2001年、「ZRX1100/ZRX1100-Ⅱ」がフルモデルチェンジを受けて1200時代へ足を踏み入れたとき、ビキニカウルの「R」と同時に登場し新たな需要を掘り起こそうとしたハーフカウルの「ZRX1200S」。残念ながら日本の市場では幅広い支持を得ることができず短命に……。しかし「ZRX1200R」は着実にファン層を拡大させていきました!

●2004年型「ZRX1200R/ZRX1200S」カタログ表紙より。モノトーン空間に置かれているのはビキニカウルの「R」のみ。いや、左側を10円玉で削ったら「S」の姿が浮かび上がってくるに違いない(←落ち着け)。同時発売から3年が経過し、「気合い入れて導入したハーフカウル版だけど、ちょっとこれ以上は伸びしろが見えないなぁ」という冷徹な経営判断がなされたのかもしれません。と、いうわけで「S」の国内正規販売はこの2004年モデルで終了……
カワサキZRXという好漢【その9】は今しばらくお待ちください m(_ _)m
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明石産スポーツモデルは昭和の時代から脱衣バイク(?)の宝庫!?
実はカワサキというメーカー、ハーフ(フル)カウルモデルをネイキッド仕様とすること(その逆もあり)に長けておりまして、今回取り上げている「ZRX1200R」&「ZRX1200S」だけでなく、筆者の記憶に深く刻み込まれている車両が数多くございます。

●1980年代、フルカウルのスポーツモデルだらけになって、そこからカウルを脱がせたのでネイキッド(裸)。かくいうモデルにハーフカウルをまた付けたら……??? まぁ、一般的にはネイキッドと呼んでおりますな(^^ゞ
それらをザッと紹介していきますと……何と言っても山口の片田舎でバイク雑誌だけが友達だった中坊の脳を焼いたのが「GPz400F」から「GPz400F-Ⅱ」への脱衣……いや変身でしたね~。

●1982年型カワサキ「Z400GP」カタログ表紙より。1979年に待望久しかった並列4気筒エンジンを搭載して現れ大ヒットした「Z400FX」。しかしライバルの追撃も鋭くなりFXから13㎏ダイエットし、リヤ1本(ユニトラック)サスやセパハン、フロントダブルディスクなどを採用して登場したのが写真のGPというわけです。空冷DOHC2バルブエンジンも43馬力から48馬力へアップ……したのですが、わずか1年ほどしか販売されないという結果となりました
忘れもしない1983年3月、当時の二輪業界にとって大きなムーブメントとなっていたカウリング(フェアリングとも言ってました)解禁を受け「GPz400」が登場。

●1983年型カワサキ「GPz400」。……このヘッドライトからタンク、サイドカバーを経由してテールランプへとウネウネ流れていくストリームラインにメロメロとなった中坊。バイク雑誌広告の片隅にあったカタログ請求用クーポン?を切り取って川崎重工本社へ送り(他メーカーも同様)、後日郵送で届けられた夢の小冊子をコーフンしながら封筒から取り出し、飽きることなく眺めていたものです。GPから3馬力上がって51馬力へ!
そのたった8ヵ月後、同1983年11月に登場したのが「GPz400F」だったのです。

●1984年モデルとして扱われる初代カワサキ「GPz400F」。左右2本出しマフラーのKawasakiロゴが廃されたなどなど細かいところまで英単語や数学の公式そっちのけで記憶したもの(^^ゞ。ただ、同じ1984年2月には水冷4バルブエンジンで59馬力、乾燥重量152㎏のスズキ「GSX-R」が登場して400㏄クラスにもレーサーレプリカブームが到来! カワサキがどこまで空冷2バルブエンジンにこだわるのか興味津々でありました
Fなしで51馬力だった399㏄空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブエンジンの最高出力は54馬力へとかさ上げされて、スペック至上主義の丸坊主(野球部)中学生だった私は狂喜乱舞!?

●熱中して覚えた英単語?と言えばYPVS、ATAC、ANDF、d.f.i……そっち方面ならいつだって100点満点でした!?
さらに2ヵ月後となる1984年1月にかくいう流麗なハーフカウルを引っぺがした「GPz400F-Ⅱ」がデビューして厚顔……いや紅顔の美少年はドギモを抜かれたものです。

●1984年型カワサキ「GPz400F-Ⅱ」宣伝資料より。当時はまだネイキッドモデルという呼び方すら一般的ではなく、いちいち「○○○のノンカウル」と言っていた記憶がありますね。この猛々しいスタイリングと空冷2バルブであることに価値を見出すファン層は確実に存在しており、「ゼファー」が登場する1989年頃まで細々とながら販売が続けられていきました
レプリカ人気に沸く時代の中で独自路線を突き進んだカワサキ
10年以上後に登場する「ZRX」や「ZRX1100」のネイキッド仕様に付けられた称号「-Ⅱ」はここに端を発しているのですね(まぁ「Z750FX-Ⅱ」や「GPX250R-Ⅱ」といった例もあるので一貫しているとは言い難いのですけれど(^^ゞ)。

●1988年型カワサキ「GPX250R-Ⅱ」。鳩サブレーとも揶揄された「GPZ250R」から一転、端正なスタイリグと45馬力を得て人気が爆発した「GPX250R」。その後期型としてフロントダブルディスク化+Ninjaロゴでより一層の支持を得たのがこの「GPX250R-Ⅱ」でした……ネイキッド化されたワケではありません(^w^)。ちなみに「Z750FX」→「Z750FX-Ⅱ」はエンジンが750(Z2)ベースから650ベースのものとなったときに改名……ネイキッド化されたワケではありません、って元々カウルなんて付いてないッス!
翌1985年に発売され、ベストセラー街道をばく進することとなった水冷59馬力マシン「GPZ400R」にもノンカウル仕様が用意され、そちらは「FX400R」という名称を得て注目を集めました。

●他メーカーのライバルたちが丸目2眼ヘッドライトに耐久レーサー的なフルカウル+セパレートシートへと収斂していくなか、兄貴分たる「GPZ1000RX」を彷彿とさせるボリューミーなスタイリングで大好評を博した「GPZ400R」。1987年には後継モデルとして「GPX400R」が発売されるも人気は衰えず、さらなる改良を施された1989年モデルまで存在する超絶ヒット作に〜!

●1985年2月に登場した「GPZ400R」から遅れること8ヵ月。同年10月にデビューを果たした「FX400R」! カウルを引っぱがしただけ……ではなく、フレームはAL-X(アルクロス=アルミクロス)フレーム→スチールフレーム化され、マフラーも4into1の集合管を採用するなど各部にコダワリ満載の仕上がり。想定外の支持を得た「GPz400F-Ⅱ」の夢よ再び……と期待されたもののヒットには至らず。FXという偉大な称号に名前負けした!? とはいえこちらも1989年モデルまであり
……ついでと言っちゃなんですが、忘れがたきカワサキハーフカウル400モデルとして「GPZ400S」も取り上げさせてください。
1986年にビュンビュン軽快に吹け上がるパラレルツインエンジンを搭載して登場したのですけれど、超人気を誇っていた「GPZ400R」の陰にズッポリと隠れてしまいセールスは低調。

●初代Ninjaこと「GPZ900R」の心臓を2つに割って2気筒にしたような構造を持つ398㏄水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブエンジンは50馬力を発生! パンチの効いた走りは特定の層に刺さったと聞きます
とはいえカワサキ開発陣も切り捨てるには惜しいコンセプトだと考えていたフシがあり、1994年(「ZRX」デビュー年!)には後継車と言っていい「EX-4」が登場しています。

●「GPZ400S」と似ているけれど各部をよく見りゃ大幅に変更されまくっている「EX-4」。日本では残念ながらレア車殿堂入りしてしまいましたが、ベースとなった500版は欧州で「GPZ500S」、北米では「Ninja500」という名前を得て堂々のロングセラーモデルへ! バイクビジネスって本当に難しいですネ(^^ゞ
「ZRX1200S」と同時期にキラリと輝くハーフカウル車があった!
そしてそしてそして!
ここまでの前フリは全てこのバイクを紹介するためにあったと言っても過言ではない「ZR-7」&「ZR-7S」!
1990年に衝撃的デビューを果たし、ベスト&ロングセラー街道を突っ走る「ゼファー750」と同じ738㏄空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブエンジンを搭載した、よりスポーティなネイキッドスポーツとして「ZR-7」が1999年に発売を開始ッ!

●1999年型カワサキ「ZR-7」。下で紹介している「ゼファー750」と基本的に同じ738㏄空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブエンジンなのですが最高出力73馬力/9500rpm、最大トルク6.3kgm/7500rpmと格段に強力(ゼファーは68馬力/9500rpm、5.5kgm/7500rpm)。集合管や最新の点火プログラミングなどを採用したことが奏効したようです。燃料タンク容量も22ℓとゼファー比で5ℓも多い……

●上と同じ1999年型「ゼファー750」。いやぁ〜こちらはネオレトロなザ・ネイキッド! 大部分の日本人ライダーはこちらを選んでしまいますよね。しかしこのZ1を想起させるトラディショナルな懐古趣味スタイリング、全世界的にはなかなかウケないそうで……。というわけで欧米でのシェア拡大を目論んだ「ZR-7/ZR-7S」が開発され、試しに日本へも導入してみたとか
そのハーフカウル版「ZR-7S」は2002年、国内市場へ導入されたのです。

●基本構成は「ZR-7」と共通ながら「ZRX1200S」と雰囲気の似たハーフカウルを装着。ウインドシールドはやや立ち気味としてライダーへの風圧を低減。異形マルチリフレクターヘッドライトや速度・エンジン回転・燃料残量の3連メーターをカウルステーにマウントすることでステアリングにかかる質量も低減。実際、意のままに操れる軽快なハンドリングを実現していました。こちらが今回のタイトル文字背景にいるモデルです〜

●こちら「ZRX1200S」。ラジエター近辺のカウル面構成などソックリですね〜
……と書いたところで、今このコラムを読んでいただいている全銀河の読者様のうち83.376%の方々は「??? そんなバイクあったっけ???」となっているはず。
それくらいマイナーな車両ではあるのですけれど、いいバイクだったのですよホントに~!
ネイキッド版「ZR-7」が2001年型を最後にラインアップ落ちしたのに対して「ZR-7S」は2005年型まで生き残っていたくらい。
2000年代の初頭、カワサキファンは非常に出来のいいナナハンハーフカウル「ZR-7S」と、リッターオーバーハーフカウル「ZRX1200S」のどちらかを選ぶことができたのです。

●2004年型ZRX1200シリーズの逆輸入車カタログ。当時は様々な仕様をチョイスできたのですね〜。主要諸元をよく見ると最高出力122馬力/8500rpm、最大トルク11.4㎏m/7000rpm……ワ〜オ! この逆輸入ZRXシリーズは少なからず中古車市場に残っているはず〜
そしてホンダCBスーパーボルドールが全部持っていった……!?
駄菓子菓子!
逆に言えばかくいう2台、本当にオイシイ2000年代後半を待たずに相次いで姿を消してしまったということ……。
どのような経営的判断があったのか今となっては知るよしもないのですけれど、どデカいムーブメントをみすみすスルーしたという結果になってしまいました。

●今ある微妙な売れ行きのモデルを継続するか引き上げるか。簡単に決められる話ではないと分かってはいるのですけどネ……
というのも2004年6月に「二輪車の高速道路二人乗りの解禁」を含む道路交通法改正案が可決され、同年11月30日に開かれた政府の閣議決定で2005年4月1日からの施行が決定。
つまり全ライダー念願のひとつだった「ハイウェイをタンデムライドできる!」ことが現実のものとなったのです。

●ナウなヤングライダーにとっては信じられないことかもしれませんが、2005年4月以前は高速道路を二人乗りできなかったのです。もっと言うとバイク用ETCが普通に使えるようになったのは2006年11月1日からでした。ほんの20年前!?
さすがの対応を見せたのがホンダでした。
まさに2005年2月に「CB1300スーパーボルドール」、翌月には「CB400スーパーボルドール」を相次いでリリースし、これら丸目一眼正統派ネイキッド+そちらベースのハーフカウル版という無敵のコンビネーションはライバルたちを圧倒する支持を得ていきました。

●2005年型ホンダ「CB1300 SUPER BOL D'OR〈ABS〉」。「CB1300 SUPER FOUR」をベースに高速巡航時ライダーへ当たる風圧の低減と走行安定性を両立させた新設計のハーフカウルを装備。秀逸だったのはカウル内側左右にメチャクチャ便利な約1ℓ容量のフタ付き収納スペースを用意していたこと。店頭で触れてフタを開いた瞬間、コイツに心奪われたオーナーは多かったのでは……? 少なくともワタシはハイパー感動しました! あ、この小物入れは400版にも標準装備〜
結局、「ZRX1200S」は2004年モデルが最終型となってしまったのですけれど、兄弟車「ZRX1200R」は以降も環境諸規制にキメ細かく対応しつつ国内ラインアップに残り続けたわけですので、継続しようと思えばできたはずだよなぁ……と素人考えをしつつ、生き残っていた場合の妄想をしたものです。
ともあれ、割り切ったカワサキは「ZRX1200R」並びに「ZRX/ZRX-Ⅱ」の魅力を磨き上げることに注力。

●2004年カワサキ「ZRX ARK(Authorized and Reliable shop of Kawasaki)限定車」。100台限定で販売された、JMCA適合のBEET製チタンサイレンサーを装備するカワサキ正規取扱い店専用モデル。同様の1200版は200台限定でした。ともに速攻で売り切れたと記憶しております
数々の仕様変更や魅力的な限定車を矢継ぎ早に投入していくことで、着実なセールスを積み上げていきます。

●2006年、2004年のARK限定車に続く2回目のリミテッドモデルがカワサキ「ZRX1200R カワサキ正規取扱店限定車」として200台販売された(400の「ZRX」には設定されず)。車検に適合するBEET製カーボンサイレンサーがベストマッチ!
しかしながら2008年、さらに有害物質の規制値ハードルが引き上げられる排ガス規制を前に、両車ともキャブレターでは対応できないと判断されて生産を終了……。

●こちらが「ZRX1200R」の最終仕様となった2008年3月追加のキャンディライムグリーン(ホイールまで緑色)。なお、2004年型以降のモデルは最高出力が100馬力から95馬力に低下したものの、最大トルク発生回転数は6000rpmから3500rpmとなり扱いやすさが大きく向上! 他にも盗難防止用イモビライザーやフルスケールのスピードメーター、バフ仕上げのステンレスエキゾーストパイプなどが採用されておりトータルでの魅力は増していたのです
ネタバラシしてしまうと400㏄の「ZRX」はそのまま永眠(今のところ!?)してしまい、1200版ZRXの系譜もこのまま終わってしまうのだろう……という悲観的な雰囲気が二輪ギョーカイに立ちこめていたもの。
しか~し! カワサキはやってくれました。
2009年、ルーン文字(???)で「一日」(????)を意味する言葉を冠したアイツがやってきたのです……!!!!
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カワサキZRXという好漢【その9】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

