前回は、40代になってから二輪免許を取得し、バイクライフを始めた皆さんの話を紹介しました。
では、さらに年齢を重ねてからの挑戦はどうでしょうか。
今回紹介するのは、70歳過ぎで普通二輪免許を取得した、ある男性ライダーの話です。
スーパーカブで知った、走る楽しさ
その男性はもともと、スーパーカブ50に乗っていました。
カブに乗って、いろいろな場所へ出かける。近所の移動手段としてだけでなく、走ることそのものを楽しんでいました。
しかし、カブで走れば走るほど、もう少し遠くへ行ってみたいという気持ちが膨らんでいきます。
「カブでどこへでも行っていたんだけど、日帰りで行ける距離には限りがあります。高速道路に乗れるバイクなら、日帰りでもさらに遠くへ行けると思ったんです」
カブに不満があったわけではありません。カブで走る楽しさを知ったからこそ、その先にある景色も見てみたくなったのでしょう。
そこで男性は、普通二輪免許を取得し、高速道路を走れるバイクに乗ることを決意しました。

ホンダが誇るタフネス超万能マシン、スーパーカブ。日本の風景にマッチする車両だ。
免許より先に、バイクを買った
驚いたことに、男性は教習を始める前に、250ccのバイクを購入していました。
普通二輪免許は、まだ持っていません。それどころか、教習を受け入れてくれる場所さえ決まっていない段階でした。
それでも先にバイクを手に入れ、免許取得へ向けて動き始めたのです。
新しいバイクを眺めながら、「いつか乗れたらいい」と夢を見るのではなく、「このバイクに乗るために免許を取る」と、進む方向を先に決めたのでしょう。
ところが、教習所探しは順調には進みませんでした。
二つの教習所に相談したものの、入校には至りません。それでも諦めずに探し続け、三つ目に訪ねた教習所で、ようやく普通二輪教習を受けられることになりました。
一度でも断られれば、「やはり、この年齢では無理なのかもしれない」と考えてしまうものです。ましてや、それが二度続けば、諦める理由としては十分だったでしょう。
しかし、男性は三つ目の扉を叩きました。
「年齢に関係なく達成できる」と証明したかった
なぜ、そこまでして普通二輪免許を取りたかったのでしょうか?
高速道路を使って、もっと遠くへ行きたい。250ccのバイクを自分で運転したい。もちろん、それも大きな理由です。しかし、男性にはもう一つ、心に決めていたことがありました。
「人間は努力すれば、年齢に関係なく目標を達成できる。それを証明したかったんです」
とても「強い」言葉でした。
もちろん、体力や健康状態、置かれている環境は人によって違います。努力すれば誰もが同じことを達成できる、と単純に言い切ることはできません。
男性も、年齢による体力の変化や、教習の難しさを感じなかったわけではないでしょう。
それでも、自分の年齢を理由に、挑戦する前から可能性を閉じたくなかった。自分自身に「もう無理だ」と言いたくなかったのだと思います。
挑戦と努力の甲斐あって、無事に普通二輪免許を取得しました。
日帰りで行ける世界が広がった
免許を手にした男性は、先に購入していた250ccのスポーツバイクで走り始めました。それは、日帰りで行ける世界が広がったことを意味していました。
高速道路を使えば、これまでより短い時間で遠くまで行くことができます。昨日までは「日帰りでは難しい」と考えていた場所も、目的地の候補に入るようになります。
「気分は最高でしたね。これで、どこにだって行けるぞ! という気力がみなぎってきました」
何かを始めるのに、遅すぎる年齢があるのか。それは、他人が数字だけを見て決められることではありません。
大切なのは、自分が本当にやりたいのか? そのために必要な準備ができるのか? そして、自分の体力や技量と向き合いながら、安全に続けられるのか? ということでしょう。
男性が見たかったのは、日帰りでは届かなかったもう少し先の景色。
年齢を重ねたからといって、人生の行き先を狭める必要はありません。
二つの扉が開かなければ、次の扉を叩いてみる。
その一歩が、自分の世界を思っていた以上に遠くまで広げてくれるかもしれません。
一歩踏み出せば、困難が待っていることもあります。「それでも前に進みたい」という気持ち。それこそが勇気だと私は考えます。
年齢を重ねても、挑戦する勇気を失わないこと。その先に待っているのは、挑戦した人にしか見ることのできない景色なのだと思います。
負けてらんないや。
さあ、前へ進もう!

