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発売前に“立ち読み”してください
みなさん、こんにちは青木タカオです。 WEB/雑誌、バイク専門、一般大衆向け、ジャンルを問わずいろいなメディアに寄稿しているボクですが、編集長を務めている専門誌もありまして、それが『WITH HARLEY/ウィズハーレー』(内外出版社)です。季刊誌ペースで年4回発行していまして、来たる6月8日(木)には最新号となります『ウィズハーレー Vol.16』が全国の書店および大手通販サイトにて新発売となります。
冒頭から「宣伝かいっ!」とお叱りを受けそうなので、ここでは発売前に一部内容を立ち読みならぬ、一足先にお見せしつつ、ウラ話的なこともしてしまおうかと思います。
せっかくココ『ForR』にて、ウィズハーレー誌の編集長であるボクがコラムを連載させていただいているのですから、僭越ながら読者のみなさんが少しでも得した気分になっていただければ嬉しい限りです。
雑誌の表紙はどのようにして決まる!?
さて、まず雑誌の“顔”でもあります表紙はコチラ。どんな内容なのか、どのような特集が組まれているのかがわかるように、ボクたち編集者はまず写真を決定します。
専門誌の多くはズバッとひと目で中身をイメージできるようビジュアルが決まっていくと思いますが、大衆一般誌の中には内容とあまり関係のないイラストであったり、グラビアなどが表紙を飾ることもあります。
いずれにせよ、その雑誌の“顔”である以上、売り上げにも大きく影響する重要な要素であるには変わりません。ウィズハーレーもまたボクひとりではなく、複数人で意見を出し合うなど議論を重ね、最終型へといたっていきます。
夜道雪さんも登場していただく!
ご覧の通り、普遍的なスタイルのXLスポーツスターが、オレンジとイエロー2台並んでいる写真を選びました。年式で言えば、両モデルとも2002年式で、表紙画像では手前、下の見開きページでは左のスポーツスターはハーレーダビッドソンのダートトラックレーサー「XR750」を彷彿とさせるレーシングオレンジの外装に一新され、どちらの車両もマフラーがアップタイプの2本出しにカスタムされています。
表紙画像では後方、上にお見せした特集ページ右側の車両もまた、90年代の小振りな燃料タンクに換装されるなどノーマルとは異なりますが、誰が見てもひとめでそれとわかる“空冷XLスポーツスター”のお馴染みのスタイルではないでしょうか。
ベテランライダーには懐かしくもあり、まるで20年ほど前の専門誌ではないかと思うほどの雰囲気を狙っています。
というのも今号の特集では、ハーレーダビッドソンのスポーツモデルの心臓部が、水冷化された「レボリューションマックス」へと刷新していくなか、どうしても原点であるベーシックモデルを改めて見直したいと“空冷XLスポーツスター”に乗り込み、改めてその魅力を探ってみようと考えたのでした。
「今さら?」「トレンドを反映していない」と読者にお叱りを受けそうですが、ハーレーダビッドソンにとっての大変革期である今だからこそ、原点に立ち返らなければと思うのです。
ちなみに、水冷エンジンを積むNEWスポーツ『ナイトスタースペシャル』と、夜道雪さんの写真もWITHHARLEYのロゴに大胆に差し掛かるよう表紙に入れました。そして、誌面の“中身”では『ナイトスタースペシャル』のファーストインプレッションをインタビューしています。キュートな夜道雪さんと、カジュアルで若者にも人気の高い次世代スポーツスターの撮り下ろしカットを満載にしました!
夜道雪さんは北海道出身で、声優、歌手、ユーチューバーとして活躍中。声優としての主な出演作は『スーパーカブ』(小熊)、『女神寮の寮母くん。』(八月朔日せれね)、ゲーム『SAMURAIMAIDEN-サムライメイデンー』(玉織紬)、海外ドラマ『戦え!チアスクワッド:ゲット・テン・イーブンシリーズ』(マウス)、映画『マロナの幻想的な物語り』(ソランジュ)など幅広く、2022年7月20日にはミニアルバム「初雪FirstLove」(ユニバーサルミュージック)でアーティストデビューを果たしています。
夜道雪さんはハーレーダビッドソンの公式イベント「BLUE SKY MEETING in 日光・栃木」にゲストとして招かれ、そのご活躍の様子はウィズハーレー最新号、そしてWITHHARLEY You Tubeチャンネルでもイベントレポートしておりますのでファンの方々はもちろん、そうではない人もぜひご覧ください。どうぞお見逃しなく!
撮影したのは二輪界の巨匠
表紙の写真を撮ったのは、フォトグラファーの磯部孝夫さん。ウィズハーレーのメインカメラマンのひとりであり、その前身である『バージンハーレー』(バイクブロス)でも撮影は頼りきっていましたし、それは『HOTBIKE JAPAN』(ネコパブリッシング→バイクブロス)などで取材をご一緒してからが始まりで、今なおいろいろと学ばせていただいている写真家です。
※磯部さんの名刺には、肩書に「写真家」とあるんです。
磯部さんは1949年生まれ、プレスリーやビートルズを聴いて育った年代。最初にアメリカ・フロリダで毎年おこなわれるデイトナ・バイクウイークへ撮影に行ったのは1981年のことです。デイトナをレポートする日本人のジャーナリストが、まだほとんどいなかった時代に先駆けてのことでした。
デイトナ・インターナショナル・スピードウェイが1959年に建設される以前から、硬くしまった長いビーチでデイトナではレースがおこなわれていて、そこは言わばアメリカンレーシングの聖地。四輪・二輪を問わず、特別な場所です。
WGP(世界グランプリ)でヨーロッパも巡る磯部さんにとっては、もちろんレースを撮影することが大きな目的のひとつであったはずですが、デイトナで魅了されたのは“バイクウイーク”というカルチャーな部分であったのではないかと、ボクはお話を聞いたり写真を見て思っています。
バイクウィークはアメリカのバイクシーズンを告げる3月最初のウィークエンドに向けて街全体をあげて開かれますが、磯部さんは2011年に開いたご自身の写真展のパンフレットでこのように綴っています。
3月の南の風が優しく、甘く、僕の体を包み込んでくれる。
夜のメインストリートの喧噪感がたまらなく好きになってしまった。
そんなバイクウィークに、ボクが初めて行ったのも磯部さんとでした。その時の模様はココでも書いておりますので、興味のある人はぜひお読みください。最後にリンクを貼っておきます。
2台のスポーツスターをどのようにして撮るか
そんな磯部さんと、冒頭に書いた通り“空冷XLスポーツスター”に今号のウィズハーレーでは乗り撮影しました。当初、ボクは2台の車体全体がしっかり収まるような写真をイメージしていました。
雑誌に掲載する写真は、さまざまなケースがあるものの、編集者のオーダーによって撮影されたカットがほとんどです。場合によっては、ラフスケッチを描くようなことも丁寧な現場ではあったりします。
なるべく行き当たりばったりではなく、編集者の意図・狙いをフォトグラファーに伝えて撮影に挑みますが、それは表紙に限ったことではありません。
その一方で、イベントであったり風景写真など、カメラマンが好きなように動いて撮ったものが誌面に掲載されることもあり、それはメディアや企画によっていろいろなケースがあります。
広告のスタジオ撮影などはクライアントさん側(メーカーや代理店)が、アングルはもちろん影の入り方やエッジの効き方などなどとても細かいところまで指示し、画像をつくりあげていくことも珍しくありません。
今回は大胆なまでに、スポーツスターのタンクとエンジンをクローズアップした構図の写真が見る人にインパクトを与え惹きつけられるとなり、表紙の写真の採用が決まりました。上にスクロールするのが面倒でしょうから、再度ご覧いただくためにもういちど上にアップしておきます。
一方、上の写真は現場でボクがスマートフォンでメモとして撮ったものですが、全体がキレイに収まっていて、プロである磯部さんが撮影した“本番”仕様はより美しく洗練されたものでしたが、レイアウト作業するデザイナーさんとも打ち合わせを重ね、数パターンを見比べたりすると、スポーツスターの核心部に強く寄った写真がいいなとなり、今回の表紙が完成へと至っていきました。いかがでしょう、読者の皆さんならどちらの構図を表紙に選ぶでしょうか?
タイトルなど文字要素も吟味される
途中、印刷所から“色校”という見本も刷り上がってきて、色調なども含め最終チェックします。タイトルやキャッチコピーといった文字要素も、雑誌の中身を知らせるのに重要なファクターとなりますので、締め切り直前までとことん吟味します。
と、今回も好き放題に書いていたら、あっという間に長文になっているではありませんか! 『ウィズハーレー Vol.16』の中身をもっと立ち読みしていただきつつ、いろいろとウラ話もしていこうと思っていましたが、今回はココまでとし、残りは次回以降にさせていただきます。
巻頭特集の“空冷XLスポーツスター”をはじめ、ハーレーのニューモデル情報、登場していただく“ハーレー女子”についてなど、『ウィズハーレー Vol.16』では収まりきれなかった内容を引き続きご紹介したいと思いますので、次回もまたどうぞよろしくお願いいたします。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。途中にご紹介させていただきました、フォトグラファー磯部孝夫さんとのデイトナバイクウィークでのハナシはコチラです。ぜひご覧ください。
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