お祭り騒ぎの1980年代バイクブーム。250㏄クラスのモデルを構成するエンジンも空冷、水冷、2ストローク、4ストローク、並列4気筒、V型2(3)気筒、並列2気筒、直列2気筒、そして単気筒とバラエティに富んで(富みすぎて!?)いました。そんな中、4スト単気筒エンジンはどのようなジャンルで活躍してきたのか……? エストレヤ以前の変遷をザザッと復習しておきましょう!

エストレヤ2017カタログ

●写真は2017年「エストレヤ」カタログより。この年に発売された「ファイナルエディション」をもってエストレヤは1992年から25年間にもおよんだ販売を終了……(詳細は次回!)。このロングセラー期間は、いまだカワサキバイクの最長不倒記録となっているのです

 

エストレヤというスーパースター【前編】はコチラ!

Contents

“レプリカ”とは異なる爽快な走りを求めて……!

いい機会ですのでここから「BE(Beforeエストレヤ)」……つまりエストレヤ以前の250シングルスポーツ戦線はどうなっていたのかを軽く振り返っておきましょう。

2016エストレヤSE

●写真は2016年型のスペシャルエディション。デビューから約四半世紀が過ぎたエストレヤは紆余曲折の末にこのようなスタイリングへ落ち着きました。「アレ? サドルシートはどうなった?」と思われた方もいらっしゃるはず。そのあたりは後ほど述べさせていただきます

 

といっても1950(昭和25)年に登場した日本初の250㏄バイク「メグロ・ジュニア250㏄ J型」までさかのぼってしまうのはやり過ぎだと思いますので、ナウなヤングでも「あ、そのブランドは知ってる!」となるであろう1980年以降のモデルから写真を中心にゾクゾクとご紹介……。

鼓動感を重視する“アメリカン”にも採用されていた

“丸Z”寄りのスタイリングで登場 カワサキ Z250FS[1980年1月]

Z250FS

●デュアルパーパス「KL250」とクルーザー(ジャパンのアメリカンで“ジャメリカン”と揶揄する人もいましたね)「Z250LTD」と同系統となる空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジン(20馬力/1.8㎏m)をまろやかボディに積んだシングルスポーツ「Z250FS」(131㎏・26万8000円)。……ですが、人気は1979年に登場した“角Z”系のツインエンジン車「Z250FT」へ完全に奪われてました(涙)。前輪にドラムブレーキを採用していたことも敬遠された理由かも。しかし10数年後、逆にディスクブレーキをドラム化して人気を高めたモデルが出てくるとは。お釈迦様でも見通せなかったことでしょう

新時代の250シングルスポーツ! ホンダ CB250RS[1980年3月]

ホンダCB250RS

●すでに「XL250S」用として登場していた空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジンを高回転よりにチューニングしなおし、XLの最高出力20馬力を25馬力に、同最大トルク2.0㎏mを2.2㎏mと強化して乾燥重量〈以下同〉128㎏という軽量ボディへ搭載したライトウェイトスポーツが写真の「CB250RS」です(当時価格〈以下同〉29万8000円)。翌1981年にはさらに1馬力アップし、セルスターターまで装備した「CB250RS-Z」も登場……世界GPライダー、片山敬済選手を起用した雑誌広告なども印象に残るものでした。「ひらり、俊足。現代(モダン)シングル。」は、今考えても名コピーだと思います

CB250RS-Z

●1981年3月に追加された「CB250RS-Z」がこちら。セルモーター追加と26馬力/2.3㎏mにエンジンパフォーマンスアップだけでなく、ヘッドライトのハロゲンバルブ化やセミエアフロントサス採用、エンジン黒塗装廃止、タンク容量を12→13ℓに増量、ハンドル変更、ブレーキ改良などなど、きめ細かい改良が多数行なわれていました。同年8月には鈴鹿8耐優勝を記念した「CB250RS-ZR」なる赤×白の限定モデルまで……もうカッコいいアルファベットのテンコ盛りインフレーション〜!

ティアドロップタンクのSR!? ヤマハ SR250[1980年4月]

SR250

●映画「ランボー」での活躍が語り草となっている「XT250」と同系統の空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジン(21馬力/2.05㎏m)を400/500とは全くテイストの異なるクルーザー(当時は“アメリカン”と言ってましたね)然としたボディへと包み込んだ「SR250」(124㎏・29万円)。SR搭載へ向けてセルスターターやフルトランジスタ点火も追加されており、ヤマハの気合いはみなぎっていたものの市場からはすぐに姿を消してしまいました。歴史にタラレバもニラレバもカニタマもありませんが、兄貴分と同じようなスタイリングで250が登場していたら超絶ロングセラーになったかもしれない……と夢想してしまいます

SR250横写真

●「SR」というビッグブランドに影響されない素直な目で眺めれば、均整のとれた美しいクルーザーモデルだとも言えます。シートもブ厚く乗り心地良さそう〜。そしてもちろんセンタースタンド標準装備(笑)

乗れば気分はイージーライダー スズキ GN250E[1982年5月]

GS250E

●高い人気を博したデュアルパーパス「DR250S」の空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジン(22馬力/2.0㎏m)を心臓に持つクルーザー……もういいや、“アメリカン”モデルが「GN250E」(138㎏・30万8000円)でありました。ちなみに車名にある“E”はアルミキャストホイール採用車であることを高らかに示すアルファベット。残念ながら日本においては人気薄でしたが欧州や豪州などでは一定以上の販売量を達成したと聞いております。なお、18歳の筆者人生初バイト(餃子の王将)時、同僚(美人女性)が乗っていたこともあり、彼女とGN250Eの姿は脳裏に強く焼き付けられております

「高回転高出力化」バトルが単気筒界にも……!

生まれたタイミングが悪かった? ホンダ CBX250RS[1983年5月]

CBX250RS

●空前のバイクブームに火が付き、燃えさかっている中で世に放たれた「CBX250RS」(129㎏・36万8000円)。カタログのキャッチコピーも「パワフルに。テイストフルに。走りのスーパーシングル」となり、RFVC(放射状4バルブ方式燃焼室)+デュアルキャブレター+セミカムギヤトレイン+DOHCヘッド+2本出しマフラーを持つエンジンは最高出力は実に30馬力/9500回転、最大トルク2.4㎏m/8000回転を発揮……していたものの圧倒的な「VT250F」人気を前に、速攻で月見草(by野村克也さん語録)状態へ。CBX400Fを彷彿とさせるスタイリングはカッコ良かったのですけれどね……。徒歩歩の歩

CBX250RS横

●当時はカラーバリエーションごとにフレーム塗色やスプリングの色やエンジンヘッドの塗装まで変えていくということがフツーに行われていました。チマチマとしたコスト計算なんぞ二の次という豪快な時代!

 

国産ネオレトロスポーツの元祖!? ホンダ GB250クラブマン[1983年12月]

GB250クラブマン

前回は1992年型を紹介した「GB250クラブマン」ですが、デビューはそこからなんと9年前の1983年で当初はもっと武骨なスタイリングをまとっていたのです。エンジンスペックは8ヵ月前に出たばかりの「CBX250RS」と同じながら吸排気系をリセッティングすることで鼓動感や排気音の“テイスティさ”を増強(130㎏)。端正な姿形だけでなく、一文字バーハンドル採用や各部のバフ仕上げなどこだわりの数々、なおかつ37万9000円とべース車のCBXより1万円強しか変わらない値段付けであることも評価されてスマッシュヒットを放ち、以後効果的な改良を受けつつ1997年型まで堂々のロングセラー街道を歩みました

GB250クラブマン真横

●エンジンだけでなくシャシー関連なども含め、多くのパートをCBX250RSと共用することでコストアップを抑え込んだGB250クラブマン。……現在なら平気で10万円差くらいはつけてもいい内容に思えます

 

スタイリッシュ&スリムな相棒 ヤマハ SRX250/F[1984年7月]

SRX250

●アメリカ~ンだったSRから一転、“いちいちカッコいいヤマハ”本領発揮のスリム&スリークなデザインで登場した「SRX250/F」(121㎏:37万9000円/123㎏:39万5000円 ※上写真はSRX250)。「XT250T」向けの空冷4スト単気筒DOHC4バルブエンジンを吸排気系だけでなくピストンに至るまで大変更して32馬力/1万回転、2.4㎏m/8500回転というパフォーマンスを発揮させ、軽快な走りを実現していました。上野のバイク街でボ~ッとライダーウォッチングしていたときも、SRX250/Fが路肩に止まったときは凝視したものです(高確率で美人女性ライダーが降りてくる可能性が高かったため)(@^▽^@)

SRX250F YSP

●はい、こちらがハーフカウル付き「SRX250F」……のYSP限定仕様車。いやもう何というかカラーリングといいグラフィックといいホイールの差し色といい、全てが“完の璧”! 当時流行していたフロント16インチホイールによるクイックな旋回性も魅力のひとつである快速シングルスポーツでありました

軽さを極限まで追求した“S” ホンダ CBX250S[1985年3月]

CBX250S横

●いやはや軽く振り返るつもりが大変な作業となっているBE(Before ESTRELLA)ですが、こうなったらもう全部いっちゃえ!というわけで「CBX250S」です……って、RSのタイプミスではございません。RFVCはそのままに「XLR250R」同様のOHC4バルブヘッドとなったエンジン(28馬力/2.6㎏m)をハーフ&アンダーカウル付きボディへと搭載しながらアルミコムスターホイールまで持ち出して乾燥重量115㎏(!)を実現したスーパーライトウェイトシングル(32万9000円)が“S”なのです。んん~何というか微妙なスタイリングが災いしたのか、RSと同様にSもあまり街で見かけた記憶は……(汗)

CBX250Sセンスタ

●軽量化にこだわりつつもセンタースタンドを標準装備しているところに、開発者の良心と時代背景を感じます。いや本当にあると便利なんですよ。メンテは当然、タンデムシートへ荷物を固定しやすくもなるし……

400をカモれた250シングル! カワサキ 250CS[1985年11月]

カワサキ250CS

●「CS」といったらプロ野球のクライマックスシリーズのことではなく、「カジュアルスポーツの頭文字だよね、カワサキ最高!」と言い切って周囲にドン引きされるまでがライダーの責務です。「KL250R」ベースの水冷4スト単気筒DOHC4バルブエンジンはセルスターター装着と同時に各部改良を受けて6馬力もパワーアップし34馬力/2.5㎏mのパフォーマンスを発揮。乾燥重量118㎏を実現した専用設計のシャシー(こちらもフロント16インチ!)と相まって街中はもちろんワインディングでも侮れない速さを誇りました(38万9000円)。この7年後に対極的な存在であるエストレヤが同じカワサキから出てきたと考えると感慨深いものがあります

 

各メーカー独特の世界を切り拓くアイテムに!

ドリフトコントロール自由自在! ホンダ FTR250[1986年2月]

FTR250

●米国では昔からとんでもない人気を誇るモータースポーツ、“フラット・トラック・レース”を日本でも流行らせようと画策したホンダが頭文字を車名にして世に問うたのが「FTR250」でした。RFVC・空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジンは低中速域での鋭い応答性を優先させて27馬力/2.4㎏m仕様となり、独特なスタイリングの軽量ボディへと搭載(114㎏:38万5000円〈キック仕様〉・119㎏:39万8000円〈セル仕様〉)した……のですが当時は鳴かず飛ばず。駄菓子菓子、生産終了から10年以上経った後のトラッカーブームで中古車人気が爆発し、ならばとスタイルを寄せた「FTR」が2000年に再登場したのは有名な話ですね

FTR223

●こちらが2000年9月に登場した「FTR(223)」のトリコロールカラー(119㎏・33万9000円)で、排気量223㏄の空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンは19馬力/2.1㎏mを発揮。人気モデルとなりました〜

 

デビューが10年早かった!? スズキ NZ250/S[1986年2月]

NZ250

●デュアルパーパス「DR250S」向け空冷OHCエンジンをグリグリに魔改造し、33馬力/2.5㎏mを生み出す油冷4スト単気筒DOHC4バルブ化+6速化までしたパワーユニットをなかなかにスタイリッシュな姿へパッケージングしたのが「NZ250/S」(118㎏:37万9000円/120㎏:39万9000円 ※上写真はNZ250)。ところで、この「NZ」という車名の由来がどうにも分かりません。キャッチコピーは「URBAN RUNABOUT」で、そこから取ったら「UR250であ~る♡」と吉岡里帆さんが空を飛びそうな感じなのですが。New Z(新しい究極)を意味していた?? ともあれ、広い支持は得られず即終了……

NZ250S

●油冷らしい細かいピッチのフィン、なんで?と思ってしまうスポークホイール、いろいろと芸の細かいハーフカウル、松本零士先生風味あふれるサイレンサーカバーの穴あき処理などなど、筆者の大好物なスズキらしさが満載な「NZ250S」。しっかりセンタースタンドが付いているところも好印象なのであります

 

“ティーダーバー”なる新語まで! ヤマハ TW200[1987年4月]

TW200初代

●「TWハンパないって。10年近く経ってめっちゃブレイクしたもん。そんなん出来へんやん、普通」と、懐かしの“大迫ハンパないって”構文で始めましたが1990~2000年代の軽二輪市場を語る上で「TW200」(118㎏・29万9000円)の存在は無視できません。たった16馬力/1.6㎏mの196㏄空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンを積んだ、見慣れない極太タイヤを履く珍妙なオフロード車が“カスタム”という魔力を得て一大ブームを巻き起こすことになろうとは……。SRX250が1990年代半ばで消えてしまった後も、TWシリーズは2007年の生産終了までヤマハ軽二輪スポーツの大黒柱であり続けたのです!

TW225_2007

●はい、こちらがまさしく2007年発売の「TW225E 20th Anniversary Special Edition」(120㎏・39万9000円)です。2002年に223㏄化されても18馬力/1.8㎏mという非力なエンジンでしたが、誰ひとりとして文句を言う人はいませんでした。とにかく多種多様なカスタムモデルが街にあふれてましたね〜

 

お洒落になりたかった働きマン ヤマハYD250S[1989年9月]

YD250S

●当時隆盛を誇った“バイク便”需要の増大を背景に行われたビジネスバイク「YD250」のモデルチェンジに伴い、シングルシート+大型リヤキャリヤだったSTDへダブルシートを導入して配色にもこだわったカジュアル仕様「YD250S」も登場(146㎏・34万9000円)! エンジンは信頼性と耐久性に優れた空冷4スト単気筒OHC2バルブでセル・キック併用式。ハードな使用に音を上げない質実剛健さぶりはもちろん、当然ながらセンタースタンドまで最初から付いている点もウレシイ限り。キャンプ場などで何度となく見かけた隠れた人気車であり、スタイリング的にも“ネオレトロ”……と言えないこともない(笑)

YD250S

●今風に言えば非常に“エモイ”時代錯誤感と、それでもヤマハだけに美しささえ感じさせる全体〜細部に至るまでのまとまりっぷり。現在ポンッと再登場したら、バイクキャンプ大好き勢のみならずミリタリーファンの熱い支持も受けそうな気がいたしますが……

 

シングルレースでも大活躍! スズキ グース250[1992年2月]

グース250

●1991年に登場した兄貴分の「グース350」(145㎏・56万9000円)から遅れること少し。1992年にリリースされたのが「グース250」(139㎏・49万9000円)でした。油冷4スト単気筒OHC4バルブエンジンは30馬力/2.6㎏m(350は33馬力/3.3㎏m)の実力を持ち、350では倒立式だったフロントフォークは正立式となりオイルクーラーとアルミサイドプレートなども省かれていますが性能的には問題なし。いや、筆者にとっては350よりも乗りやすく面白かったという鮮明な記憶が残っており、すぐ消えたのが本当に残念。なお、車名はマン島TTレースの名所“Gooseneck”コーナーにちなんだものだとか

グース350

●ちなみにこちらが「グース350」。サーキット試乗取材に立ち会い、プロライダーがガンガンに回して(レッドゾーンは1万回転から!)コーナーを攻めたてる姿を見たときは震えました。「いいね、コレ! 4気筒レプリカとは全く違う面白さがあるよ!!」とインプレするプロ。このバイクも登場が早すぎた気がいたします

 

懐古主義を前面に押し出したモデルへの評価は?

……と、一気に駆け抜けた1980年代バイクブームにおける250シングルスポーツクロニクル

熾烈な45馬力(+α)レーサーレプリカバトルが繰り広げられているなか、それらとは違うシングルだからこそ提案できる魅力を4メーカーとも模索していたことがよく分かりますね。

そして1992年5月、レトロ方向へ全振りするという新たな地平を切り拓いたカワサキ エストレヤが発売を開始いたしました。

1993エストレヤ

●1993年型「エストレヤ」のルミナスウインザーグリーン。タンクのエンブレムが立体化されて質感も向上。このグラフィックイメージが筆者のなかで「エストレヤといったらコレでしょ!」という地位を占めております。実際、こちらの仕様は1995年型まで継続されたので販売台数も多いのですよ

 

はたして市場の反応は……? 

バイク雑誌ギョーカイも興味津々で動向を見守りましたが、滑り出しから快調そのもの。

翌1993年にはタンクのロゴが立体エンブレムとなり質感がさらに向上(上写真参照)。

1994年はオレンジに代わって新色レッドを投入(グリーンは継続)と、3年間は外装の小変更だけで推移いたしましたが、1995年から矢継ぎ早に大きな動きが巻き起こります!

画家イラスト

●エストレヤという絶好のキャンバスに、どのような色をつけていくか。プレッシャーを感じつつも担当者は心から楽しんでいたんだろうなぁ……、と神戸から送られてきた新製品ポジをルーペでのぞくたび筆者は想像したものです

 

なんと、ロングシートを採用した「エストレヤRS」が追加されたと思ったら(サドルシートの「エストレヤ」は継続)、

エストレヤRS

●ドドーン! エストレヤ人気をさらに加速させたロングシート仕様の「エストレヤRS」が1995年、ついに登場いたしました。シート高が770㎜だったサドルシートから一気に735㎜となったロングシート仕様は足着き性を気にする老若男女の注目を一身に集めたものです(乾燥重量はSTDと同じ142㎏)。同時にリヤショックユニットはリザーバータンクが姿を消したシンプルなタイプへと換装。また、写真のエボニー×ファイアクラッカーレッドだけメッキフェンダーが採用されるなど、新製品紹介欄担当者を泣かせるカワサキのカラーリングや細部パーツへのこだわりが、これ以降ドンドン増えていくのです……

 

懐古主義をさらに突き詰めていく大変更が!

翌1996年には前輪にドラムブレーキを採用した「エストレヤ カスタム」と「エストレヤRS カスタム」がさらに追加され、4つのバリエーション計8色から好みの仕様を選ぶことができるという選択肢の一気拡大っぷりには心底驚かされました

エストレヤカスタム

●1996年型「エストレヤ カスタム」。まさかのドラムブレーキ導入(乾燥重量は6㎏増)にフォークブーツ、メッキフェンダーといった小技も効いてレトロ感はさらにマシマシのマシ! もともとが懐古調なサドルシートとのマッチングもバッチリで本当にまいっちんぐ。カワサキ……ライダーの趣味趣向を分かってます

 

エストレヤRSカスタム

●同じく1996年型の「エストレヤRS カスタム」。いやいやいや、ロングシートでも十分にいい雰囲気ではありませんか〜。エストレヤとはハンドル形状が異なりグリップ位置が少し低くかつ狭く(=ライディングポジションが若干前傾気味に)なるのでプチ“攻める”気分に浸りたいならこちらです

 

1997年、1998年はカラー変更(これがまたイイ色&グラフィックだらけ)が続き、1999年は2月に色変更を受けたイヤーモデルが出たあと、7月に平成11年排出ガス規制に適合させるための大きな改良を実施された仕様が追加で登場するという変則パターン! 最大トルクのスペック値こそ0.1㎏m減ったものの車体色も価格(45万円)も不変という戦略が泣かせます。

1999年エストレヤ

●1999年型「エストレヤ」のスカイブルー。渋いカラーリングが続いたと思ったら、突然このように目が覚めるような色をブチ込んでくるところもまた、“カワサキ、ワカッテルナァ!”と首肯してしまうところです。なお、同時に乗り比べてみるとフロントブレーキはやっぱりドラムよりディスクのほうが絶対的に効いた記憶があります。とはいえドラムなりの走らせ方、所有感の高さというのもあるため好みで選んで間違いはないかと。ただし、ともにしっかりメンテナンスがなされていることが大前提ですよ〜(レッドバロンの中古車なら問題なし)

 

そして2000年型でサドルシートのエストレヤはドラムブレーキのカスタムのみ

ロングシートのエストレヤRSはディスクブレーキの仕様のみ、という車種整理が行われ、こちらの展開が2006年まで続いていくことになりました……と、長くなりましたので今回はここまで

エストレヤリミテッド

●2002年型で初登場した「ESTRELLA Custom Limited edition」。鈴木その子さんかマットさんかスケキヨさんか呪怨のオバケかってなくらい真っ白白すけ、かつクロームメッキ大増量な限定車。これでスタンダードモデルと同じ46万円ということで大人気御礼に。以降も刺激的なカラーリングにキンキンキラキラなクロームメッキ大増量という500台限定車が毎年のように登場してきました

 

次回は2007年のFI化からライバルの動向そして生産終了までを、今度こそもう少し軽めに紹介する予定です(汗)。

あ、というわけで本当に文字どおり「ビギナーからベテランまで楽しめる」奥深さを持っている250シングルスポーツ。エストレヤはもちろん今回紹介した車種たちも衰えない魅力を備えております。もし1980年代の中古車を体験してみたいならレッドバロンの良質な中古車が超オススメ! 車両があるということは“パーツ供給の心配もなく安心して乗り続けてもらえますよ”ということと同義なのですから。ぜひお近くのレッドバロンにて探してみてください!

エストレヤというスーパースター【後編】はコチラ!

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