二輪媒体の第一線で活躍する写真家・真弓 悟史氏。『BikeJIN』、『ライダースクラブ』、『ヤングマシン』、『BMW BIKES』といった二輪媒体のメインカメラマンとして活躍する同氏は、レースなどの動きのある写真はもちろん、インタビュー撮影からファッションページまで幅広く撮影。今回の会場となった56designのカタログ撮影なども担当している。
「Answer」というユニークなテーマの写真展
真弓悟史氏初となる写真展のタイトルは「Answer」。このタイトルの意味するところは、自身が生業とする二輪媒体からの仕事、“撮影依頼”に対し、写真家・真弓悟史がファインダーを通じて“どう答えてきたか”の「Answer」ということ。四半世紀に及ぶ、フォトグラファーとしての活動の中で選りすぐりの「Answer」25点で構成したのがこの写真展である。
写真展「Answer」初日である7月6日(土曜日)には、56designの代表であり、元バイクレーサーの中野真矢氏とのトークショーも開催。千葉県東金にある56design 本店2Fのショールームには多くの来場者が集まった。
中野真矢氏は、『ライダースクラブ』のメインテスターでもあり、今回の写真展に展示されている作品の多くに中野真矢氏がライダーとして登場している。トークショーでは、『ライダースクラブ』の表紙撮影の裏話や、お気に入りの4点の作品をピックアップしての解説などを行なった。
写真展「Answer」は僕にとっても“答え合わせ”になった
……なんて堅苦しい紹介はこのくらいにしておこう。真弓カメラマンとは筆者の僕自身、『BikeJIN』、『ヤングマシン』、『ライダースクラブ』といった媒体で一緒に仕事をさせてもらっており、今回の写真展でも編集者やライダー、時にはストロボ持ちの助手として関わった写真が10点ほど展示されていた。
ときにライダーとして、ときに現場のアシスタントとして、また誌面で採用する写真を選ぶ“編集者”として真弓カメラマンとの仕事に関わってきたが、面白かったのは、展示作品の中には誌面に掲載したものもあれば、そうじゃない写真があったり、誌面の都合で泣く泣く不採用とした写真があったことだ。
真弓カメラマンとしてのベスト「Answer」はこっちだったか! とドキッとする場面もあれば、やっぱりこのカットだよね! と胸を撫で下ろしたり……。写真をセレクトする編集者としての“答え合わせ”ができたのが印象的。その日、その時の一瞬を切り取る真弓カメラマンの「Answer」に対し、真摯に向き合えているか? を自問自答させられたのだ。そんな「Answer」を前にまだまだ精進せねばと思った次第。
……と、まぁ僕の立場からすると、どうしても二輪誌編集者としてのフィルターを通した見方になってしまうが、そんなバイアスを抜きにしても1枚の写真に込める「Answer」のメッセージ性は相当なもの。多くの二輪誌で引き手あまたとなるカメラマンには、やはり“それなりの理由がある”というわけだ。
びっくりするのは、ここまでライダーの心情に寄り添った写真が撮れる真弓カメラマンがバイク乗りではないということだ。二輪業界には、程度の差こそあれバイク好きだったり、バイクに乗るカメラマンが多い中で、同氏の経歴は大変異色。“ここまでお世話になっているのだから……”と、いつだか二輪免許だけは取得したそうなのだが、依然としてペーパーライダーであるという同氏がなぜここまでの写真を撮れるのか? と毎度驚かされる。