ハーレーに興味がなかったボクが、なぜ惹かれていくのか!?

 バイクライターとして、普段からバイク専門誌や一般大衆誌、WEBサイトなどいろいろなメディアに幅広く寄稿させていただいているボクですが、3ヶ月にいちど(季刊)のペースで発売中のハーレー専門誌「WITH HARLEY/ウィズハーレー」(内外出版社より3、6、9、12月上旬発売)」では、編集長を務めさせていただいております。

 片岡義男のオートバイ小説に憧れて、四半世紀以上もダブワン(1971年式カワサキW1SA)に乗り続け、スーパークロスに衝撃を受けてモトクロスにハマったボクが、どうしてハーレー専門誌に携わっているのか……!?

 そもそも白状しますと、バイクに乗りはじめた頃は、ハーレーにはまったく興味がありませんでした。では、どのようにしてハーレーに惹かれていったのか。ここで少しずつ、書いています。
 今回からは、全3回で「DAYTONA BIKE WEEK(デイトナバイクウィーク)」で受けた衝撃をお伝えしたいと思います。ハーレーがお好きな人も、アンチな方々も、よろしければ最後までお付き合いください。

ハーレー乗りはなぜ集う!? バイクはひとりで乗れば楽しいのに…

 ボクはハーレーをきっと好きになる。

 いま思うと、業界の先輩方は見抜いていたのかもしれません。フリーランスのライター/編集者として、まだ駆け出しの頃、ハーレー専門誌「HOTBIKE JAPAN」(当時=ネコ・パブリッシング)のお仕事をさせていただくようになり、ハーレーの機種名もわからぬまま、誌面づくりのお手伝いをしておりました。

 池田伸 編集長には、連載ページ「アオチが行くっ!」を早くからやらせていただき、いまでも感謝するばかりです。後に「VIRGINE HARLEY/バージンハーレー」誌(バイクブロス)を編集長として任され、そして出版社を変えて現在の「WITH HARLEY/ウィズハーレー」となっていくのですが、そのハナシはまた今度。

 ハーレー乗りの方々は、なにかと集まるイメージがあります。ここ日本では、ハーレーダビッドソンジャパンが主催する毎年恒例の「BLUE SKY HEAVEN/ブルースカイへブン」がありますし、ショップやクラブでもさまざまなミーティング、イベントが全国で開催されています。

 コロナ禍で昨年から今年にかけては、ずっと中止や延期が続きますが、ハーレーに乗る人たちの多くはミーティングやイベントで盛り上がるのが、好きな傾向にあるのではないでしょうか。

 なぜ、集うのか……!? バイクはひとりで乗って充分に楽しい乗り物で、ツーリングでは日常から離れた解放感、もっと通り越して“孤独感”を楽しみたい、なんてボクは思っています。  だからバイクで走るのはソロでいいですし、仲間とのツーリングも2〜3人、せいぜい5〜6人もいれば賑やかではないかと……。
 しかし、2010年のことでした。本場アメリカで、ハーレー乗りたちが楽しそうにしているのを目の当たりにし、ボクは「こういうことかっ!」と、ハーレーの奥にあるアメリカンカルチャーみたいな楽しさに気づいてしまったのです。

あのデイトナへ!!

「DAYTONA BIKE WEEK(デイトナバイクウィーク)」へ。“デイトナ”、誰でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。米国フロリダ州中部に位置する町で、北大西洋に面した砂浜は23マイル=37kmにも渡って続く、アメリカで最も有名なビーチのひとつです。 


 モータースポーツ黎明期から、クルマやバイクのレースがロングビーチでおこなわれ、ハーレーダビッドソンの歴史を語る上でも欠かせない場所。1937年のナックルヘッドレーサーでは、219km/hの最高速記録を樹立し、全米へ、世界に、OHVの新作エンジンが高性能であることを証明しました。

ハーレーダビッドソンミュージアム(米国ミルウォーキー)に展示されている1937年のナックルヘッドレーサー。

▲ハーレーダビッドソンミュージアム(米国ミルウォーキー)に展示されている1937年のナックルヘッドレーサー。

 1959年には「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ」が完成し、アメリカンモータースポーツの聖地となっていきます。「デイトナ200」など様々なレースがおこなわれる3月上旬の10日間はバイクウィークとして街全体がお祭り騒ぎとなり、全米いや世界中から約50万人のライダーが集まります。
 レースだけでなく、ミュージックフェスティバルやストリートパーティーなどイベントは至るところでおこなわれ、世界最大級のバイクイベントとも言われています。

巨匠カメラマンを頼って現地へ!

 成田からエコノミークラスで12時間、米国シカゴで飛行機を乗り継ぎ、さらに4時間のフライト。フロリダ州のオーランドにたどり着いたのは夜遅くでした。

 しかし、ここまで来たらもう安心。あとは先に現地入りしているフォトグラファー磯部孝夫さんがレンタカーで迎えに来てくれる……、はずですが、空港のロビーに人影がまったくなくなっても、姿が見えない。

 磯部さんにはこの日、「シカゴからのアメリカン航空最終便でオーランドに到着します」と、何度もメールを送りましたが、まったく返信なし。嫌な予感はしていましたが、70年代からWGPやマン島を撮影する“巨匠”と呼ばれる大御所カメラマンですから「返信をよこせ」なんて言えません。

 英語もろくに話せないボクがたったひとりで、「このまま空港のベンチで寝ることになるのかなぁ」と覚悟を決めた頃、巨匠が来てくれました。飛行機到着から3〜4時間が経った頃です。

 デイトナからオーランドはクルマで1時間半もかかりますから、きっといろいろと撮影をして、それから来てくださったのでしょう。デイトナに通い続けて20年以上になる磯部さんは、その後、一緒に行動して気づいたのですが、デイトナ滞在中は毎日必ず夕陽を撮影します。

 となれば、オーランドの空港に到着するのが夜遅くなるのも納得。深夜2時半頃、ボクは磯部さんが先にチェックインしているモーテルの部屋に潜り込むことができたのでした。駐車場はバイクが占拠している。


 長い長い1日でクタクタだったはずですが、明朝からはじまるバイクウィークのことを考えると、興奮して眠れませんでした。もう10年以上前のことではっきり覚えていませんが、毎晩たくさんのビールをモーテルで飲んだことだけは確かです。

 第2回へと続きます。ぜひ、次回もお楽しみに!

衝撃のバイク天国デイトナバイクウィーク【2/3】 Welcomes Bikers! 誰もがライダーを歓迎する10日間

衝撃のバイク天国デイトナバイクウィーク 【3/3】最終回 ボクもハーレーに乗って来て、この下を通り抜けよう

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事