絶版車を末永く乗り続け、後世に語り継ぐ。そのためにレッドバロンは、生産終了したパーツをリビルドする、独自の『加修』技術を磨き続けている。職人技と呼ぶべき数々の加修技術を紹介していきたい。

貴重な絶版パーツを復活させる『加修』技術

メーカー基準に沿って、パーツを修理&再生することをレッドバロンでは『加修』と呼んでいる。

一般的に車両メーカーのパーツ在庫義務は、生産終了からわずか約7年。走行に必要な部品が手に入らず、愛車に乗り続けられなくなる可能性がある。そこでレッドバロンは、“職人ワザ”と呼ぶべき高度な「加修」によってリビルドし、入手困難な純正パーツをストック。絶版車の好調さを維持している。

※加修の詳細はコチラ。
https://for-r.jp/column/85345.html
https://www.redbaron.co.jp/service/own_factory/factory_tour/

【サス】分解不可の純正リアサスもオーバーホール、新品並みに回復できる

サスペンションのスプリングは経年劣化が少ないものの、オイルを使うダンパーは徐々に劣化が進み、漏れが生じるケースも。

サスは“スプリング”と“ダンパー”を組み合わせることで、凹凸のある路面でも安定して走るようになっている。路面の凹凸をスプリングが吸収し、その衝撃エネルギーを減衰するのがダンパーの役目だ。

スプリングは一度縮むと、勢いよく伸びて再び縮まり……という伸縮を繰り返す。これを抑えるのがダンパー。ダンパーがうまく機能しないと、いつまでも車体が上下にボヨンボヨンと跳ねてしまい、タイヤのグリップが安定して路面に伝わらず、走行性能がダウン。それどころか転倒する危険性も高まってしまう。

ダンパーの多くは、適切な粘度のオイルが穴(オリフィス)を通る抵抗によって、減衰力を生み出している。このオイル粘度は経年変化で劣化したり、漏れたりして本来の性能が発揮できなくなる。それゆえサスのオーバーホールが必要なのだ。

↑リアサスの構造図。ダンパー(ショックアブソーバー)の内部はオイルで満たされ、路面や車体の挙動に応じてオリフィス(穴)の開いたピストンが上下する。その際、オイルがオリフィスを通過する抵抗で減衰力が発生する。

↑本社工場では、ダンパーが抜けたサスと正常なサスの減衰力を体感できるアトラクション(?)を設置。違いは明白で、ダンパーが抜けた不具合品はコシがなく、スカスカだった。単にオイル漏れを修理するのではなく、ダンパー効果の回復が重要なのだ。

 

ところが、純正リアサスは基本的に非分解式。加えて、オイルシールやバンプラバーといった内部パーツの純正部品は設定されていない。また、ロッド部の再メッキや高圧ガスの封入などのリビルドもハードルが高く、一般的なショップではサスを丸ごと交換するケースがほとんどだ。ただし純正サスは高額で、絶版となっている場合もある。

アフターパーツがある人気機種なら交換も可能だが、社外品のないレアな車両はそうもいかない。しかし、レッドバロン本社工場ならオーバーホールで対応でき、丸ごと交換しないで済むため、修理費用を安く抑えることが可能だ。

さらに、各機種の減衰力データを蓄積しており、オイル漏れを修理するだけでなく、テスターで本来の性能が出ているか確認。多種多彩なモデルで本来の性能を維持できるよう努力している。

熟練の職人が独自設備でオーバーホールを行い、所要時間はわずか3分で完全に分解! ダンパーロッドの点サビなどは、再メッキ処理で対応し、入手困難な消耗品は、キャブなどと同様にオリジナルの部品を作製することでオーバーホールの手段を確立したというからスゴい。

↑リアサスのオーバーホールに使われる専用工具の数々。効率を追求して改良された自社製のオリジナルツールだ。

↑ここからは順を追ってCB400SF純正リアサスのオーバーホールを見ていこう。このように別体式のリザーバータンクを備えたリアサスの場合、先ほどの図のガス室はリザーバータンク内にある。

↑①まず独自の治具でスプリングを縮め、サス下部のフランジを外す。これでスプリングが取り外せる。

↑②リザーバータンクのキャップをドリルで開口。

↑③万力で本体下部を挟み、ダンパーをこじ開ける。

↑④リザーバータンクにゴムカバーを被せて、先ほど空けた穴にコンプレッサーのエアーを注入。すると風圧でキャップが外れる。

↑⑤リザーバータンクのガスを抜き、ダンパーのサークリップを除去。ハンマーで叩いてダンパーロッドを引き抜く。

↑⑥リザーバータンクも同様にサークリップを外し、バンプラバーやオイルを抜き出す。

↑⑦内部のオイルを抜き出す。このオイルの劣化がダンパー性能低下の一因だ。

↑⑧ダンパーロッドエンド部のカシメをサンダーで削り、シールヘッドなどを取り出す。

↑⑨全バラ状態。なんとプロは3分で分解できる! 洗浄し、消耗品を交換したら逆工程で組み付けて、窒素ガスで加圧。

↑自社開発したダンパーテスターで、ダンパーの性能がきちんと出ているかチェック。伸縮のスピードを測定し、バラつきがなく、所定のデータ内に収まれば合格だ。

↑リアサスだけでも大量にストック。車種ごとに管理され、いつでも出荷可能だ。

↑もちろんフロントフォークの加修にも対応している。クランプの歪みは、修正機を使用し、油圧で適正な状態に。破損したハンドルストッパーも溶接肉盛りして再生する。

【電装系】旧車の泣き所にも対応、メインハーネスを新規で作製するケースも

古いバイクは電装系のトラブルが発生しがち。セルモーターや発電装置の修理など繊細な作業も行う。特に旧車のメインハーネスは、劣化しても入手できない。そこで、純正品の現物を元に、多大な労力をかけて、線径、本数、長さを計測して新規製作。もはやリビルドというよりリプロダクトの領域にまで踏み込んでいるのだ。

また、デジタルメーターの修理にも対応。不具合箇所の発見や修復、スピード誤差の検品といった工程を経て出荷している。

↑旧車のハーネスが入手不可能な場合は新規製作するケースも。もはやレストアの領域と言えるのだ。

↑発電装置のコイルは、純正部品を解析し、同じ巻き付け方向や回数、結線で修理。 銅線の引っ張り力や重なりなどに細心の注意を払う。

【シート】表皮も中身も再生、カスタムにも対応している

シートは経年劣化などで表皮が切れてしまい、中のスポンジが水を含んで劣化する場合も。水が侵入すると、なかなか乾かず、乗った際にお尻がビショビショになって不快だ(筆者も経験済み笑)。スポンジがダメになった場合、もちろん乗り心地も悪くなる。さらにシートは、車両の見映えに直結する部分なので、どんなに外装がピカピカでも、シートが破れていたり汚れていると台なしになってしまう。

レッドバロンでは、シートに破れがあった場合、防水性と伸縮性に優れた専用レザーで貼り換え、純正品と同様の見た目に再生可能。表皮を貼るのは難しいが、 職人ワザで対応している。ウレタンの交換や削れの補修も行う。

需要の高いシート表皮は、あらかじめ協力工場で作製。まとまった数での量産によってコストを抑え、表皮のパターンも高精度な仕上がりを可能としている。そこまで需要のない機種については、本社工場で製作した型紙を使って裁断→縫製。短い期間で、ほとんどの機種に対応できる。

また、カスタムにも対応しているのもポイント。「表皮の色」「質感」「デザイン」を変更でき、エナメル、蛇柄、アルカンターラなどの表皮を取り揃える。

旧車やネオクラシックで人気のタックロールには、高周波溶着機を使用している。一般的にはミシンで縫製するため、縫い目から侵入した雨水がスポンジに留まってしまうが、レッドバロンの場合、縫い目がないため、浸水の心配がない。

スポンジを削って、足着き性を向上させるアンコ抜きにも対応。レッドバロンでは機種ごとに過去のデータを残しており、推奨するアンコ抜きの限界値をお客様にお知らせしてくれる。また「上面(頂点)を削るのはソコソコにして、角を落とす方が効果的」といったように、機種に合った提案も行う。

このように、レッドバロンは「ライダー目線」で提案してくれるのがうれしい。これもスタッフ全員がバイク乗りだからこそできるサービスと言えるのだ。

↑シート表皮は均等にシワが寄らないように中心を出しながら貼っていくのがプロ。左側はNG、右側の加修品はほぼオリジナルの出来映えだ。

↑カスタムの定番であり、旧車やネオクラシックによく似合うタックロールシートも高周波溶着機で製作。表皮を溶かして段差をつくる。

↑タックロールは仕上がりが美しい上に、縫い目がないため、浸水もナシ。同様にダイヤ柄も作製できる。

↑店舗に要望すれば、多彩な色や素材からカスタムOK 。

↑クッション性が高い「ゲルザブ」の内蔵や、足着きを向上させるアンコ抜きにも対応する。

 

※第3回は「塗装」「研磨」などを紹介。乞うご期待!

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