歴史的な裏付けを特に求めないユーザー層は薄かった……!?
折りしも1996年から運転免許制度の改正によって大型自動二輪免許が創出され、教習所に行けば簡単にビッグバイクの免許が取得できる時代が到来。
「今はZRX(400)だけど近いうちに免許を取ってデッカイZRX1100を買ったら、もっと“ローレプ”に近づけるんです!」という目をキラキラさせる、このようなヤングにイベント取材でも行けば何人ハナシを聞けたことか……。
しかし「イナズマ(400)」を買って大型自動二輪免許を取り「イナズマ1200」を見に行ったら、自分のバイクと大きさやデザインは全く変わらず(あえて言い切ります)、車両重量が20㎏ばかり重たくなった車両がそこにあるのです。
もちろんパワーは倍近くになっておりますけれど、かくいうポイントだけにめちゃくちゃ魅力を感じてサイフのヒモをガバッと緩めるライダーが多いかと言えば……残念ながら多数派ではなかったようです。
正直、筆者もご存じの通り油冷大好きヤロウなわけですが、始祖たる1985年製「GSX-R750」は軽量シンプルであることに心血を注ぎ、結果として苦心惨憺の末に生み出されたのが油冷システムなワケですのに、
「イナズマ」の乾燥重量は185㎏と、水冷+ビキニカウル付きな「ZRX」と同じというところに、モヤモヤとした引っかかりを感じてしまいました(1200とほぼ同じ車体なので致し方ないのですけれどね。逆に「イナズマ1200」の乾燥重量208㎏というはナカナカの軽量っぷりと言えるもの)。
いざ「イナズマ」に乗ってみても、400㏄という排気量のせいか油冷ならではのエンジンフィーリングというのが分かりにくく、特徴的なゴリゴリとした太いトルク感……でしたら、水冷のカタナとインパルスのほうが上回っていたほど。
もちろん最新設計かつ余裕のある車体と各種装備でしたので、曲がる&止まるのフィーリングはとても気持ちよかった記憶があるのですけれど……。
ともあれ1997年3月、銀、黒、赤のプレーンな3色展開でスタートした「イナズマ」は同年6月に白を追加して4色展開に。
翌1998年2月には新しい灰、新しい赤、新しい銀、継続の銀へカラーリングを大胆変更。
1999年3月には新色の青、人気の銀&灰という3色ラインアップへ……と、目まぐるしく色をいろいろと変化させていきますが、人気にはなかなか着火せず。
最前線の苦境を聞きつけてインパルスが再起動……したけれど!?
すると、1996年12月のヨシムラカラー小変更以来、ずっと放置プレイ状態にあった「GSX400 インパルス」が、1999年7月に突然(必然?)のアップグレードを実施されます。
「イナズマ」が装備していたフロントブレーキのブレンボキャリパーが新採用されるとともに、ヘッドライトはキラキラお目々なはやりのマルチリフレクター仕様に!
人気の黒と赤は継続しつつ、銀は新色、なおかつヨシムラカラー(黒×赤)も定番化された4色展開で再び400市場における存在感をアップしました(この小変更を機に「タイプS」が選べなくなってしまったのは残念でしたが)。
そんな1999年、すでに「バンディット400」シリーズは姿を消したものの、地味~にラインナップへ残っていた「GSX400S カタナ」、
そして「イナズマ」とともに、生き馬の目を抜く400㏄並列4気筒ネイキッド戦線を凌いでいった3代目の「GSX400 インパルス」。
このままチームメイトやライバルとともに最前線バトルを繰り広げていくのかと思いきや2000年末……21世紀を待たずに「GSX400 インパルス」はラインアップ落ちをしてしまいます!
なんだってぇ〜ッ!?……すみません、「イナズマ」について熱く語ってしまったせいで終わりませんでした m(_ _)m。
というわけで延長戦となる次回は、3代目インパルスの一時退場と4代目として復活した背景などについて、語らせていただければ幸いです。
あ、というわけで1990年代の後半は400ネイキッド、そしてそちらに呼応するリッターネイキッドが大充実を誇った時代で多種多様な車両がいまだ市場を賑わしています。「イナズマ」&「イナズマ1200」も今となっては貴重な油冷マシンとして人気が急上昇。レッドバロンの『5つ星品質』な相棒を購入して、安心で楽しいバイクライフを満喫いたしましょう!