓発ポスターを貼ってくれたりとかいろんな形でこういうことが当たり前にできるという未来にしていかないと、業界がひっくりかえっちゃう可能性もありますから、そこはみんなでやっていきたいよねと話しています。
中心的にサポートしてくれている座間市の「RIDER'S BASE Riberty(ライダーズベースリバティ)」さんほか、賛同してくれる地域の飲食店さんも神奈川県内だけで40店舗くらいはあります。ポスターを掲示いただいたり参加者がコーヒーのサービスを受けられたりとか。店内のポスターを見て参加してくれる人も多いです。
岩間:ゴミを拾って自分たちが使うところだけがキレイになるという未来ではなくて、地域の皆さんといろんな形でつながって地域にどう見られるかを考えていけるような活動にしていければと思います。
ゴミ拾いだけでなく地域活性化に貢献
~ライダーズインアクションによる地域活性化に則した具体的な活動とはどのようなものだろうか。
岩間:ゴミ拾いをすることでライダーの居場所を守りたいということだけではなくて、やっぱり観光地なので、売上を立てることに貢献したいという気持ちがあります。あえて昼ごはんはここのエリアでとってほしいとか地域にちょっとした売上を出せればいいよねと。
こういう場所に来て、食べ物があまりなくて、バイクもいっぱい集まれなくて、「じゃあ、ファミレスやコンビニで食べようよ」とかなっちゃうとあまり意味がない。せっかくここに来てるんだからここの財源にならないと地域に喜んでもらえない。
岩間:ツーリングの前後でゴミ拾いに参加している人も多いので、みんなで美味しいものを発掘したりSNSに上げたりして、楽しくやれればベターかなと思っています。
各地でできるようにノウハウを活用したい
~ライダーズインアクションでの今後の構想や展開はどのように考えているのか。
岩間:大阪にも僕らと同じくらいのタイミングでごみ拾いをしてくれている人たちがいます。そういう人たちの汗を無駄にしたくない。みんなで集まってやる効率化だとか、やっていることを大阪府や泉佐野市(※マーブルビーチにライダーが集まることで有名)にちゃんと伝えていくこととか。
僕らのノウハウを活用頂いたことで、マーブルビーチの仲間も今では大阪府などにきちんとライダーボランティアとして認知されるようになっていることは本当にうれしいですし、多くの方に知ってほしいですね。
イベントとして大きくなってきたSSTRでもこうした問題が出てきているようで、ライダーのマナーやモラルについて風間晋之介さんと「今後一緒に何かやりたいね」という話も進めています。みんなの気持ちでゴミがづ少しずつ減っていく未来というのをどこの地域でもやっていければいいなと思います。
「楽しく地域に少しでも貢献できれば」
バイク2台でご家族で参加していた地元・厚木市の関悠二さん(35歳)にお話を伺った。奥さまの希美子さんもライダーで、娘さんの咲愛ちゃんと3人で宮ヶ瀬など近場のツーリングを楽しんでいるそうだ。
悠二さん:「もともと同じ会社の人(ライダー)が参加されていて『こういうことやってるよ』と教えてくれたので、なら参加してみようと。昨年の夏ごろからもう5~6回は来ています。自分がやるようになってからでも鳥居原のほうはゴミが減ってきたなと感じています。地域に少しでも貢献できればという思いもありますが、娘が来たがるので来れる時は来ている感じですね」
まとめ:ライダーズインアクションによる活動は各地に広がりつつある。ライダーが集まれる場所は、ゴミや騒音などの問題で立ち入り禁止となるなど近年ずいぶん少なくなった。マナーとモラルをもって、いつでも見られているという意識で大人のバイクライフを楽しみたい。
【関連サイト】
●公式サイト:Riders in Action(URL:http://ridersinaction.net)
●ツイッター:@RidersinAction(URL:https://twitter.com/RidersinAction)
●フェイスブック:Riders in Action - 鳥居原 Cleanup(URL:https://www.facebook.com/groups/332879021086695)
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