すっかり間が空いてしまったが(ごめんなさい!!)……那須モータースポーツランドで開催された「外国車試乗会」、そのなかから筆者(佐賀山敏行)が特に気になったモデルをピックアップ! 今回はドゥカティ、MVアグスタ、アプリリアのイタリアン4モデルを紹介しよう!!
【前回までの記事】
>憧れの輸入車をサーキットで試乗!! 「那須MSL外国車試乗会」で乗りまくり!
>【那須MSL外国車試乗会】憧れのフラットツインからとっつきやすいミドルアドベンまで!!【BMW Motorrad編】
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クルーザーなのにコーナリングも楽しい!! 重量級スポーツバイク!……DUCATI DIAVEL(2013年)
今なおスポーツバイクブランドとしてのイメージが強いドゥカティだが、ひと昔前はなおさらそのイメージが強かった。今では考えられないが、1990年代にモンスター900が発売された時には「こんなのドゥカティじゃない!!」なんて言うライダーがいたほどだったとか……。
しかし、モンスターのヒットがきっかけになったわけではないだろうが、その後、2000年代に入るとムルティストラーダなど、ドゥカティはさらにバリエーションに富んだラインナップを広げていく。そのひとつがディアベルである。
スタイリングはロー&ロングのクルーザー。しかしハーレーとは一線を画し、スタイリッシュで未来的なもの。どちらかといえばヤマハ V-MAXに近いが、それよりも腰高でスポーティーな印象も抱かせる。なんとも不思議なデザインだ。
まさにこれこそ「こんなのドゥカティじゃない!!」と言いたくなる読者もいるだろうが、エンジンはドゥカティ伝統のLツイン! そして、クルーザーでありながらスポーティーな印象を抱かせるあたりは、「やっぱりコイツはドゥカティなんだな」と思わせるわけである。
●水冷4ストロークL型2気筒1198.4cc ●乾燥重量210kg ●シート高770mm
一般的なクルーザーと印象を大きく変える一因がテール周りだろう。スーパースポーツを思わせるシートカウルやテールランプのデザインはディアベルならではのものだ。
ちなみに折りたたみステップがあることから、シートカウルを外せばタンデムも可能なのだろうが……クルーザーならではの長距離タンデムツーリングなどは厳しそう。
スイングアームは片持ちタイプで、ナンバープレートのステーなどはまさにスポーツバイクのソレ。リアタイヤのサイズは240で、ど迫力のリアビューを演出している。
クルーザースタイルながら、やはりドゥカティ! 跨ってみると上半身は適度な前傾で、ステップもバックステップ気味。クルーザーというよりも、スポーティーなネイキッドのようなライディングポジションだ。そして、そんなライポジにふさわしく、やっぱりコーナリングが楽しい!
もちろんネイキッドやスーパースポーツのように攻められるわけではないだろうが、街乗りやワインディングを流すなら十分に楽しい。ただし、良くも悪くもシートの自由度が少なく、スポッとハマる感じで、ほとんど前後に体重移動ができなかったのは気になるポイント。
エンジンは低回転に振ったセッティングがされていて、V-MAXのようなゴロゴロとした鼓動感が楽しめて心地よかった。
クルーザーの概念を大きく変える異色の1台だと言えるだろう。
大柄だけど足つき良好!! 鼓動感のあるV4エンジンが心地よい!……DUCATI MULTISTRADA V4S(2021年)
現在、さまざまなモデルをラインナップするドゥカティだが、そのターニングポイントとなったのはムルティストラーダだろう。生粋のスポーツバイクメーカーとして世界中にファンを抱えるドゥカティだが、2003年に初のアドベンチャーツアラー「ムルティストラーダ1000」をリリース。その独創的すぎるスタイリングとともに、多くのバイクファンに衝撃を与えた。
とは言っても初期のムルティストラーダは前後17インチタイヤを履いたオンロード色の強いモデル。それがモデルチェンジを重ねるごとに、アドベンチャーツアラーらしい「クチバシスタイル」を手に入れ、さらにオフロード性能も高めていった。そして2021年に登場したのが、V型4気筒エンジンを搭載したムルティストラーダV4Sである。
今やドゥカティといえばLツインではなくV4と言っても良いだろう。フラッグシップモデルにはV4エンジンが搭載され、ムルティストラーダにもついにV4モデルが登場した。ここに紹介するモデルは足周りなどを強化した「S」で、クイックシフターやクルーズコントロールなども標準装備している。きっと旅をエキサイティングに楽しませてくれるだろうと、期待が高まる1台だ。
●水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1158cc ●車両重量243kg ●シート高820mm
エンジンはV型4気筒。アイドリング時には後方シリンダーが休止することで冷却効果の向上や、後方シリンダーの熱がライダーを直撃することを防いでくれる。
最高出力は125kW(175PS)で、最大トルクは125N・mを8750rpmで発揮する。
スイングアームにオフセットされたリアサスペンション。オンロードはもちろん、オフロード走行にも対応したセッティングがなされているという。
大柄な車体に躊躇してしまうが、いざ跨ると足つきの良さに驚く。そしてV4エンジンを搭載しているとは思えないほどの軽さに再度驚く。足つきの良さや大きく手前に引かれたハンドルも関係しているのだろうが、とにかく引き起こしが軽い。実際、車両重量は243kgもあるのだが、それを感じさせないのだ。
走り出すと、同じ4気筒とはいえ、やはり直列4気筒とはまったく違う。エンジンはスムーズに回るのだが、直列4気筒ほどではなく、適度なドロドロ感があり、トルクもしっかり感じられて心地よい。そして回転を上げていくと、鼓動感を残しながらもしっかり回っていく……Vツインとは明らかに違うスムーズさなのだが、きちんと「味」も感じられるのが嬉しいのだ。
オフロード性能もかなり高いということだが、今回はサーキットをゆっくりと流すのみ。それでもコーナリングは楽しく走れて、まさにドゥカティのスポーツバイク! しかもアップライトなライディングポジションやトルクの太いエンジンも相まって、長距離も疲れずに走れそう! まさに万能の1台といえそうだ。
美しいスタイリングと高い性能! 正しいスポーツバイクとは、このバイクのこと!!……MV AGUSTA BRUTALE 1090RR(2014年)
Fシリーズやスーパーヴェローチェなど、美しさと性能の高さで独自の存在感を放つのがMVアグスタ。そのネイキッドモデルに冠せられているの名が「ブルターレ」である。
ブルターレシリーズは現行モデルにもあるが、1090シリーズは旧世代モデル。しかしトレリスフレームや水冷直列4気筒エンジンはスポーツバイクの王道。倒立フォークや片持ちスイングアーム、アップタイプの2本出しマフラーも相まって、今なお圧倒的な存在感を放っているのだ。
なかでも1090RRはブルターレ1090シリーズのフラッグシップモデル。スリッパークラッチを採用し、強大なエンジンパワーに対応しているのだ。
●水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒1078cc ●乾燥重量183kg ●シート高830mm
エンジンは水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒。一見するとフィンのない無機質なエンジン外観だが、「MV」のロゴがエンジンをレーシーに彩る。スチールパイプ製の赤いトレリスフレームも美しい。
マフラーは右側2本出し。セミアップタイプとすることで、片持ちスイングアームによって剥き出しになったリアホイールをアピール。タイヤ交換もラクそうだ(笑)。
車体はコンパクトだが、跨ってみると思った以上にシート高が高いことに気づく。とはいえ車体は軽くてコンパクトなので臆することはない。低めのハンドルや後退気味のステップによって、見た目通りの「スポーティーに走れるバイクだな」という印象。
エンジンを始動すると「これぞ直4!!」……1000ccオーバーの重低音ではなく、まさにレーシングサウンドと言うべき「フォンフォン!」という甲高いエキゾーストノートが心地いい。
当然、走り出すと適度な前傾姿勢は曲がりやすく、サーキットを気持ちよく流すことができる。スーパースポーツのようなキツいポジションではないので、ツーリングにも気負いなく使えそうだ。
ただ、逆にいうと外国車らしいクセというものはほとんどなくて、良くも悪くも高性能なスポーツバイクに乗っているという印象。「外車って乗りにくいんでしょ? でもそれが楽しいんでしょ?」なんて思っていると、思わぬ肩透かしを食らうかも(笑)。まぁ、それって本当はすごく良いことなんだけど……これが趣味の乗り物=バイクの難しいところでもあったりするわけだ。
細かい点でいうと、ステップの横幅が狭すぎて、足の置き場に困った。おそらくバンク角を確保するためなんだろうけど、ツーリングなどで長時間走行する際は気になるかも……。
RSV4をベースにしたアプリリア流ストリートファイター!……aprilia TUONO V4R(2011年)
アプリリアのフラッグシップ・スーパースポーツ「RSV4」をベースに、ハーフカウルやアップハンドルを装着したストリートファイター。
低く構えたカウルとアップハンドルの組み合わせには現在ではスズキのKATANAがあるが、当時は独自性の強いもの……いや、やっぱり今見ても十分に独特で個性の強いもの。それでいてRSV4譲りの車体とエンジンは刺激的。他にはないスポーツバイクに乗りたいというライダーにおすすめだ。
●水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒999cc ●車両重量204kg ●シート高835mm
テーパータイプのバーハンドルを装着。車体はスーパースポーツだが、このハンドルのおかげでリラックスしたライディングポジションと独特のスタイリングを作り出している。
エンジンはRSV4譲りのV型4気筒999ccを搭載。最高出力は78kW(106hp)を発揮する。スタイルはネイキッドだが、フレームに隠れてエンジンはほとんど見えない。
スーパースポーツをベースにし、さらにハーフカウルを装着していることもあって警戒していたが、跨ってみるとかなりのリラックスポジション。車体の重さを感じることもなく、これはなかなか楽そうと期待が持てる。
いざ走り出すと、リラックスしたライポジに騙されたことにすぐに気がつく。トルクが太くてパワーもRSV4譲り! ラフにアクセルを開けるとけっこう大変なことになるんじゃないかと思わせるパワー特性だ。今回は先導車つきなのでアクセルをフルオープンにはできないのだが、2速まででも十分にパワーを感じることができた。
V4エンジンは低速のギアでガシャガシャとした雑な感じがしたが、そういうラフさも含めてあまり日本車にはないフィーリング。スタイリングも個性的なので、この見た目と外国車っぽい(?)乗り味を求めるなら、きっと満足できる愛車になるだろう。
2024年は10月12日(土)・13日(日)に開催
さて、そんな「那須MSL外国車試乗会」は今年も開催! 10月12日(土)・13日(日)の2日間に渡って開催される。現在、参加受付中なのでぜひぜひ皆さんの参加をお待ちしておりまーす!!
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